日時 令和2年3月6日(金曜日)8時56分~9時14分 於:本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)新型コロナウイルス対策に関する農林水産省北海道現地対策本部の設置について
  • (大臣から)「森林組合法の一部を改正する法律案」の閣議決定について
  • (大臣から)花いっぱいプロジェクトについて
  • 新型コロナウイルス感染症による農林水産業への影響と農林水産省としての今後の対応について
  • 中国への牛肉輸出再開の見通しについて
  • 新たな農林水産物等の輸出額の目標について

 

大臣

  私から冒頭3点、御報告がございます。
  1点目は、「新型コロナウイルス対策に関する農林水産省北海道現地対策本部の設置について」でございます。明後日、8日、北海道に伊東農林水産副大臣を派遣をいたしまして、現地対策本部を設置いたします。5名の職員も同時に派遣をいたします。北海道は現時点で83名が感染されているという状況でありますが、まだ農林水産業関係の方では発症は見られないというものの、大変危機感が高まっています。一方で我が国の重要な食料基地でありますこのような地域において、酪農を始め、畑作、卸売市場、水産業など、可能であれば関係者と意見交換を交えながら、事業継続のガイドライン、この策定を進めるということで、現地対策本部を設置するということにしたものです。ガイドラインの策定は、生産者や流通業者の方々の不安を解消する一助になるものと考えておりますので、詳細につきましては、この後、プレスリリースをさせていただきますのでよろしくお願いします。
  2点目は、本日の閣議におきまして、「森林組合法の一部を改正する法律案」が閣議決定されたことでございます。この法律案は、地域の林業経営の重要な担い手である森林組合が、組合員との信頼関係を引き続き保ちつつ地域の森林整備に取り組みながら、販売事業を拡大して経営基盤の強化を図ることが出来るよう、組合間の多様な連携手法の導入、正組合員資格の拡大、事業の執行体制の強化等の措置を講ずるものであります。この法律案によりまして、山元への利益の還元が一層進むことを期待しているところであります。この法律案については、今国会で成立できるよう、速やかな御審議をお願いしたいと考えております。詳細につきましては、事務方に御確認いただければと思います。
  3点目は、「花いっぱいプロジェクトについて」でございます。このテーブルの上にも、この会見の場にも花が飾ってありますが、私の胸にもコサージュを付けさせていただいております。花きは、例年3月、これがですね、一番の書き入れ時でございます。卒業式、お彼岸、それから結婚式とかですね、歓送迎会、そういうイベントが多い時期に、この新型コロナウイルスの影響をもろに受けております。需要が急激に減少し、キャンセルが出て、出荷ができないという状況が発生しております。そこで、農林水産省が率先して、家庭、そして職場に花を飾り、花の購入を促進する取組をやることにいたしました。これが「花いっぱいプロジェクト」でございます。この壇上にも花が飾ってありますし、私の胸にもコサージュを挿しておりますけれども、更にはですね、来週の土曜日3月14日、これは「ホワイトデー」でございます。日本人はですね、なかなか花をプレゼントすることに照れくさいというところがあるかもしれませんが、是非今年の3月14日のホワイトデーにはですね、例え義理チョコであってもですね、お花を返していただくということをしていただければ、そういうことを国民の皆様方にお願いしたいと思っております。そして記者の皆様方もですね、どうも日本は家庭や職場に花を飾る習慣が少ないように思いますので、この機会にですね、そういった習慣をつけていただければありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  私からは以上でございます。

記者

  新型コロナウイルスの影響が各方面に拡大しています。学校の臨時休校に伴う給食の中止であるとか、昨日は中国・韓国からの入国制限なども新たに打ち出されました。先ほど大臣からのお話もありましたけれども、北海道に現地対策本部を設けられるということもありますけれども、改めて農林水産業への影響と省としてどう対応されるのかお聞かせください。

大臣

  今日の夕方もですね、対策本部を開きます。とにかくですね、何が起こっているのかという情報を正確に把握することが、まず大事だと思っています。断片的にはですね、豊洲で何が起こっているのか、大田市場で何が起こっているのか、例えばホタテで何が起こっているのか、和牛で何が起きているのか、子牛の価格であったり、枝肉の価格であったり、そういうものは分かりますけれども、さらに詳細にですね、各局に督励をして、相談窓口の設置を今日行います。そして現地の農政局の職員はですね、現場を回って、いろんな現場の状況について、お話を聞いて、それを報告するように言ってあります。
  そして給食等につきましてはですね、加工原料乳に回す。その差額について、なんとかすべくですね、今、一生懸命努力中ですが、もちろん牛乳だけではなくて、パンであったり、麺であったり、果物であったり、いろんなものが学校給食では提供されているわけでありますから、そういうもので、安値で売却せざるを得なかったもの、それから廃棄せざるを得なかったもの、それにはですね、予定していたけども、野菜等で出荷さえできずにですね、農家の庭先で廃棄してしまったものも含めてですね、しっかり把握をして、それに対する対策もしっかり講じていきたいと思います。昨年も大変な年でありましたが、このコロナウイルスによる景気の冷え込み、そしてインバウンドの減少、輸出の停滞ということが起こればですね、やはり我々一次産業も生産現場には大変な大きなダメージがあることは否めないと思っております。
  私は就任以来ですね、生産基盤の強化ということを、常に一番先頭に思ってやってきたつもりでありますが、今この段階においてはですね、生産基盤を守ると、何がなんでも守る、厳しい状況においてはですね、生産基盤を守り抜くという覚悟を持ってですね、危機感を持ってこの事態には対応していこうということで、本省の職員一同ですね、大変な緊張感を持ってやっているという状況です。

