令和2年3月9日

,P>1 3月6日(現地時間同日),ボリビアの首都ラパスにおいて,我が方古賀京子駐ボリビア特命全権大使と先方カレン・ロンガリク・ロドリゲス・ボリビア多民族国外務大臣(H.E. Mrs. Karen Longaric Rodríguez, Minister of Foreign Affairs)との間で供与額5億円の無償資金協力「経済社会開発計画」(医療機材供与)に関する書簡の交換が行われました。

 

2 ボリビアでは近年の経済成長により,貧困層に対する社会サービスが改善し,妊産婦死亡率や幼児死亡率が減少しつつありますが,依然として人口1万人当たりの医師数は8.9人と中南米域内の平均17.7人を大きく下回っており,病院の数・人材・機材・薬品も恒常的かつ圧倒的に不足し,また栄養失調や都市と農村部の格差等の問題も残っています(2018年極貧率は14.7%,貧困率は33.2%(出典:国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)2019)。

3 そうした状況を踏まえ,ボリビア政府は2019年3月に全国統一医療システムを導入し,持続可能な開発目標(SDGs)に含まれるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の拡大に取り組んでいます。たとえば,「2025年までの長期的発展のためのアジェンダ」,「2016-2020年経済社会開発計画」等で「全国民の保健サービスへのアクセス」を目標として掲げ,妊産婦死亡率を現状より50%削減し,幼児死亡率については現状より30%削減する等具体的目標指標を定めています。これらの努力により,医療設備の数は増加しており,新しく導入された国民皆保険により,国民の51%(約550万人。多くは貧困層)が無料診療を享受できるようになった一方で,患者数の急増に病院のインフラ整備が追いつかず,機材不足により十分な医療サービスを患者に提供できない病院もあることが課題となっており,機材の整備が急務となっています。

4 この計画は,我が国で製造された医療機材(バイプレーン血管撮影システム,コンピューター断層撮影装置,新生児用人工呼吸器,超音波診断装置等)を供与することにより,同国の保健サービスの普及・向上を図り,もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与するものです。

【参考】
(1)持続可能な開発目標(SDGs)
 2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。

(2)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)
 世界中の全ての人が生涯を通じて必要な時に基礎的な保健サービスを負担可能な費用で受けられること。

[参考]ボリビア他民族国基礎データ
 ボリビア多民族国は,面積約110万平方キロメートル(日本の約3倍),約1,135万人(2018年世界銀行)。人口1人当たりの国民総所得(GNI)は約3,370米ドル(2018年,世界銀行)。