(令和2年3月27日(金曜日)17時29分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)新型コロナウイルス感染症(緊急対策本部への格上げ)

【茂木外務大臣】私から2点,最初にお話を申し上げます。まず昨日,新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて,政府対策本部が立ち上げられたことを受けまして,外務省においても直ちに,すでに設置済みの対策室,これは私,外務大臣を本部長とする緊急対策本部に格上げをいたしました。
 外務省としては引き続き,在外邦人及び海外渡航者に対して,適時適切な情報発信・注意喚起を含みます邦人の安全確保及び必要な支援に万全を期すとともに,機動的な水際対策を躊躇なく断行していきたいと思っております。

(2)令和2年度予算案成立

【茂木外務大臣】もう一点,先ほど令和2年度の予算案,成立を見たところであります。外務省分,7,120億円という形でありまして,この中には「法の支配」の推進を含め,我が国が国際的なルール作り等を積極的に指導していくための予算,そして「自由で開かれたインド太平洋」の実現や,SDGsの推進のための必要なODA予算,さらに積極的・戦略的外交活動を展開するための体制整備の予算,こういったものが含まれているわけであります。これらの予算を活用して,一層積極的・戦略的な外交を展開していきたいと,こう考えております。

新型コロナウイルス(G20首脳会議の成果)

【読売新聞 阿部記者】昨晩のG20首脳テレビ会議についてお伺いします。首脳声明では,新型コロナウイルスの治療薬の研究開発資金の増加や,世界経済の成長回復に向けて,強大な財政支援の継続が盛り込まれました。今回の会議の成果について,大臣の受け止めをお願いします。

【茂木外務大臣】非常に人数が多い会議でありましたけれど,非常に有意義であったと,そのように考えて受け止めているところであります。G20でしたよね。G20首脳テレビ会議では,安倍総理から大きく二点,発言をされたと承知をいたしております。
 一点目は現下の事態を収束させるために,治療薬等の開発を一気に加速していくこと,またそのための協力を国際的に進めていくこと。二点目は,リーマンショックの際と同様に,強大な経済財政政策を各国が協調して実施すべきであること。この2点について各国の支持を得た。こういう成果がありました。
 また,東京オリンピック・パラリンピックについて安倍総理から,大会は遅くとも来年夏までに開催するとのバッハIOC会長との合意を紹介して,人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として,完全な形で開催する,こういった開催国の決意,これを表明したのに対して,各国から理解と支持が得られたと,そのように理解いたしております。

【読売新聞 阿部記者】関連でもう一問,治療薬に関してなんですけれども,大臣,先日のG7の外相会合で,国際的な共同開発も,今後視野に入れていこうと呼びかけられましたけれども,具体的にどのような枠組みを想定されているのか,イメージがあればお聞かせください。

【茂木外務大臣】おそらく実際の治療薬の開発となりますと,一昨日の晩申し上げたところでありますけれど,官民の連携を強化していくということになるわけであります。
 ご案内のとおり日本でも,四つの治療薬について,今,治験であったりとかそういったものが進んでおります。またアメリカ等におきましてもそういった取り組み,行われているところでありまして,そういった治験の情報等々について情報共有していく。また,それぞれの医薬品メーカー等が連携をして開発する,こういったことも視野に入っていると思いますが,保健当局間等々で,専門的な議論へ進むことを期待をいたしたいと思っております。

新型コロナウイルス(ペルーで足止めされている邦人の帰国支援)

【テレビ朝日 大石記者】ペルーに関してなんですけれども,ペルーにおよそ260人の日本人の方が足止めされていて,現地の大使館が帰国に向けて,ペルー政府に対して働きかけを行われているかと思いますが,現在のチャーター機の運航の見通しなど,調整状況を教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】二つのルートがありまして,一つは駐ペルーの台北経済文化事務所が手配します民間チャーター便,チャーター機が,現地時間の3月28日土曜日に運行される予定でありまして,この便に邦人25名程度が搭乗する予定であります。またもう一つ,現地に滞在中の邦人旅行者のために,現地時間の次の日になりますが,3月29日日曜日に,民間旅行会社が手配をするチャーター機が運行されることになりました。今,募集をかけているところでありますけれど,現段階で90名程度の希望があります。
 クスコ,リマ,メキシコシティ,ここまで飛んで,メキシコシティからは各自が手配した商用便にて帰国するという形になっております。
 クスコ,リマを中心に希望される邦人の早期の帰国を,今急いでおりますが,それ以外の地方にも60名の方が残っているところでありまして,これはなかなか移動も制限をされておりまして,連絡等をとりながらどういった形で帰国の支援ができるか,検討したいと思っております。

