日時 令和2年4月14日(火曜日)9時26分~9時43分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)平成29年度食品ロス量の公表について
  • 食品ロス量の減少要因について
  • 新型コロナウイルス感染症の影響による外国人技能実習生の不足について
  • ⅯⅯJによる生乳集荷の一時停止に関する調査結果と今後の対応について
  • 新型コロナウイルス感染症による食料安全保障や食料自給率への影響について
  • 沖縄県におけるCSFに係る移動制限区域解除について

 

大臣

  私から1点、御報告がございます。平成29年度の食品ロス量を発表いたします。
  平成29年度の食品ロス量は全体で612万トン、このうち家庭分を除く食品産業からの発生量は328万トンとなります。この数値の公表を開始した平成24年度以降では最少ということになります。3月に閣議決定いたしました食品ロス削減推進の基本方針も踏まえまして、関係省庁とも連携いたしまして、引き続きこの取組を推進してまいります。詳細についてはプレスリリースをいたしますのでよろしくお願いいたします。冒頭は以上です。

記者

  3点お聞きしたいと思います。1点目は大臣が冒頭で御発言された食品ロス、これ過去最低だったということですけれども、大幅に削減できた理由についてどう分析されているか教えてください。次、別の質問なんですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、来日できない技能実習生が多くいるかと思います。その来日できないことによる影響と対応についてお聞きしたいということとですね、もう一つが、先週の時点で2,000人くらいが、農業・水産合わせて来れていないということだと思うんですけれども、今時点の人数がどれくらいなのか、そして、今後更にその人数が増えていくのかという見通しについてお聞かせいただきたいと思います。以上よろしくお願いします。

大臣

  ロス量につきましてはですね、食品産業で7パーセントと、大変大きくこの業界で減らしていただきました。それに加えて御家庭でも2パーセント減らしていただけたことも大きいと思っております。その食品産業が大きかったのは、平成24年から行ってきました納品期限の緩和の働きかけ。これが大きく進んできたことが貢献しているというふうに考えております。食品ロスの削減につきましてはですね、いわゆる賞味期限、それから消費期限。この御理解をですね、更に消費者の方々にしていただいて、外食店でも食べきり、それから持ち帰れるものについては持ち帰っていただく。捨てないということですね、というような啓発活動、啓蒙活動をですね、消費者庁、そういった省庁とも連携しながらやっていきたいというふうに考えております。
  労働力につきましてはですね、農業段階でですね、4月1日には1,700名ということで、いわゆる技能実習生の目途が立たないとの数字を申し上げておりましたが、農業関係では、今、4月9日時点で、1,900名、200名増えております。水産もですね、加工工場等も含めまして、300名目途が立っていないということであります。トータルでは2,200名足りないということです。内訳は中国が1,240名、ベトナムが280名、ミャンマーが140名、インドネシアが80名、フィリピンが110名、程度ということでございます。そしてこれらの方々に対してですね、労働力支援事業、今回も、補正予算まだ通っておりませんが、農と水を合わせて60億、予算を要求をいたしております。この事業を活用したいと思っております。たびたび申し上げておりますように、JAにも御協力いただきますし、それから、それぞれの業界ですね、例えば、今非常に冷え込んでいる観光業、私の地元でも高千穂の仲居さんで働いている方々とかですね、そういう方々の活用とか、建設業の方々が一部業務のお手伝いをしていただくとか、そういうことも可能だと思っています。それについての財政的な支援をすることもやらせていただきたいと思っておりますし、人材確保のために必要な掛かり増しの労賃、これもですね、金額もきっちりと定めてお示しをしたいと。時給にですね、500円程度上乗せさせていただくことを今考えておりますが、この500円が適切かどうかは更に検討していきたいというふうに思っております。更に農業大学校とかですね、農業高校の研修用の機械とか、そういうものが非常に古いという話もありますので、機械の導入とか設備の更新とか、こういったことの支援もこの機会にさせていただきたい。ですから地域でですね、なんとか地域の農業生産、最近は野菜も値段が上がっていたり、高級食材については下がっておりますけれども、白菜とかですね、その他の一般家庭で流通するものは上がっておりますので、生産力が低下しないように、労働力の確保にも努めてまいりたいと思っております。