記者

  先ほどお話しされた北海道の現地対策本部についてなんですけれども、全国の中で北海道に設置する理由とですね、あと現地対策本部で具体的にどういう対応に当たっていかれるのかということについて教えていただければ。

大臣

  具体的なことはですね、リリースしますので聞いていただきたいと思いますが、やはり、北海道はまずクラスターが見られること、そして政府としても国が調達したマスクをですね、送らなければならない状況であること、そしてなんといっても日本一の農業産出額を誇る北海道であります。そして酪農のことを申し上げればですね、家族経営の酪農家のところで発生をすれば、家族は全て濃厚接触者となり、そうするとその日から搾乳はできなくなり、その時に搾乳しなければ、乳房炎になって、牛の健康は破壊され、最悪死んでしまうこともありえる。あらゆることが考えられます。ローリーの運転手が罹患したら生乳は運ばれないかもしれません。漁船で発生した乗組員全員、休漁しなければならないかもしれません。ですから本来であればですね、他にもクラスターが出ているところがありますから、出したいところはたくさんありますけれども、伊東副大臣が北海道の御出身で、極めて北海道の農政には精通されているということでありますので、現場の方々とですね、しっかりと意思疎通できる彼であればですね、このマニュアルの作成、ガイドラインの作成についても、省としての方針を反映させながら現場の御意見を踏まえたものが作れるのではないかということで、一昨日、副大臣と相談しまして、昨日提案をしまして、昨日の会議でその方向が決まりまして、明後日から月曜日までですけれども、さしあたりですね、国会が開かれていますから、なかなかその先は国会の御了解がいるんでですね、どうしたらいいか、ちょっとまだ考えておりますけれども、事態によってはですね、伊東副大臣が北海道に貼り付くということも視野に入れての派遣と受け止めていただいて結構であります。

報道官

  他ございませんか。

記者

  大きく3点あります。1点目は正式に昨日、習近平国家主席の国賓来日延期が発表されました。かねてから特に畜産業界、九州の方では中国向けの輸出解禁というものの一つのきっかけとして大変期待が高まっていたことだと思っております。このことについてどう受け止めてらっしゃるのか。また、中国政府が判断することだと思うんですが、解禁の時期が遅れるおそれなどについてどう考えておられるか、それを伺えればと思います。

大臣

  私は別のことだと思っております。これまでどのような経過をたどってきたかについては、先方様との信頼関係がありますので、申し上げられませんが、然るべき手続はしっかり踏んで進んできております。完全にですね、入国ができないということになったわけでもないということでございますので、14日間ですね、停留という条件がつきましたけれども、私の大臣としての気持ちを申し述べさせていただければですね、現在、子牛の値段も枝肉の値段もですね、非常に厳しい状況が発生いたしております。今日本人はですね、渡航禁止になっておりますけれども、こういうときだからこそですね、中国政府が日本から中国への輸出を解禁してくださるということであればですね、それは通常のタイミングよりも私ははるかに日本の畜産農家の方々のですね、中国に対する思いを新たにされると思いますし、正直なところ、日本の畜産農家にとって、大変な助けとなり得ますので、然るべき手続の進め方をですね、習近平国家主席の来日が延期されたからなくなるということでは決してないと、しっかりと進めるというつもりでございます。

記者

  もう一つ、輸出の関係なんですけれども、新型コロナの影響がどんどん拡がっているという中で、1兆円目標、昨年達成できなかったものはなんとか今年という話を大臣おっしゃっておられましたけれども、現状の状況をみてですね、1兆円、その先の5兆円もあるとは思うんですが、まず1兆円の今年の達成の見通しについて改めてどう考えておられるのか。

大臣

  これはどこで終息するかが全く予断できませんので、もしかしたらあと1週間で山を越えてですね、振り返ればですね、思ったよりも早く、影響は限定的で済んだねということが言えるのかもしれません。全く予想はつきませんから、なんとも言いようがありませんが、しかし、私ができることはですね、農林水産物を介してこれが拡がることはまずない。食品を介してコロナウイルスが拡散することはないということですね。ですからそういった風評がですね、広まることがないように、我々としてはしっかりとした情報発信をしていかなければならないというふうに思っています。そしてこれからですね、いかなる事態が起こってもやはり農林水産行政においては出口戦略、これはとても今まで以上に大事になってきますから、大きくなっていく世界のマーケットにアクセスしていくという強い姿勢は、これからもですね、持ち続けていきたいというふうに思っております。