【テレビ朝日 大石記者】確認なんですけれども,この搭乗にかかる費用については,各自自己負担という認識でよろしいでしょうか。

【茂木外務大臣】基本的に,台北のものもそうでありますし,それから,民間,この旅行会社が手配するチャーター機についても自己負担と,このように聞いております。

新型コロナウイルス(各国による入国・移動制限が外交へ与える影響)

【産経新聞 力武記者】新型コロナウイルスの感染拡大で,多くの国で入国制限の措置がとられる中で,外交官の移動にも制約がかかっている状況が続いていると思いますけれども,現状,外交交渉の進捗等で影響が出ている面があるのかどうか,大臣のご認識をお聞かせいただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】できる限りそういった,実際に出張して交渉すべきこと,協議すべきこと,これは今,出張,なかなかできない状況でありますから,電話会議,テレビ会議等々で行う,こういう代替手段をとっているところであります。なかなか今,大きな会議であったりとかそういったものが,ご案内のとおり日本だけではなくて,世界的に延期,中止になる,そういった意味での影響というのはあると思いますけれど,様々な協議について大きな支障が出ていると,この入国制限のために,協議が全く滞っている,こういう状況ではないと理解しております。

新型コロナウイルス(日・インドネシア電話会議)

【エコノミック・マンスリー スシロ記者】先ほどの質問なんですけども,ということはこれからもインドネシアの方に電話会議も行うということですか。

【茂木外務大臣】インドネシアとの間では既に3月23日に,外相電話会談,実施をいたしまして,感染拡大防止のために両国で緊密に連携していく,こういったことで一致を見ているところであります。

新型コロナウイルス(日中首脳電話会談調整状況)

【毎日新聞 田所記者】中国の孔鉉佑(こう・げんゆう)大使が,日本記者クラブの本日の会見で,習近平(しゅう・きんぺい)国家主席と安倍総理の電話会談について,近い将来実現するだろうという中国側の意向を表明したらしいんですけれども,現時点での見通し,あるいは開催が実現前提となりますけど,その意義についてお話しいただければと思います。

【茂木外務大臣】安倍総理と習近平国家主席との間の電話会談,今決まっていることはございません。中国側がそういう意向を持たれているのかどうかも,私(大臣),直接確認はとっておりませんが,いずれにしても,これまでも先日の日中の外相会談,王穀(おう・き)国務委員との間でも実施しましたし,先週末は日中韓でもテレビ会議,こういったものも開催をさせていただきまして,中国との間でも緊密に様々な連携をとってきているところでありまして,今後,情報の共有,また知見の共有,そして水際対策をとる上でも,国際協調が必要でありますから,そういった連携をしっかりとっていきたいと思っております。

新型コロナウイルス(在外公館の体制)

【共同通信 高尾記者】新型コロナウイルスの関連で伺います。今月下旬以降,チェコ,アメリカ,北マケドニアの各大使館に勤務する職員,合わせて4人が新型コロナウイルスに感染したことが判明しました。こうした事例は他にもあるのでしょうか。
 あとまた大使館職員の感染が確認された場合,特にその職員数が少ない大使館では,その業務の継続が厳しくなるのではないかと想定されますが,どのようにして他の職員への感染を防ぎながら,大使館業務を継続させていくのか,大臣の見解をお聞かせください。

【茂木外務大臣】まず,基本的な考え方を申し上げますと,外務省の本省においてもそうでありますし,在外公館においてもそうでありますけれど,手洗いであったりとか,咳エチケット等の対策を徹底すること。そしてテレワーク,時差出勤,こういったものも活用していくこと。そして,どうしても近くで仕事をしていると,そういう濃厚接触者も出てくる可能性もありますので,出勤する人とテレワークでやる人,こういう複数のチームに分けて感染予防と,これを講じる。こういった対策をとっていきたい。
 こういった中で,特に小規模公館について申し上げますと,館員の数も少ないわけですから,館内で感染が拡大して,公館の機能が全面的に停止すると,こういうことになってはいけませんので,今申し上げたテレワークであったりとか,時差出勤の活用,更に館員を複数のチームに分けて出勤させる,またテレワークで働く人,こういうふうな対策をとっていくことは,本省,大規模公館以上に重要だと,そのような対策を進めております。細かいそれぞれの公館については事務方に聞いてください。