(令和2年4月17日(金) 11:14 ~ 11:32)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭、私の方から申し上げることは特にありません。

質疑

記者:
緊急事態宣言について伺います。7都府県に発令してから本日で10日です。これまでの状況について、感染者の増加ペースや外出自粛の効果をどのように評価されているのでしょうか。その上で、昨日全国に発令し拡大しました。なぜ全国に拡大したのか、どのような効果を期待しているのかお聞かせください。お願いします。
大臣:
まず国内の感染者数について、昨日の時点で申し上げると8582人、今日の時点では9167人でありますが、4月7日からで見ると、そのときの緊急事態宣言対象の7都府県は3411人増と2.3倍、また全国ベースでも4676人増と2.2倍となるなど、感染者数の急増が懸念される地域が出ていたところでもあります。こうした中、今般の対象地域の拡大で、1つは7日付けで対象となっていた7都府県が対象となった時点の状況と同程度まで蔓延が進んでいると考えられる北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6道府県を新たに今回特定警戒都道府県に指定して、これに既存の7都府県も加えて13都道府県ということになります。加えて、それ以外の34県においても、感染拡大の傾向が見られます。これは基本的対処方針の4ページから5ページに細かくきちんと書いてありますので、ぜひお読みいただきたいと思いますが、ポイントだけ申し上げます。今後大型連休を迎えるにあたり、都市部からの人の移動によるクラスター発生の恐れがあること、またこうした地域では医療提供体制が十分整っていない場合も多く、小規模な感染拡大でも医療が機能不全に陥る可能性が高いこと、また国民の更なる行動変容を促す必要があること、そうしたことを踏まえて、国民が一丸となって大型連休期間も含め、蔓延防止に取り組むべきこの時期において、全都道府県が足並みをそろえて感染拡大防止の取組を行うことが必要である、こういったことから、日本全体を緊急事態宣言の対象という判断に至ったものと承知をしているところであります。
 今後、いずれにしても我々としては引き続き医療提供体制の構築に向けて、各都道府県等としっかり連携を取りながら、更に進めていくとともに、また国民の皆さんには、そうした趣旨において、今回緊急事態宣言がなされたということ、特に先般の3月の連休に対する対応、それがその後の拡大を増やしたのではないのか、またこの間見ておりますと、夜の街クラスターという指摘がありましたけれども、そういったことも含めて、地域を越えて人の動きが生まれ、それが他地域における感染拡大を引き起こしている、こういったことも指摘をされているわけでありますから、そういったことも含めて、これから連休の期間までに関して、総理が言っておられます、少なくとも7割、そして8割の行動自粛に向けて、更に国民の皆さんに、更なるご協力をお願いすることになりますけれども、ぜひご協力をいただきながら、一日でも早い、この感染拡大の抑止、これを図っていきたいと思っておりますので、ぜひ皆さんのご協力をよろしくお願いしたいと思います。
 
記者:
2点質問がありますけれども、まず1点目は、医療機関の医療体制の逼迫に伴って、新型コロナウイルスの患者の受け入れを拒否する事例が相次いでいるとの指摘があります。たらい回しにされているという指摘もある中で、厚生労働省としてこの実態をどう受け止めて、調査なり何か対応するお考えはあるのでしょうか。
 
