(令和2年3月13日(金曜日)10時58分 於:本省会見室)

冒頭発言

感染症危険情報の発出

【茂木外務大臣】昨晩でありますが,感染症の危険情報,ヨーロッパを中心に発出,更には引き上げを行わせていただきました。内容につきましては,ホームページ等でご覧いただいたとおりであります。

G7外相会合(TV会議)

【共同通信 高尾記者】G7外相会合について伺います。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて,今月24日から25日の日程でピッツバーグで開催予定だったG7外相会合がテレビ会議で行われる,と米国国務省が発表しました。直接対面して話す形式ではなくて,時差もある中,どういったテーマを議論にしたいか,大臣のお考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】昨日,日本時間の未明(3月12日未明)でありますが,ポンペオ米国務長官から,G7外相会合については,元々3月24日から25日にピッツバーグで開催する予定だったのが,その代わりにテレビ会議形式で開催する旨発表があった訳であります。
 会合の開催の形式にかかわらず,G7として国際社会の喫緊の課題について,忌憚のない意見交換を行うことは極めて重要であると思っております。日本として,議論に積極的に参加できるよう,引き続き米国を始めとするG7各国と連携していきたいと思っております。
 24日のワーキング・ディナーから始まって,25日のワーキング・ランチと,これぐらいの時間を考えておりましたが,テレビ会議ということになりますと,どうしても一定の時間的な制約というのも出てくると思っておりまして,今後になりますが,そういった意味でも主要テーマと,絞り込んで突っ込んだ議論ができればと思っております。

新型コロナウイルス(各国による日本に対する入国制限)

【読売新聞 浅野記者】新型コロナウイルス関連でお伺いします。昨日時点で,日本に対して入国制限を行っている国・地域が29で,入国後の行動制限を行っている国・地域は70ありますけれども,まずこういうふうになっている理由についての大臣の現状認識と,今後,日本の取組を説明していくために,どういう発信をなされていくかという点についてお伺いします。

【茂木外務大臣】何度も繰り返しておりますが,そういった入国制限であったりとか,入国時・入国後の観察措置等々については,各国ともに,日本だけではなくて,多くのこのコロナウイルス感染症の感染が確認されている国を対象にしているものだと,そのように考えておりまして,実際に感染者の発生数,外務省のホームページ等々でもご覧頂けると思いますけれど,日本,数で言いましても,今おそらく10番目くらいでありまして,伸びも決して大きくないところであります。
 こういった,日本におきます状況であったりとか,日本での拡大防止策,これはこれまでも適時適切に発信して参りましたし,それぞれの国におきましても,在外公館等々を通じて必要な説明等を行ってきているところでありまして,こういった努力というものは続けていきたいと思っております。
 同時に日本からそういった国に渡航される方もいるわけでありまして,それにつきましても,こういった入国制限等々の情報を提供することによりまして,必要な注意喚起を続けていきたいと思っております。

新型コロナウイルス(日露関係)

【NHK 渡辺記者】ロシア外務省のザハロワ情報局長が,ロシアの外交官の外国への短期出張を必要最小限にするというふうに発表しました。それによって,ミュンヘンで一致した,認識の一致を見た,ラヴロフ外相の日本訪問,あと日露の次官級協議といったものに対して,特に次官級協議,外交官の出張を取りやめるということですので,影響はあると思うんですけれども,ザハロワ報道官は,「そもそも日程が固まってないので,感染拡大の影響はない。日露については,そもそも決まっていない」と言っているのですが,それも含めて今後の日露の外交への影響,それからあと四島交流を含めたビザなしの交流とか,そういったものへの影響というのは,現時点でどう考えていらっしゃいますか。

【茂木外務大臣】ご指摘の発言,必要最低限のものにするということでありまして,禁止するとか行わないと,こういうことではないと,このように理解しております。そして次官級,外相会合につきましては,調整中と申し上げておりまして,まさに調整を行っているところであります。また,今年予定しております様々な交流事業等については,できる限り予定どおり行いたいと,そのように考えておりますけれど,これはご案内のとおり,今,国際的にも様々な行事・会合,そしてまた国際会議等,開催の中止であったりとか延期というのもある訳であります。日本国内の状況であったりとか,この120か国近くに,今,感染が拡大している状況,こういったものを踏まえて,適時適切に判断していきたい。ただ,開催に向けた必要な準備というのは,一つひとつしっかりと進めていきたいと思っております。

G7外相会合

【毎日新聞 田所記者】一番冒頭の「G7外相のテレビ会議」というのに関してなんですが,二国間の外相会談とかもやる,ピッツバーグでやるチャンスはなくなったんですけれども,電話会談など何か参加者との連携を確認するようなご意向はありますでしょうか。

【茂木外務大臣】決まっておりません。

NPT再検討会議

【NHK 高野記者】NPT再検討会議についてお伺いします。一部報道で国連筋の話として,来年への延期が検討されていると,最終調整されているということですが,まず外務省に入っている情報,どのようになっているか教えてもらえますでしょうか。

