令和2年2月26日

1 2月26日(現地時間25日),メキシコの首都メキシコシティにおいて,我が方髙瀨寧駐メキシコ特命全権大使と先方クリストファー・ガスコン国際移住機関(IOM)メキシコ駐在事務所代表(Mr. Christopher Gascon, Representative of IOM (International Organization for Migration) in the United Mexican States)との間で供与額2億100万円の無償資金協力「メキシコ南部国境地帯におけるシェルター及び政府移民施設能力強化計画(IOM連携)」(The Project for Strengthening the Capacities of Shelters and Governmental Migratory Facilities in the Southern Border of Mexico)に関する書簡の交換が行われました。

2 2005年には44万人であったメキシコに流入する移民数は増加の一途をたどり,2019年には半年(1から6月まで)のみで約50万人にまで達しました(メキシコ国家移住庁統計)。中でもメキシコへの難民申請者数は,2013年の約1,300人から2018年には約3万人,2019年には約7万人となっています(メキシコ難民委員会発表)。さらに,米国への難民申請の審査を待つ間はメキシコでの待機を余儀なくさせられている中米移民も,2019年末時点で5万人以上に上っています。こうした数の増加だけにとどまらず,これまで単身者が多かった中米各国からの米国を目指す移民が,ここ数年キャラバン化されたことにより,多くの女性,子どもや老人を含む家族単位での構成となっており,従来と異なる複合的な対応が求められるようになっています。

3 この計画は,メキシコ南部国境地帯において,シェルター及び移民一時滞在施設の補修並びにこれら施設における事業従事者への研修等を行うものです。現在,年間4万5千人の人々が現地NGOなどが運営するシェルターに滞在し,また9万2千人の人々がメキシコ政府運営の移民一時滞在施設を利用していますが,著しく増加する移民の人々への対応が追いついていません。この協力によりメキシコ国内に滞留する移民受入体制の強化を図り,これら移民の人々がより適切な環境で保護を受けながら生活を送ることができ,また研修を受けた事業者の支援を受けながら自発的帰還を前向きに検討する機会も得ることが可能となり,中米地域内の人間の安全保障の確保,地域の安定及び同国との三角協力に寄与することが期待されます。

[参考]メキシコ合衆国基礎データ
 メキシコ合衆国は,面積約196万平方キロメートル(日本の約5倍),約1億2,619万人(2018年世界銀行)。人口1人当たりの国民総所得(GNI)は約9,180米ドル(2018年,世界銀行)。