大臣:
ご指摘は東京都のことを念頭に置かれていると思いますが、東京都の実態を確認したところ、新型コロナウイルス感染が疑われるために、医療機関への収容を断られ、また医療機関への収容までに時間を要している事例が現にあるということは、確認をしています。厚労省としては、新型コロナウイルス感染が疑われる方が受診をした際に、十分な院内感染防止策が取れるよう、また感染者を受け入れる医療機関の選定等を行うよう、医療機関に対し、またそれぞれの都道府県に対し依頼をし、そうした構築に向けて、予算面はもとより、人的なことも含めて、対応できることは支援をさせていただいているところであります。その上で、東京都においては現在、都内の医療関係者と連携をし、感染症を疑う患者を積極的に受け入れる医療機関を選定するなどの対策を具体的に協議されているというふうに承知をしているところであります。
 更に、今後、新型コロナウイルスの感染症の患者が大幅に増えたときに備え、そうした新型コロナウイルスの感染症患者への対応のみならず、他の疾患等への対応も勘案をして、地域全体の医療提供体制の整備、またその中における医療機関の役割分担等々について、これまでもお願いをしているところでもありますし、今回の経済対策においても、それを支援する内容も盛り込ませていただいております。そういったことも含めて、更に医療提供体制の整備に向けて、我々も一緒になって取り組みたいと思っております。その際、救急搬送ということもございますので、消防庁とも連携をしながらしっかり状況の把握に努め、新型コロナウイルスの対応を含めた救急医療提供体制、これがしっかりと維持されていける、運営されていけるように、連携を取っていきたいと思っております。
記者:
今国会で審議中の年金法案について、厚生年金適用拡大が盛り込まれていますが、新型コロナウイルスの影響で経営環境が悪化しているということで、日本フードサービス協会などが適用拡大の実施延期を求めています。こうした声をどう受け止めて、どう対応していくかお考えをお聞かせください。
大臣:
まず一つは社会保険料の納付については猶予という措置を、これまでより特例的な対応を取るということにさせていただいているところであります。加えて、この適用拡大については、2年または4年の準備期間を置いているということでありますので、先ほど申し上げたそうした社会保険料の納付の猶予措置を講じつつ、適用拡大の施行に向けて、中小企業を含めた支援をしっかり行っていきたいというふうに考えておりますが、いずれにしても今法案は提出させていただきましたので、法案の審議等については国会においてお決めになるものと承知をしております。
記者:
抗体検査について、お伺いします。日本医師会などは抗体検査の早期実施を求めています。改めて、厚労省としてどの程度進んでいるのか、具体的にいつから実施するのか、そのあたりのスケジュール感も含めて教えてください。
大臣:
まず抗体検査はウイルスに一旦感染した後に、体の中に形成される抗体を測定する、そういった検査方法であり一定の期間が必要となります。PCRは感染したときのウイルスそのものを測るものでありますから、PCR検査の代替になるものではないと思いますが、PCR検査と上手く組み合わせをしながら、より上手い運用の仕方、あるいは診断の効率化、こういったことを図っていく可能性はあると認識をしております。あと具体的に、今申し上げたそれぞれの特徴が異なりますから、それをどういうふうに活用していくのかということをしっかり考えていく必要があるんだろうと思います。
 WHOも、有症状態に対する診断を目的として単独に用いることは推奨できないとしていますが、疫学調査等で活用していく可能性は示唆をしておりますし、ドイツなど昨日もG7の保健大臣と電話会合させていただきましたが、それぞれにおいてもこうした血清、血液を抜いて判断するわけでありますが、それに対する取組をまさにこれからしようとしている、検討している、こういう状況だと認識をしております。日本でも、AMEDの研究班において、一部抗体検査をキットを使用して、抗体の有無を確認する研究がすでに進んでいるというふうに承知をしているところでありますし、加えて今回の補正予算、緊急経済対策の中でも、抗体検査キットの性能評価及び疫学調査のための予算、これは既に盛り込んでおりますので、これを踏まえて、現在具体的なやり方について検討をしているという状況にあります。
記者:
月内にも抽出検査を開始という報道もありましたが、そのあたりいかがでしょうか。
大臣:
まずこれからどういう形でこうしたキットをつかっていくのかということと、もう1つはキット自体の性能を今チェックしていますから、これ並行してやっていく必要があるんだろうと思っております。今具体的に仰ったようなスケジュール感を申し上げる状況にはありませんけれども、できるだけ今言った性能評価、それからどう調査をしていくのか、それを並行してやっていっても良いのだろうと思いますので、その辺を含めて具体的な段取りを調整している状況であります。できるだけ、そうした状況が整えば、関係者の協力も必要ですから、関係者の協力をいただきながら、やるべき事は早期に取り組んでいきたいと思います。
記者:
二点伺います。一つが労働基準法の休業手当についてなんですけれども、厚労省が公表している新型コロナのQ&Aでは、企業側に支払義務が無い場合の不可抗力に特措法の緊急事態宣言が例として挙がっています。緊急事態宣言だけで支払義務が一律に無くなるわけではないにしろ、緊急事態宣言が全国に拡大される中でこうしたQ&Aの表記が強調されることで、休業手当の不払いがひろがる可能性もありますが、どのように考えていらっしゃるでしょうか。  もう一点がすみません、別件で、来週靖国神社の春の例大祭がありますが、参拝や真榊の奉納の御予定があるかどうかです。
大臣:
まず、新型コロナの特措法の関係のQ&Aをよく見ていただきたいんですが、まず、冒頭で、「指示により事業を休止し、労働者を休業させる場合であっても、労使がよく話し合って、休業中の手当の水準、休業日、休業時間の設定等について、労働者の不利益を回避する努力をお願いします、また、労働基準法上の休業手当の要否にかかわらず、雇用調整助成金が支払われるので、それをしっかり活用してほしい」、ということをまず申し上げており、冒頭から仰ったことを申し上げているわけではありません。
 ただ、法律の解釈として、今申し上げたことを含めて、不可抗力ということを言えるのかどうか、ここでも書いてありますように、緊急事態宣言があったり、それを基に様々な自粛の要請や指示が行われたとしても、それだけをもってただちに不可抗力による休業にあたるわけではない。あるいは、責による事由に当たる・当たらない、という判断が、一概に出来るわけではなくて、それぞれの経営者の方のまさにそうした事態を回避する努力、例えば、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討したのか、あるいは、他に就業に就かせる業務があるにもかかわらず休業されていないとか、こういったこともしっかりと個別に判断して決めていくんです。
 従って、自粛がなされたから、すぐ全ての企業が一律に、責によらない事由にということで休業手当を払わなくていいというものではない、ということも法律の解釈として申し上げ、その大前提として、休業手当があってもなくても、雇用調整助成金を活用してしっかり雇用の維持に努めてほしいということは申し上げております。こういったQ&Aだけではなくて、経済界の方々に色々お話をし、要請するときにも必ずこのことは私の方からも言及をさせていただき、先般、団体のみならず各関係業界に対しても担当する大臣と連名で、お願いさせていただきましたけども、その中にも言及させていただいているということであります。
 それからもう一点、靖国神社の参拝についてはこれまでも申し上げておりますように、個人としてということでありますから、個人として適切に判断をしたいと思います。
   