【茂木外務大臣】報道については承知をいたしております。そのような決定がなされているとは聞いておりません。

【NHK 高野記者】関連ですけれども,先ほども大臣,おっしゃられたように,様々な会議が中止になったりしておりまして,被爆地広島・長崎からも,もしかしたら中止,延期になるかもしれないという懸念も出ています。大臣として延期になった場合,核不拡散の関係で,どの影響が出てくるとお感じでしょうか。

【茂木外務大臣】まだ,延期になったわけではありません。できる限り様々な,先ほど申し上げましたが,重要な会議というのは予定どおり開催できることが,本来は望ましいんだと思います。そういった中で,現在の状況でありますから,そういったものを踏まえて,それぞれ,開催国であったりとか,開催団体,もしくはそこに加盟している国等が意思決定を行うということになるわけでありますけれど,決まっていないものに対して,もしだめだったらどうすると,そういうことに対するお答えは今の段階では控えたいと思います。

新型コロナウイルス感染拡大による外交のスローダウン

【朝日新聞 竹下記者】先ほど来お話がありますけれども,様々な外交日程が延期だとか中止になっていまして,コロナウイルスの感染拡大が外交に影響を与えていると思いますけれども,このような外交がスローダウンをしているような現状を大臣としてどのように見ていらっしゃるかということと,またこういう状況だからこそ,どういった外交活動を展開すべきだとお考えか,お話を聞かせてください。

【茂木外務大臣】今回の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大,WHOはパンデミックという表現を使う形になっておりますが,これはご案内のとおり,外交だけではなくて,経済であったりとか,様々な分野に影響というのが懸念をされているわけであります。一方で,こういう状況であるから,より国際的な協調・連携というのが極めて重要になってきているというふうに考えておりまして,外交面でも,このコロナウイルス感染症対策でどう国際社会が協力できるか,また地域の関係国が協力できるか,様々な形で模索をしていきたいと思っております。

国連人権理事会への北朝鮮人権状況非難決議提出

【読売新聞 浅野記者】ジュネーブでの国連人権理事会に,EUから北朝鮮の人権状況非難決議が提出されました。それに対する日本政府の態度を理由と併せてお願いします。

【茂木外務大臣】共同提案国になります。

新型コロナウイルス(米国による欧州に対する入国一時停止)

【NHK 山本記者】新型コロナの関係なんですけれども,米国のトランプ大統領が,ヨーロッパの26か国からの入国を一時停止するということを決めました。日本がヨーロッパ諸国に採っている措置と比べても非常に厳しい内容でして,EU側は一方的な決定だと強い不満を示しています。先ほど,大臣,国際的な連携が非常に重要になってくるという話もされましたけれども,そういう観点からも,今回の米国の対応について,どのように受け止めてらっしゃいますでしょうか。

【茂木外務大臣】米国の今回のヨーロッパからの一時的な入国停止の発表につきましては,新型コロナウイルスの感染症が米国を含め,世界的に感染の拡大が続いていること,これを踏まえての判断と受け止めております。あくまでこれは防疫上と言いますか,米国国内での感染の拡大を防止をするための措置だと,このように理解をしております。日本としても,国際社会と引き続き緊密に協力しつつ,必要な対応策,躊躇なく実行していきたいと思っております。なお現時点におきまして,日本に対して,ヨーロッパと同じような,入国制限措置を導入するという具体的な話は聞いておりません。

トランプ米大統領の発言(東京オリンピック・パラリンピック)

【朝日新聞 竹下記者】トランプ大統領の発言の関連なんですけれども,日本時間の未明に,東京オリンピックに関して,トランプ大統領ご自身の考えとして,「1年延期すべきかもしれない」と。「残念だが,観客なしで開催するよりましだ」という考えを示しました。感染が世界的に広まっている状況ですけれども,大臣の受け止めと,この夏のオリンピックの開催時期について,いつが望ましいとお考えかお願いします。

【茂木外務大臣】トランプ大統領の発言につきましては,もちろん,承知をしておりますが,予定どおりの大会開催に向けて,今,日本として準備を進めているところでありまして,延期であったりとか,中止を前提とした検討は行っておりません。

WHOと中国の関係

【NHK 渡辺記者】新型コロナウイルスの関係なんですけれども,WHOが「パンデミック」の状況について発表しましたけれども,それと,習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の武漢訪問の際の,抑え込んだという認識を示したということの,順番が,時期的に近接しているということで,いろいろ憶測が出ておりまして,中国とWHOとの関係というもの,21億円,日本円にしてですね,寄付したりした関係もありますけれども,中国とWHOとのそういった関係について,大臣は,何らかのWHOの判断といったものに影響を及ぼしたのかどうか,中国との関係について,対応策,世界的に発表する時期の問題ですとか,何か影響があったのでないかという指摘もありますけれども,大臣はそこをどう見ていらっしゃいますか。

【茂木外務大臣】憶測について,どう思うかというのは非常にコメントしにくいですよ。それは控えさせてください。