(令和2年3月3日(火曜日)18時28分 於:本省会見室)

日中関係(習近平中国国家主席の訪日)

【産経新聞 力武記者】習近平(しゅう・きんぺい)主席の訪日についてなんですけれども,今日,大臣は予算委員会で,「今日の時点で予定に変更はない」というふうにおっしゃっていました。一方で,「十分な成果を上げるものとする必要がある」とも答弁されていまして,以前この2月の記者会見で,準備会合が延期になっている部分もあるので,その準備を加速していく必要があるとおっしゃっていました。今のところ,日本も中国もコロナウイルスに対しての対応に,国を挙げての対応に追われている中で,この準備会合,今現在開けている状況にあるのか,それともまだ難しい状況が続いているのか,そこら辺のご認識をお願いいたします。
 
【茂木外務大臣】まず,新型コロナウイルス感染症の拡大防止,そして早期の沈静化,これは中国,日本,更には韓国であったり,イラン,イタリアを含め,国際社会全体が直面する大きな課題だと思っておりまして,先日の楊潔篪(よう・けつち)政治局員との会談の中でも,この新型コロナウイルス感染症に関して,日中間でも情報の共有であったりとか,しっかり連携をしていきたいと,こういう話はしているところであります。そのことについては,最優先で進めなければならない,こういった認識については,日中で完全に一致していると思っております。
 その上で,今日時点ではですね,今日時点では,習主席の訪日の予定に変更はないものの,中国国家主席の訪日は,十年に一度のことで,十分な成果を上げるものとする必要があり,この観点から日中間で緊密に意思疎通していると。
 当然,何日かすれば,いろいろな状況が変わったりということで,それによって表現の仕方も若干変わってくる部分があると,そこは賢明なプレスの皆さんによくご判断いただければと思います。

日本原水爆被害者団体協議会からの後援名義申請

【東京新聞 上野記者】本紙の取材によるとなんですけれども,NPTの運用検討会議に合わせて,被団協が行う予定の写真パネル展で,被団協が外務省に後援を求めたところですね,福島原発やチェルノブイリ原発に関するパネルを外すよう求めがあり,外さない場合は後援を行わないという旨を伝えてきているとの指摘があるそうです。この事実関係と,もしも事実であれば展示に対する政府側からの圧力ではないかとの指摘もあるようですが,この点についてのお考えをお願いいたします。
 
【茂木外務大臣】先般,外務省に対しまして,4月末から行われますNPT運用検討会議の際に,国連本部で開催予定の原爆展について,後援名義の使用許可申請,これがあったと承知しております。現在,外務省にて,しかるべく審査中でありまして,申請団体とのやり取りについてこの段階でコメントすることは控えたいと思います。

新型コロナウイルス関連のイランへの支援

【読売新聞 浅野記者】新型コロナウイルスに関連してなんですけれど,先ほど,大臣もおっしゃたように,イランでも,今,感染者とか死者が結構,増加していまして,イギリス,フランス,ドイツの3か国が防護服や検査機器の支援ですとか,500万ユーロを支援する用意があるという表明をしましたけれども,今,日本として,イランに対する支援の検討とかありましたら,教えていただけますでしょうか。
 
【茂木外務大臣】イランをはじめとします途上国において,新型コロナウイルスの感染が拡大している状況,これは大きな懸念材料でありまして,今,グローバルに人の行き来があると。更には経済活動と,こういったものもグローバル化している,こういう現状において,国際社会全体として感染対策を行うと,これはひいては我が国にとっての感染対策にもつながってくると,こんなふうに考えております。
 もちろん今,政府としても,国内の更なる感染拡大を防ぐことと,これが最優先課題でありますが,イランをはじめとします途上国に向けた支援につきましても,様々な,例えば国際機関もあります。そういうところから,様々な形でアピールも出されていることもありますので,そういったものも含めて,然るべく検討したいと,こんなふうに思っております。

日本からの入国制限をしている国・地域

【共同通信 高尾記者】新型コロナウイルスの関連で伺います。日本人や日本からの渡航者に対する入国制限を設定した国について,現在,把握していらっしゃる国や地域の数,あと,もしよろしかったら,国名の方も教えていただけませんでしょうか。
 
【茂木外務大臣】まずですね,冒頭申し上げるのは,日本だけに対して入国制限措置等を講じている国・地域はない,こういうことでありまして,当然,新型コロナウイルス感染症が確認されている国・地域,全部か,ある程度の国かということは,それぞれ違ってくる部分はありますが,そういった形でありまして,本日,朝の時点で外務省が確認している限りにおきまして,まず18か国の関係当局が,我が国を含みます新型コロナウイルス感染症が確認された国・地域からの入国制限を実施をしていると承知をいたしております。18か国,それから地域でありますが,ミクロネシア,サモア,キリバス,ツバル,ソロモン諸島,コモロ,イスラエル,イラク,クウェート,サウジアラビア,モンゴル,トリニダード・トバコ,マーシャル,バーレーン,バヌアツ,クック諸島,仏領ポリネシア,キルギス,この18か国・地域であります。
 またこの新型コロナウイルス感染症が確認された国・地域からの渡航者等に対しまして,入国時あるいは入国後に医療検査措置や観察措置等を実施している国・地域が37ございます。全部言ったほうがいいですか。あとで事務方がやっても構いませんが,今,言ったほうがいいなら言いますけど。37。どっちがいいですか。
 
【共同通信 高尾記者】大臣からお願いします。
 
【茂木外務大臣】中国,リベリア,タジキスタン,パレスチナ,カザフスタン,インド,この中にはケララ州を含みます,イスラエル,ジブラルタル,ナイジェリア,ベネズエラ,ベトナム,タイ,ラオス,トルクメニスタン,ジョージア,バーレーン,ネパール,コロンビア,パラグアイ,スーダン,ベナン,アゼルバイジャン,ロシアのサハリン州,ミャンマー,ブータン,台湾,仏領ポリネシア,マルタ,セントビンセント,セントルシア,チリ,シエラレオネ,ラトビア,カナダのアルバータ州,及びサスカチュワン州,香港,ウガンダ,クロアチア,この37か国・地域であります。
 これらの国に対しましては,改めて日本国内の状況であったりとか,対策を丁寧に説明するとともに,必要な申し入れを行っているところであります。また渡航者に対します入国制限措置,または入国後の行動制限について,外務省として把握しております情報については,外務省の海外安全ホームページ等に掲載をして,渡航者,現地法人に広く注意喚起を行っているところであります。