令和2年3月27日

1 3月27日(現地時間同日),インドネシア共和国の首都ジャカルタにおいて,我が方石井正文駐インドネシア特命全権大使と先方デスラ・プルチャヤ・インドネシア共和国外務省アジア・太平洋・アフリカ総局長(Dr. Desra Percaya, Director General for Asia-Pacific and African Affairs, Ministry of Foreign Affairs of the Republic of Indonesia)との間で,ジャカルタ特別州の下水道(第1区)の建設及び洪水制御インフラの整備,流域管理事務所の能力強化にかかる支援等を実施するための総額643億6,000万円を限度とする円借款2件に関する交換公文の署名が行われました。

2 対象案件の概要案件位置図(PDF)別ウィンドウで開く

(1)ジャカルタ下水道整備計画(第1区)(供与限度額:570億6,100万円)
 この計画は,ジャカルタ特別州中心部に位置する下水処理区である第1区において下水処理施設の建設及び下水管渠の整備等を行うためにインドネシア政府に資金を融資するものです。本件の実施により,ジャカルタ特別州の適正な下水処理の促進を図り,住民の生活・衛生環境の改善及び水環境保全に寄与することが期待されます。
 ジャカルタ特別州は,急速な経済成長に伴い,人口増加や商業集積が進んでいるものの,上下水道等の都市基盤インフラの整備が遅れています。同州の下水道普及率は11%(2017年時点)に留まっており,河川等の公共用水域や地下水の水質汚染に起因する環境問題や住民の健康被害等,水環境問題が深刻化しています。
 この計画の実施により,事業完成3年後の2028年には,2017年の実績値と比較して,下水処理施設の便益を受けられる人口が0人から989,389人に,下水処理能力が0m3/日から240,000m3/日に増加することが見込まれます。

(2)洪水制御セクター・ローン(フェーズ2)(供与限度額:72億9,900万円)
 この計画は,洪水被害に脆弱なインドネシアの主要地方都市において,洪水制御インフラ(河川堤防,護岸,排水ポンプ所等)の整備,流域管理事務所の組織能力強化等を行うためにインドネシア政府に資金を融資するものです。本件の実施により,対象地域の洪水被害の軽減及び中期的な洪水リスクへの対応能力向上に寄与することが期待されます。
 インドネシアは洪水,地滑り,地震,火山噴火等自然災害が多発しやすい国土であり(2019年は自然災害が3,814件発生しており,そのうち洪水発生件数は784件),同国における災害対策は喫緊の課題となっています。
 この計画の実施により,サブ・プロジェクトの実施地域(現時点では,プカンバル,パダン,ジャンビ,ビマを想定)で河川の水が正常に流れる能力を高めることによって,同地域における洪水被害の軽減等が見込まれます。

3 供与条件

(1)ジャカルタ下水道整備計画(第1区)

  金利 1.2%(コンサルタント部分は年0.01%)
  償還期間 25年(7年の据置期間を含む)
  調達条件 一般アンタイド

(2)洪水制御セクター・ローン(フェーズ2)

  金利 0.8%(コンサルタント部分は年0.01%)
  償還期間 20年(6年の据置期間を含む)
  調達条件 一般アンタイド

[参考]インドネシア共和国基礎データ
 インドネシア共和国は,面積約192万平方キロメートル(日本の約5倍),人口2億6,800万人(2018年,世界銀行),人口1人あたりの国民総所得(GNI)は3,840米ドル(2018年,世界銀行)。