令和2年3月12日

1 3月12日(現地時間同日),パラオ共和国のコロールにおいて,我が方柄澤彰駐パラオ日本国特命全権大使と先方ファウスティナ・K・ルウール・マルグ・パラオ共和国国務大臣(Hon. Faustina K. REHUHER-MARUGG, Minister of State of the Republic of Palau)との間で,供与額3.5億円の無償資金協力「経済社会開発計画」に関する交換公文の署名及び書簡の交換が行われるとともに,F・ウミー・センゲバウ・パラオ共和国天然資源・環境・観光大臣(Hon. F. Umiich SENGEBAU, Minister of Natural Resources, Environment and Tourism of the Republic of Palau),及びゲディケス・オライ・ウルドン・パラオ共和国国連常駐代表(Her Excellency Ngedikes Olai ULUDONG, Ambassador, Permanent Representative, Permanent Mission of Palau to the UN)の立ち会いの下,我が方柄澤彰同大使と先方カーク・バヤボス国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)在ニューヨーク事務所持続可能な開発クラスター代表(Mr. Kirk BAYABOS, Head of Cluster, Sustainable Development Cluster, UNOPS New York Service Cluster)との間で,供与額4.0億円の無償資金協力「持続可能な開発目標14実施推進計画(UNOPS連携)」に関する交換公文の署名及び書簡の交換が行われました。

2 対象案件の概要は,それぞれ以下のとおりです。

(1)海上安全及びインフラの改善等のための支援(経済社会開発計画)(供与額3.5億円)
 パラオは,国土が広大な海域に散らばり,国内市場が小さく,国際市場から地理的に遠いなど,太平洋島嶼国に共通する開発上の困難を抱えています。そうした地理的状況の中,現在,同国では船舶の夜間航行等に必要な航路標識が十分に整備されておらず,監視船を含む船舶の安全航行等に支障をきたしています。そのため,昨年度パラオに対し,航路標識を整備する無償資金協力を実施し,現在整備を進めていますが,航路標識の保守・維持管理にかかる海上作業に必要な船舶等の機材の整備が喫緊の課題となっています。
 この協力では,パラオ政府に対し,船舶等の海上安全作業機材を供与することにより,同国の海上安全及びインフラの改善等を図ることで,社会の安定化を通じた経済社会開発に寄与することが期待されます。

(2)アワ・オーシャン会合の開催支援による持続可能な開発目標14(以下,「SDG14」という。海洋・海洋資源の保全及び持続可能な利用。)
  実施推進支援(無償資金協力「持続可能な開発目標14実施推進計画(UNOPS連携)」)(供与額4.0億円)

 パラオは,近年,気候変動や過度な海洋開発の影響により社会経済的な損失を被っており,将来の更なる悪影響を防止すべく,気候変動等への対応策を講じていく必要があります。
 世界規模の海洋問題に対して同国が対応するためには,研究開発への投資に加え,様々な利害関係者との協調的なアプローチが重要となります。
 このような状況の中,同国は海洋に関する国際会議であるアワ・オーシャン会合を本年8月に主催することが決まっています。アワ・オーシャン会合は,各国の政府や,民間セクター関係者や,国際的なNGOが意見を交換し,海洋保護区,気候変動,持続可能な漁業,海洋汚染,ブルーエコノミーや海上保安といった海洋問題に関して前向きな成果を国際社会に示す会合であり,同会合を主催し,様々な利害関係者の協力を進めることが,同国にとって非常に重要となっています。しかし,同国は同会合の開催に必要なインフラや物資等が十分でない状況にあります。
 この協力では,パラオ政府に対し,参加者の移動用及び警備用の車両等を供与し,同国によるアワ・オーシャン会合の開催を支援することで,SDG14の達成への貢献,海洋環境の改善及び海洋に関する産業の持続的な発展を図り,パラオ及び世界の持続可能な社会の実現に寄与することが期待されます。

3 これらの協力は,2018年5月18日及び19日に福島県いわき市において開催された第8回太平洋・島サミットにおいて,我が国政府が表明した支援の柱である「自由で開かれた持続可能な海洋」,及び「強靱かつ持続可能な発展の基盤強化」に資する協力として実施するものです。

[参考1]パラオ共和国基礎データ
 パラオ共和国は,面積488平方キロメートル(屋久島とほぼ同じ),人口17,907人(2018年,世界銀行),1人当たり国民総所得(GNI)は17,280米ドル(2018年,世界銀行)。

[参考2]第8回太平洋・島サミット
(1)第8回太平洋・島サミット(PALM8)は2018年5月18日及び19日に福島県いわき市において開催。16の太平洋島嶼国・地域,オーストラリア及びニュージーランドの首脳級等が出席。パラオからはレメンゲサウ大統領が参加した。

(2)我が国は,PALM8において,(ア)自由で開かれた持続可能な海洋,(イ)強靱かつ持続可能な発展の基盤強化,(ウ)人的交流・往来の活性化の3つを柱として,今後3年間でこれまでの実績も踏まえた,従来同様の,しっかりとした開発協力の実施及び成長と繁栄の基盤である人材の育成・交流の一層の強化を表明した。