2020年3月3日

経済産業省は、非財務分野を中心とする企業報告(※1)の内外動向を踏まえ、新たな議題設定の下、令和2年2月20日に第20回企業報告ラボ企画委員会を開催し、日本企業が抱える課題等について意見交換を行いました。

1.背景・問題意識

国際社会において、経済や外部環境の不確実性が高まる中、企業が持続的に価値を創造していくためには、企業と投資家等ステークホルダーとのさらなる対話が必要であるという問題意識から、経済産業省は、平成24年に企業報告ラボを立ち上げ、実務に即した企業報告のグッドプラクティスや国際情勢の共有・意見交換を行ってきました。

近年、国内では、スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードが制定される等、制度面での進展があるとともに、企業側にも、統合報告書等での記述内容を充実させる動きがあることから、ますます企業報告への関心と重要性が高まってきています。

こうした関心の高まりは、グローバル大の傾向であり、特に欧州では、非財務情報開示のルールメイキングが進み、任意のレポーティングフレームワーク (※2)間でも、一貫性・比較可能性を探る動きがあり、今後、日本企業の経営にも影響を与えると考えられます。

海外の議論において重視されている視点の一つは、非財務情報/価値が財務に与える影響です。財務に与える影響をどのように把握するかを検討しつつ、どのような場合に、法定開示と任意開示のどちらで開示するべきかを考えることが必要になっています。

また、統合報告書等の普及により、企業価値創造プロセスを適切に開示し、投資家との対話に積極的に取り組む企業が増加した一方で、企業報告作成や対話を通じて得た気づきを経営に生かすための仕組みや、社内体制の整備には課題があるといえます。

こうした現況を踏まえ、企業報告ラボ企画委員会の議題を、昨今の国内外の動向に即した形で改め、今回より、2ヶ月に1回程度の開催頻度で活動することとしました。

(※1)「企業報告」:企業が、投資家やその他のステークホルダーと行う、企業価値向上のための経営方針や戦略、ガバナンス、及び財務状況等についてのコミュニケーション。

(※2)「レポーティングフレームワーク」:企業報告を作成するために、企業が参照する開示枠組。例として、国際統合報告フレームワーク(IIRC)、SASBスタンダード、GRIスタンダード等がある。

2. 目的

上記を踏まえ、企業報告ラボ企画委員会は、企業、有識者、投資家等をメンバーとし、以下を目的とした活動を行います。

  • 国内外の企業報告に関する動向を適時に把握するとともに、効果的かつ効率的な企業報告のあり方や、それを支える社内体制のあり方、企業報告を通じて得た気づきを経営に活かすための工夫について、グッドプラクティスを収集し意見交換を行うこと。

  • 企業報告にかかる先進的な議論を行う委員会として、国内外の関係者(企業、投資家、国際機関)とのネットワークを構築すること。

3. 開催概要

日時:令和2年2月20日(木曜日)14時00分~16時00分

場所:経済産業省 本館7階 未来対話ルーム

議題:企業報告に関するグローバルな動向と日本企業が抱える課題について

※委員による率直かつ自由な意見交換を確保するため、本研究会は非公開としています。

内容:

会議の冒頭、委員より、企業報告に関する取組や投資家とのコミュニケーションについての情報共有がなされました。

委員からは、様々なレポーティングフレームワークの個別の開示推奨事項にだけ着目するのではなく、それらの基本原則を共有・理解し、企業報告の目的を熟考する必要があるとの指摘がありました。また、制度開示と自主的な企業報告の棲み分けや、ポジティブ情報とネガティブ情報、比較可能性と個別性について、どのようにバランスを取って記載すべきかについても議論がありました。さらに、企業報告のガバナンスについて、取締役会のコミットメントや社外取締役の関与の必要性に関する意見がありました。

※議論の詳細は、令和2年4月頃に開催予定の第21回企業報告ラボ企画委員会 の後、まとめて公表します。

関連資料

担当

経済産業政策局企業会計室長 松本
担当者:石川

電話:03-3501-1511(内線 2545)
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