2020年2月18日(火曜日)
9時33分~9時46分
於:記者会見室

冒頭発言

「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案」及び「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」の閣議決定

初めに私から1点申し上げます。

先ほど「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案」と「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」を閣議決定いたしました。

両法案は、近年の情報通信技術の進展を背景として、安全安心なデジタル基盤を整備するためにセキュリティ等が確保された5Gやドローンのインフラ整備を促進し、中小企業等にとって重要な取引基盤であるデジタルプラットフォームの透明で公正な運営を確保するための措置を講ずるものであります。両法案の早期成立に向けて、全力で取り組んでまいります。

詳細については、後ほど事務方から報告をいたします。

私のほうからは以上です。

質疑応答

GDP速報値、キャッシュレス・消費者還元事業

Q:おはようございます。内閣府が昨日発表した2019年10月から12月期のGDP速報値は、昨年10月の消費税増税による個人消費の落ち込みなどが影響して、年率換算で大幅なマイナス成長となりました。
消費税増税に伴って、需要平準化対策としてキャッシュレス決済のポイント還元制度を導入していますが、そうした中で今回このような大幅なマイナス成長になったことに対する大臣の受け止めと、またポイント還元制度の効果に対する御見解をお願いします。

A:まずは全体的についてなんですが、2019年10月から12月の実質GDPの1次速報、前期比で年率換算でマイナス6.3%、5四半期ぶりのマイナス成長となったことは承知をしております。
公需、公の需要が増加基調にあり、経済を下支えする一方で、個人消費は7月から9月期の需要の増加の反動に加えて、台風や暖冬の影響、さまざまな要因もあり、10月-12月期は2.9%の減少となりました。
ただし、個人消費の動きを見ますと、前回の消費税のアップのとき、2014年の引上げ時と比べますと、2014年は1-3月期の前期比プラス2.0から、4-6のマイナス4.8へと大きく低下したのと対し、今回は7-9のプラス0.5から、10-12のマイナス2.9へと低下幅、変化幅が小さくなっているということでもあります。
消費税率引上げ後の景気対策については、ポイント還元の事業だけではなくて、軽減税率や自動車や住宅に対する減税、プレミアム付商品券、また教育の無償化など、あらゆる施策を総動員して対応してきたところであります。こうした対策もあって、消費税引上げ前の需要増とその後の落ち込みは前回ほどではないということだと考えております。
御指摘のポイント還元事業につきましても、昨年11月に実施したアンケート調査によれば、消費税率引上げ前にまとめ買いする可能性のあった消費者の約半数が、ポイント還元を理由にまとめ買いをしなかったと回答しております。また、参加中小店舗の約4割が売上げや顧客獲得に効果があった回答しており、需要平準化対策として、中小店舗における消費の下支えに一定の効果があったと考えております。
このポイント還元事業の政策の目標というのは、その需要の平準化が一つ目、二つ目は中小店舗の支援というのがあります。三つ目にはキャッシュレスのインフラ整備というか、端末を導入していくかということで支援をしていくということでして、この3点については、目的に沿った効果が出ているのではないかなと思っております。
いずれにしましても、多くの人に利用してもらうために更に周知を図っていく、将来のキャッシュレス化に向けて、その決済インフラとなる端末の導入もしっかりと図っていかなければならないと思っておりますが、あと景気の動向については、様々な要因もあるということを先ほども申しましたけれども、様々な角度から注意深く見守った上で、適切な対応をしてまいりたいと思っています。

「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案」及び「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」の閣議決定

Q:本日閣議決定された2法案に関してなんですが、まず一つ目のデジタルプラットフォーマー取引透明化法案は、消費者保護と産業振興の両面でバランスを取るのが課題となっていますが、経産省としてどうされていくのかというのが第1点。
もう一つ目の5G・ドローン関連法案なんですが、NECなどが昨日サイバー防衛を視野に入れた事業強化策を発表しています。こうした法整備が民間の安全保障の取組強化にどのような効果を持つのか、経産省としてどう御覧になっているのかをお伺いさせてください。

