令和2年3月19日

  1.  3月19日(現地時間同日),パキスタン・イスラム共和国の首都イスラマバードにおいて,我が方松田邦紀駐パキスタン特命全権大使と先方サイヤド・パルヴェイズ・アッバス財務・歳入・経済省経済担当次官(Mr. Syed Pervaiz Abbas, Secretary to the Government of the Islamic Republic of Pakistan, Ministry of Finance, Revenue and Economic Affairs, Economic Affairs Division)との間で,無償資金協力「経済社会開発計画」(供与額5億円)に関する書簡の交換が行われました。
  2.  近年,パキスタンの経済成長率は4%程度にとどまり,経済活性化のためには輸出振興が最も重要な課題の一つとされています。中でも,同国には綿が自生しているため,それらを使用した繊維製品の生産が盛んであり,繊維産業は同国の輸出額の約50~60%を占める主要産業であるとともに,輸出振興の有力な分野であり,同国政府は,繊維製品の輸出力強化に取り組んでいます。しかしながら,現状では同国における繊維産業は,綿糸,シーツ及びタオル等といった伝統的な綿製品の生産が主流であり,市場における付加価値の高い縫製品,人工繊維製品の割合は限定的です。そのため,更なる経済成長や輸出競争力の強化のためには,付加価値の高い繊維製品の生産拡大を含む技術力向上が必要とされています。
  3.  この計画は,パキスタンの繊維産業の技術者を輩出する国立繊維大学に対し,日本企業製品を含む繊維工学関連機材を供与するものです。この協力により,同国の繊維産業における人材育成や技術力向上を図り,もって同国の経済基盤の改善を通じた同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。

 [参考]
 パキスタン・イスラム共和国は,面積79.6万平方キロメートル(日本の約2倍の大きさ),人口約2.12億人(2018年,世界銀行),1人当たり国民総所得(GNI)は1,590ドル(2018年,世界銀行)。