記者

  最後の質問した部分の、人数が今後どうなっていくか、これは入国制限の絡みがあると思うんですけど。人数がですね、今後増えていくかどうか。要はこれ、入国制限の管理とかってなかなか重たい難しい話なんですけど、そういった辺はどう見てらっしゃいますか。

大臣

  4月1日で1,700名でですね、申し上げましたように、4月9日で1,900名ですから。今現在研修生で来ていただいている方にはビザの延長措置等をやらせていただいておりますけれども、中にはもう、延長を望まないで帰国されたい研修生の方々も当然おられる訳ですから、新規で入ってくる人がいない、帰国を希望される方はいる、ということであればですね、このトレンドが同じ弧を描くとは思いませんけれども、1,900名よりも増えるということはまず間違いないと思います。たびたび申し上げておりますけれども、JAだけでも全国には24万人の職員の方々、全ての方々がですね、農業に従事できると思っておりませんけれども、しかし、かなりの方々が前向きに検討していただいているという実情もありますので、地域の、例えば商工会とか建設業協会とか観光協会とか、JAとか、あらゆる地域の組織。もちろん市役所、町の役場も含めてですけれども、そういう方々に、まずどこでどれだけの人数が足りないのかということをしっかり把握をしていただいてですね、マッチングすれば、何とか乗り越えていけるのではないかと思っております。

記者

  先日の会見でですね、生乳卸のMMJがですね、北海道内の酪農家から生乳の集荷を停止した問題で、農林水産省で調査する考えを示されていましたが、その調査結果と今後どのように対応するかについて教えてください。あと、今回のですね、MMJの集乳停止の件がですね、畜安法改正など、一連の生乳流通改革の見直しにつながるのかどうか、このお考えについて、この2点について教えてください。

大臣

  今すぐにですね、畜安法の法律の改正についてですね、着手したということはございません。しかし、いつも申し上げてますとおりですね、制度に不備があれば、これは見直すことは当然だと思っています。この畜安法の改正の段階からですね、いいとこ取りというようなことが起こることは極めて不適切である。しかし、そういう事案が見られたことも事実でありますから、しっかりその点は見極めていきたいと思っております。聞き取りはずっとやってまいりました。現段階ではですね。状況は詳しく言ったほうがよろしいですかね。廃棄となった農家、9戸あったわけでありますけれども、そのうちの異物混入が原因で廃棄がされた3戸についてはですね、バルクの修理を終えてですね、MMJを今度は経由せずに乳業メーカーに出荷をしておりました。これが4月からはですね、年度が変わりますから、MMJではなくてホクレンの方に出すというところが3戸、9戸のうちですね。それから、生乳の乳質検査によって廃棄になったのが6戸ありましたけれども、所有者が亡くなった1戸を除いてですね、3戸は乳質が改善されたことから引き続きMMJに出すという判断をされたと聞いています。1つの農家はですね、息子さんに、年度内でしたけれども、経営権をお父さんから息子さんに経営委譲したということでありますから、年度内切替という扱いにせずにですね、ホクレンのほうに出荷先を切り替えた、これは経営者が替わったということであります。あとの1戸はですね、4月からホクレンに出荷を切り替える予定であるというふうに聞いておりますので、MMJに残るのが3戸、その他が6戸、ホクレンですけれども、ということになっていくと思います。
  しかし、これはですね、基本的には酪農家の方々に自分の経営判断で出荷先を選択するという機会をもたらしたこと自体は、前にも申し上げましたように間違ってはおりませんけれども、それによってこのような混乱が起こったことはですね、非常に遺憾なことでもありますので、しっかり聞き取りを行った上でですね、あくまでも両者間の契約ということであってもですね、しっかり農水省としてするべき対応はしていきたいと思っております。

記者

  そうすると、MMJの対応については法令上は問題なかったというふうな判断をされたということでしょうか。

大臣

  法令上の判断を今ここで申し上げる段階にありませんけれども、この事案についてはですね、基本的には当事者間の合意があって契約をしているということでありますから、当事者間の問題もそこには確実にあるということであります。これが畜安法改正後の法律に基づいてどうであったかということについてはですね、出荷者がいいとこ取りをする・しないの問題、それからMMJが受け入れ拒否、それから廃乳したことが、果たして客観的に見て正しい判断だったのかについては、まださらなる聞き取り等が必要ではないかと思っています。