A:まず1点目、デジタルプラットフォーマー取引透明化法案ということですが、この法案は中小企業等とデジタルプラットフォーム提供者との間の取引の透明化、公正化を目的とするものであります。
デジタルでない場合であっても、BtoBの取引というのは、それぞれに情報を共有している、透明化をしていかなければならない、そういった中で必要性が生じているものであると思います。
デジタルプラットフォームの提供者の自主的取組を基本とする旨を法案の基本理念に定めるなど、イノベーションと取引の適正化のバランスを取った内容となっております。
また、デジタルプラットフォームの提供者に対しまして、デジタルプラットフォームの運営状況に関する毎年度の定期報告を求め、評価することとしておりますが、取引先企業に加えて、消費者も含めた様々な関係者の意見を聞いた上で評価をすることとしております。
また、BtoBの当事者のみならず、その利用者、消費者の利便性が図られているかどうかということについても、評価をしていくことにするということであります。
また、5Gに関しましては、この分野では各国の主要キャリアを中心に整備が必要となる情報通信システムについて、単独のサプライヤーに任せるのではなくて、複数のサプライヤーにオープンにしていく方向と認識をしております。
こうした方向を踏まえて、本日閣議決定した5G関連の法案では、税制等で支援する事業計画の要件の一つとして、オープン性に注目をする方針であり、国内外の企業がそれぞれの強みを持ち寄って連携していくことを後押ししてまいりたいと思っております。
NECが米国の大手通信機器サプライヤーのシスコ社と協議をする旨を発表したことは承知しており、時宜を得たものとして、今後の取組に期待をしてまいりたいと思っております。
さらに、政府としては、産業界の実態をよく踏まえつつ、新法に基づいてこうした企業連携の事例を他にも広げてまいりたいと考えております。

分散型エネルギーの推進

Q:分散型エネルギーについて伺います。
宮古島や岡山県などで取組が進んでいまして、今国会でも配電網の免許制などが審議される見通しですけれども、経産省として分散型エネルギーの意義と今後の進め方はどうお考えですか。

A:再エネの主力電源化を目指していく上で、地域社会と一体となった地産地消型の再エネ導入の取組を推進することは極めて重要であると思っております。そういった中で分散型のエネルギー、また配電事業というのが出てくると思っております。
特に昨今、太陽光発電コストの低下や蓄電池等の技術革新が進む中で、その可能性は一層高まっていると思っております。
また、災害時のレジリエンス確保の観点やこれを通じた地方創生の観点からも意義が大きく、現在その機運が高まりつつあると思います。
昨年、台風の災害がありました。大きな送電網の中で1カ所不通になると全部が影響を受けるということでありますが、分散型であれば災害時に対応できる。そこで遮断をして、地域の電源で対応することができる。また、地域の電源が駄目になったときに、大きな送電網ネットワークの中で対応ができるということもあり、技術革新、例えば蓄電池であるとか、ネットワークの技術革新であるとか、そういったことも含めて、今までは集中と選択というような言葉がいろいろな分野で使われてきましたけれども、分散、多様化というものも一つの価値観ということで、地域のそういう分散の配電事業、そしてエネルギー、再エネの取組というものもしっかりと応援をしてまいりたいと考えています。

「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案」の閣議決定

Q:5Gドローン関連法案について伺います。
5Gの通信設備を巡っては、米国側の安全保障の観点から、中国サプライヤーを導入しないように日本を含む同盟国に求めていますが、今回の新法案との関連について伺わせてください。

A:本法案はあくまでも安全安心な5Gやドローンのシステムの早期の普及を後押しする振興法、振興するための法律でありまして、特定の国の企業や製品の排除を念頭に置いたものではありません。

新型コロナウイルス感染症、サイバーセキュリティ

Q:新型コロナの関連で、中国でも自動車メーカーなんか一部の企業で操業を再開したりしていますけれども、サプライチェーンの影響などを今どう見ていらっしゃるのかというのと、あと三菱電機のサイバー攻撃の関連で、先週締切りで企業に報告を求めていたと思うんですけれども、その状況について教えてください。

A:まずコロナの関連で、サプライチェーンということですけれども、それぞれの企業と中国に進出をしている企業、中国で製造しているものが日本の製造現場にも影響するようなものも含めて、今、個々に情報の共有をしているところであります。
中国における工場は、それぞれの地方政府の許可によって再開ができるかどうかということもある。また、春節後の物流であるとか、また個人の交通手段ということも含めて、なかなか100%に戻る状況には今の時点ではないということで、生産調整もされているということも聞いております。
そういったことも含めて、今後どのような影響が生じてくるのか、製造の現場、また日本の経済、個々の会社の操業ということも含めて、今情報収集をしているところでありまして、そのしわ寄せが中小企業等に行かないように対応することも大切なことでありますし、また資金繰りということで、保証枠、融資枠というものもしっかり持った上で、全力で応援をしてまいりたいと思っております。
あとは、サイバーでしたね。今詳細について報告書が出てまいりましたけれども、詳細について、またその報告書に基づいて聞き取りをしているところで、約1カ月ぐらいを目途に発表ができればと思っております。文書でのやり取り、メールでのやり取りではありますけれども、それらに詳細について意見交換をする必要性もありますし、またそれだけでは把握し切れない部分というのもありますので、今そういった作業をしているということであります。

以上

最終更新日:2020年2月18日