(令和2年3月10日(火曜日)10時32分 於:本省会見室)

冒頭発言

2019年版開発協力白書の公表

【茂木外務大臣】本日の閣議におきまして,「2019年版 開発協力白書」の公表について発言いたしました。
 今回の白書は「世界を結(むす)び,未来を紡(つむ)ぐ」という副題を付け,G20大阪サミット,TICAD7や,これらの会議で打ち出された質の高いインフラ整備,教育・人材育成やイノベーション等について,焦点を当てて取り上げているところであります。
 また,「参加型白書」を目指して,SNSやODAメールマガジンを活用して題材を公募したコラムを掲載しているほか,一般の方が撮影した「グローバルフェスタJAPAN2019」写真展の作品も,特集ページを設けて掲載する等して,幅広く国民の皆さんに親しみを持ってもらえるよう工夫もしております。
 本白書を通じて,我が国の開発協力について,国民の皆さんの理解と一層の支持を得つつ,開発協力そして地球規模課題の解決に積極的に貢献していきたいと考えております。

日露関係(次官級協議)

【産経新聞 力武記者】日露関係についてお聞きします。ミュンヘンでの日露外相会談で,ラヴロフ外相の早期の訪日を招請されたと思います。その前段となるモルグロフ次官と森外審との協議というのが,モルグロフ次官がコロナ対応に当たっているということで,なかなか協議の見通しが立っていないと思うんですけれども,現状そうした中で想定されている交渉とか,協議の日程に影響が出ているのかなという気がしますが,こういった日程を含めて今の現状,協議の現状をどのように見ておられますでしょうか。

【茂木外務大臣】次官級協議,そしてラヴロフ大臣と私との会談につきましても,現在日程は調整中という段階でありまして,できるだけ早く調整できればと思っております。

北朝鮮による発射事変

【共同通信 高尾記者】北朝鮮による飛翔体発射についてお伺いします。河野防衛大臣が先ほど北朝鮮が昨日発射した複数の飛翔体について,短距離弾道ミサイルが少なくとも2発含まれていると発表しました。これに基づいて,日本政府として北朝鮮に抗議したのでしょうか。内容や日付などについて教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】抗議いたしました。北朝鮮は,9日7時34分から35分頃,東部の宣徳(ソンドク)付近から,北東方向に少なくとも2発の短距離弾道ミサイルを発射したと推定されます。なお,落下したのは,我が国の排他的経済水域(EEZ)の外側であると推定されております。
 北朝鮮による弾道ミサイルの発射は,関連する国連安保理決議に違反するものであり,極めて遺憾だと思っております。北朝鮮は,特に昨年5月以降,弾道ミサイル等の発射を繰り返しており,こうした発射は,我が国のみならず国際社会に対する深刻な課題であります。北朝鮮に対しては北京の「大使館」ルートを通じて,厳重に抗議いたしました。
 外務省としては,発射直後から米国及び韓国と連絡をとり,緊密な連携を確認し,情報の収集・分析に全力を挙げているところであります。引き続き,日米韓で緊密に連携を取って対応していきたいと思っております。

新型コロナウイルス(各国からの入国制限)

【日経新聞 加藤記者】新型コロナウイルスに関連して,日本を含めた感染国から入国制限・行動制限についてお伺いします。ここ数日でも,かなり各国からの入国規制や行動制限が増えて生きていると思います。これまで外務省として在外公館に対して各国政府に対して説明等々されてきていると思いますが,今後対外発信でどのような課題があるか,各国に対してどのように働きかけていくお考えかお伺いさせていただけたらと思います。

【茂木外務大臣】これまでもそうでありますが,今,外務省のホームページを見ていただいても,各国の発生件数がどうなっているかと,グラフ等を見ていただきますと,日本の伸び,まだ増えておりますけれど,そんなに,例えば韓国,イラン,イタリア等と比べて高くない。更には,数字的に,このダイヤモンド・プリンセス号を除いた国内の感染の確認者で言いますと,日本は米国よりも少ない。その上に,今申し上げた国であったりとか,フランス,ドイツ,スペイン等々の国も並ぶと,こういう状況になっていると,これは事実関係であります。
 同時に日本として,今とっております水際対策であったりとか,また国内での感染の拡大を防止するための,クラスターとクラスターの遮断であったりとか,採っております様々な対策について,丁寧に各国においても説明をする,こういった努力を続けているところでありますし,同時にいろいろな,海外からどんな状況かとお問い合わせ等がありましたら,それに対しても丁寧に対応しているところであります。

新型コロナウイルス(中国による我が国への査証免除措置の一部停止)