記者

  海外からの食料の供給状況についてお伺いしたいんですけれども、日本では小麦とか大豆、トウモロコシというのは、大半を輸入に頼っております。それで、緊急事態宣言の後のですね、日本ではこうした穀物の仕入れには問題ないと、影響がないというふうにお聞きしておりますが、最近、自国の食料の供給を確保するために様々な国が動きをしていると思うんですけれども、万が一コロナの長期化でですね、自由貿易に徐々に障害ですね、調達に影響が出る場合というのは考えられるのでしょうか。そういう見通しとお考えを教えてください。

大臣

  見通しを申し上げることはですね、国民の不安を惹起するようなことはしたくないので申し上げたくありませんが、現在はですね、それぞれの国が食料の輸出に関して一部、ほんの一部ですけれども、例えばロシアでですね、過去の実績が720万トン輸出実績があった小麦をですね、700万トンという枠をはめた。マイナス20万トンですね。それをセンセーショナルに一部報道もされましたけども、正直なところ、ロシアにそもそも我々は輸入を頼っておりませんので、まず影響がない。しかし、これ以上、例えば本当に1億人とか2億人とか、すさまじい勢いでコロナが世界で猛威を振るえばですね、フランスでは生産現場で人数が足りないような報道もされておりますし、収穫ができないということもあるかもしれません。収穫ができても運んでくれる人がいないかもしれません。ましてや港でですね、ちゃんと輸出の手続をする人、コンテナに積む作業、そういったことも流通が確保できるかどうかも分かりませんので、常に注意深く見ていかなきゃなりませんが、近々、G20の農業大臣会合があります。勿論集まれませんので、夜中にテレビ会談になりますけれども、我々はWTO上の立場としてですね、しっかり食料輸入国としての立場を、その場でも日本の農林水産大臣としてしっかり発信をしていきたい。やはりこういう時こそですね、自国第一主義ということは、トランプさんじゃないけどあるかもしれませんが、世界の秩序を守るためにですね、コロナ後のことも考えて、冷静な行動をとっていただくように要請をしていきたいというふうに考えています。現時点では影響は出ておりません。

記者

  関連してなんですけれども、今回のこのコロナウイルスで生じた事態がですね、日本の食料安全保障とか、今後の日本の食料自給率の議論などに何か影響を与えることはありますでしょうか。

大臣

  私はですね、いい意味であってほしいと思っています。ある意味ですね、この37%という食料自給率について、なんとなく国民の方々も不安に思っておられる方々がいらっしゃるかたわらですね、しかし、どこに行っても欲しい物がいつでも手に入るという、日本のこの食の供給体制が確保されてますから、あまり身近な脅威として感じたことはなかったんだろうと思います。しかし、これから、世界では人口が間違いなく爆発します。日本は少子高齢化ですけど、世界の人口は大きく増えていく。そうなれば、当然世界の耕作可能な面積自体は今増えていませんから。逆に減っている。1960年に比べたらもう、耕地面積は半分近くに減っています。それに比べて人口が増えているということであればですね、やはり日本も今まで以上に自国でどれだけの食料をカロリーベース、生産額ベースでも確保できるかということは、今こそ議論すべき時が来たのではないか。やはり食料の安全保障ということに、国民の関心が向いている今こそですね、常々申し上げている生産基盤の強化をして、国民の皆様方の不安を取り除くような政策をやる時が来たのではないかと、私個人的には、そう思っています。

記者

  豚熱の関係でお願いします。沖縄での移動制限が解除されました。このことについての受け止めと今後新たな発生防止に向けてどう取り組んでいくのかをお聞かせください。

大臣

  まず、非常に沖縄の方々はですね、もうちょっとかな、と思ったらまた出たりして、御苦労をされました。エコフィードのこともあってですね、いろんな御苦労がある中でですね、ここに到達したということに対して、敬意を表したいと思います。よく頑張っていただいたと思います。でも、これを継続していただかなければなりません。移動制限区域内20の農場全て陰性でありますから、1月8日からの移動制限、これで完全解除ということになります。ですから、先月の6日からですね、ワクチン接種も開始しておりますので、今後も衛生に対する、飼養衛生管理基準の遵守という基本中の基本の意識をしっかり持っていただいてですね、アグーの移動もだいぶ進んでいますから、しっかりブランドを守る意味でもですね、しっかり頑張っていただきたい。我々も、できる協力はいくらでもいたしますのでという気持ちであります。

報道官

  他にございますでしょうか。では以上で終了します。ありがとうございました。

以上