記者

  最後にもう1点、先ほどの大臣の話で、学校の給食に関連してなんですけれども、牛乳だけではなくて、麺など出荷ができなかったもの、あるいは畑でそのまま棄てることになってしまったものについては、なんとか支援をと話をされたと思います。それは10日に発表される予備費の使い方の中でそれも入ってくるということですか。

大臣

  それは、私は財務当局ではありませんので、なかなか今、断定的なことはもちろん申し上げられませんが、出荷できなかったものだけではなくてですね、休校になって、例えば、この2週間の間、私が農家だとするとですね、どこどこの給食センターにリンゴを何個納入する予定で、もう契約をしていたとか、というものもあると思います。そういうものについてはやっぱり、きっちりまず文部科学省とも情報共有をしながら把握しなければなりません。そういったことも含めてですね、今回は国の要請によってそのような事態が現場では生まれてるわけでありますから、どう考えてもですね、牛乳だけやるというわけにはいきません。生乳をですね、加工原料乳に回すという方向性はもう示しているわけですから、ほかのものについてはですね、市場に出されることになるんでしょう。そこで、納入金額と果たして同じ価格で取引をされるのか。全く遜色のない取引がされるのか。それとも、半値でしか売れなかった、いろんなケースがあると思うんですね。なかなか今この時点でですね、どの品物にどれだけの単価で払いますということは、多種多様であるがゆえになかなか言えませんが、しかしそこに対してですね、全く我々が無策であるということは許されないだろうということでございます。

報道官

  他ございませんか。

記者

  花についてなんですけれども、全く花について価格の安定補償の制度がないですけれども、支援が必要かと思います。今後、プロモーション等も含めて、どういった支援をしていかれるお考えか教えてください。

大臣

  今おっしゃるとおりですね、なかなか花については野菜価格安定制度の対象となっておりませんし、例えば野菜であればですね、最終的には畑にすき込むとかですね、それはいろんなやり方ありますが、花の場合はそうはいきません。それで、生花であるのか切り花であるのか、それによっても多種多様であると思っております。ですから、この価格の推移もですね、大変厳しいものが正直あります。ここですね、出荷さえできないということも出ておりますので、これは新しい制度で今の段階ですぐ是正しますと言うことは残念ながらできませんが、しかし、放っておけないという強い思いを持っています。ですから、国民の皆様方にですね、是非、まずは買っていただきたい。そして国産の肉、国産の野菜、やはりこういうときは、総理もですね、国民の皆様方にも御負担をお掛けしますがというお話をされましたけれども、お互いに助け合うというですね、そういう気持ちを是非持っていただければ大変ありがたい。
  お花についてはですね、この機会に、3月14日には、是非奥様にも、もしかしたらおばあちゃんにも、そういった方にもお花を送ることによってですね、生産者はまず元気が出ますし、それが国民的なムーブメントにもしなればですね、これは価格が上にベクトルが向くということも不可能ではないと思っていますので、私たちのところにはフェイスブック、それからツイッター、それからBUZZ MAFF等もですね、10万人を超えるフォロワーを持っておりますので、ネットも使ってですね、積極的に広報活動をやらせていただきたいと思っております。花に限ったことではないということです。

記者

  今朝の輸出の関係閣僚会議で、官房長官から新たに輸出目標として2025年に2兆円、2030年に5兆円という新たな目標が示されましたが、これの達成に向けて、改めて農水省としてどういうことをされていくのか、教えてください。

大臣

  私が本部長になるわけでありますから、まず縦割りの排除、これまではですね、これまでのことを批判的なことは言うつもりはありませんが、やはり例としては、新設以来2年間、輸出の許可が出ないという食肉の加工施設があったことも事実としてあるわけでございます。ですから、そういうことがまずないように。そして、輸出先国のですね、いろんな規制とか、それとか、福島原発にかかわる放射能に関することについてはですね、日本が10倍の厳しい数値目標をつけているにもかかわらずですね、物が出せないということは、これは科学的知見に基づいて道理の通る話ではありませんので、そういったことについてはですね、先頭に立ってですね、働きかけも進めていきたい。
  そして、マーケットは確実に大きくなっていく。人口も確実に世界では増えていく。そこでは食が求められているということは間違いがありませんので、そこにアクセスをしていくということであればですね、まずは中期目標を達成し、10年後に5兆円を目指すことは、確かに高い目標、そして、ましてや今、コロナが発生しているこの現下にあってはですね、さらに人によってはですね、それはもう無理なんじゃないかとおっしゃる方もいるかもしれません。しかし、日本のマーケットが小さくなっていく以上ですね、外にしっかりとしたマーケットを確保し、プロモーションをしていかないと、日本の生産基盤を守れませんし、439万7千ヘクタールの耕地面積も守っていけません。荒廃農地も9万2千ヘクタールあります。これは優良農地として復活させていかなければならない。そういった大きな政策目標を達成するためにはですね、その一助として輸出は大きなきっかけとなるものでありますから、頑張ってチャレンジしていこうと思っております。

報道官

  他よろしいでしょうか。以上で終了します。ありがとうございました。

以上