【NHK 渡辺記者】中国が,観光などで訪れる15日以内の短期滞在のビザを免除してきた措置を,一時的に今日から停止しますけれども,これに対して茂木大臣としてはどう考えていらっしゃるか,この措置に対して。これは外交なので,恐らく日本がやったのでカウンターとして来た話かもしれませんけど,そのへんどう受け止めていらっしゃるのか。あと,中国側との,こういった意味での意思疎通というのはどういった形でやっていらっしゃるのか,お互いのためにやっている措置として位置付けているのか,それとも,双方対抗措置的な,対決的な姿勢になってしまっているのか,そのへんはどうなんでしょうか。

【茂木外務大臣】まず,これまでも説明してきておりますように,日本の今回の入国制限,そしてまた,査証等の停止等につきましては,水際対策,国内での感染拡大の防止のために行っている対策である,こういったことを中国,韓国に対しても,しっかりと説明をしてきているところであります。
 中国政府の今回の措置の背景について,説明する立場にありませんが,中国側からは今般の措置は感染症対策のためのものであり,ご指摘のような対抗措置ではない,こういう説明を直接聞いております。

【朝日新聞 竹下記者】関連なんですけれども,中国・韓国向けのビザの効力停止措置ですけれども,その後,人道的観点から,新規にビザを認めた事例はあるのかどうかということと,あと,新規にビザを発給する際の方針とか条件について,外務省として定めていらっしゃいましたらお願いします。

【茂木外務大臣】ちょっと,事実関係は確認してないので,私(大臣)は,認めたという例については聞いておりませんけれど,ちょっと事務方の方に確認していただければと,そういうふうに思っておりますが。当に特段の事情,様々な特段の事情が考えられると思いますが,その特段の事情に当たるものについては,新規でビザを発行したり,こういったことはあり得るということであります。

新型コロナウイルス(韓国による入国制限,対抗措置)

【朝日新聞 太田記者】関連してお伺いしますが,先ほど,中国側からは対抗措置ではないというお話だったんですけれども,韓国政府は日本の入国制限の措置の事実上の対抗措置として,このような動きをしていると思われますが,大臣の受け止めをお聞かせください。

【茂木外務大臣】韓国政府の措置の背景について説明する立場にはない,そのように思っております。

【NHK 渡辺記者】たびたびすみません。今の質問,関連です。対抗措置ではないという説明は中国側から受けてらっしゃるということなんですけれども,韓国の場合は,対外的に対抗措置であるということを全面的に出しておりますけども,この受け止めというか反応の違いというのは,どこから起因するものなのか,大臣,お考えとしてはどうでしょうか。

【茂木外務大臣】私(大臣)が先ほど言いましたように,それぞれのなんというか,中国の措置,それから韓国の措置について,相手の国の対応でありますから,それについて説明する立場にはないということを申し上げましたが,中国については,対抗措置ではないという説明を直接受けております。韓国からは,そのような説明を受けておりません。
 ただ,いずれにしても今回の新型コロナウイルス感染症,これはアジアだけでなくて,今,ヨーロッパであったり,そしてアメリカ等々,世界に広がっている感染症でありまして,国際的な連携と,また近隣諸国との連携と,これは極めて重要だと考えておりまして,我が国としてはそういう観点を重視していきたいと思います。

新型コロナウイルス(イタリア政府による移動制限)

【テレビ朝日 大石記者】イタリアの件でお伺いさせていただきます。イタリア全土で移動制限が10日から出るということなんですが,外務省として把握されている在留邦人の方の人数と,帰国を希望される邦人に対して,例えば今後,チャーター機を派遣されるなど,現状考えられている,検討されている支援をお聞かせいただければと思います。

【茂木外務大臣】ごめんなさい,この間も申し上げたんですけど,数字は事前におっしゃっていただければしっかり対応します。

新型コロナウイルス(グランド・プリンセス号)

【朝日新聞 竹下記者】アメリカで着岸したクルーズ船のグランド・プリンセスの関係なんですけれども,日本人の乗客・乗員4名いらっしゃると思いますけど,その方々に。

【茂木外務大臣】何名。

【朝日新聞 竹下記者】4名いらっしゃると思うんですけど,その方々への対応,今後,日本に帰国されるのか,それとも2週間,アメリカ国内で隔離されるのか,政府として把握している状況ありましたらお願いします。

【茂木外務大臣】これらの方々は,少なくとも日本には在住していらっしゃらない方々が大半であります。そういった意味から,日本への帰国というのは希望されないんだと思うのですが,今もサンフランシスコ総領事館であったりとか,現地におきまして,きちんとご本人と連絡をとりながら,そのご意向も確かめ,出来る限りの支援をしていきたいと思っております。