記者:
先日、医師会の横倉会長が一か月に全国の医療機関で必要なマスクの数を4億から5億枚と仰ってまして、先日補正予算案で出た国のマスクの買い上げ量が、サージカルマスクで2億7千万枚だったんですが、この状況ですと医療機関のマスク不足解消にはならないのではないかと思うんですけれども、対策をどのようにお考えか。あと、緊急事態宣言による特措法の強制措置によって、医療機関向けのマスクを確保するなどの考えはございますでしょうか。
大臣:
まず一つはサージカルマスクを含めて、需要が非常に新型コロナウイルス感染症の対策、特に医療現場において対応が求められていることから需要が増大していると。供給の面はご承知のようにこれまでかなりの割合を中国からの輸入に依存してきたものが、中国における感染拡大ということもあり、輸入が一時はストップし、今はまた戻りつつはありますけれども、そういった中で、この輸入の拡大に対して引き続き努力するとともに、増産したり、また、昨日一昨日と電話会議でやらせていただきましたけれども、各企業において生産しているメーカーはもとより、異業種の方にもその技術を使ってぜひ協力をしてほしい、またそれに対してはこういう形で応えていきたいという話をいただきましたので、引き続き供給の拡大にも努力をしていきたいと思います。
 他方で、先日も、N95という一番精度の高い、一番リスクの高い時に使用するマスクについては、アメリカにおいてもそうなんですけれども、殺菌・滅菌という形でやれば再利用できるということを提示をさせていただいて、そういった意味では今ある防護具をより効率的に使っていただくことをお示しをさせていただく、そうした両方のことのお願いと我々の努力を重ねながら、一日も早くこうした解消を図っていきたいと思います。
 しかし、なかなか現下の状況で明日明後日にすぐに解消できるという状況ではありませんので、より必要なところに対して、こうした防護具等が届けられるように、今お話があったような国として直接買い上げるという手段も使いながら引き続き努力をしたいと思います。
 その中で特措法55条のお話なんだろうと思いますけども、基本的には都道府県知事が、ということでありますけれども、現時点において、そういう法規があることはもちろんその通りでありますけれども、今の時点においてはそれぞれの協力をお願いをしたり、国による買い上げへの協力もお願いする中で買い上げをしていく、こういう措置で対応していきたいと考えております。

(了)