令和2年3月19日

  1.  3月19日(現地時間同日),我が国はジュネーブにおいて,世界貿易機関(WTO)に対し,インドによる情報通信技術(ICT)製品を対象とした関税引上げ措置について,WTO協定に基づき紛争処理小委員会(パネル)設置を要請しました。
  2.  インドは,メイク・イン・インディア政策推進のため,輸入関税の引上げを実施しています。このうちICT製品に関してはインドがWTO協定に基づき約束している関税の上限を超える引上げを行っていることから,我が国は,関税及び貿易に関する一般協定(GATT)に違反する可能性があると考えています。
  3.  我が国はインドに対し,これまで累次にわたり措置の撤回を求めてきました。令和元年5月10日には,WTO協定に基づく二国間協議を要請し,同月23日に協議を実施しましたが,問題が解決されていないため,今般,パネルの設置を要請することとしました。
  4.  我が国は,本件がWTOのルールに従って適切に解決されるよう,今後の手続を進めていく予定です。

[参考1]協議要請の主な対象品目及び関税率

  主な対象品目(インドのHS番号)  関税率
  (1)フィーチャーフォン(HS85171219)  0%→20%に引上げ
  (2)スマートフォン(HS85171211)  0%→20%に引上げ
  (3)携帯電話用基地局(HS85176100)    0%→20%に引上げ
  (4)デジタルマイクロ波通信装置(HS85176290)  0%→20%に引上げ
  (5)プリント回路基板アセンブリ(HS85177010)  0%→10%に引上げ
  (6)スマートフォン用LCDモジュール(HS85177090)  0%→15%に引上げ

(注)いずれもインドのWTO譲許税率は0%。

[参考2]WTO紛争解決制度におけるパネル(小委員会)について
 他の加盟国による協定非整合的な措置によって不利益を被ったとする加盟国は,当事国間での協議を要請できる。協議を通じて60日以内に紛争が解決されない場合,パネルに紛争を付託し,問題とされる措置と協定との整合性について判断を求めることができる。