令和2年2月7日(金)

 今朝の閣議では,法務省案件として「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
 今国会における成立に向け,慎重かつ丁寧な御審議をお願いしたいと考えております。
 続いて,私から3件報告がございます。
 1件目は,新型コロナウイルス感染症への対策についてです。
 中華人民共和国で感染が拡大している新型コロナウイルス感染症についてでございますが,上陸を拒否し得る外国人の範囲を追加するため,昨日,これまでの取扱いを変更する閣議了解がなされました。
 すなわち,これまでの本邦への上陸の申請日前14日以内に中華人民共和国湖北省における滞在歴がある外国人等に加えて,法務大臣は,当分の間,香港発船舶ウエステルダムに乗船している外国人については,同船舶内において感染症の発生のおそれがあることに鑑み,特段の事情がない限り,出入国管理及び難民認定法第5条第1項第14号に該当する外国人であると解する,とするものです。
 日本時間の本日午前0時から,この取扱いを行っております。
 法務省としましては,国民の皆様の生命と健康を守るため,引き続き,関係機関と連携し,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止に向け,徹底した水際対策をとってまいります。
 2件目ですが,この度,「児童虐待とたたかう法務省プロジェクトチーム」による検討結果として,「法務省児童虐待防止対策強化プラン」を取りまとめました。
 この強化プランは,政府を挙げて取り組んでいる児童虐待防止対策について,法務省が有する資源・ノウハウを最大限活用し,児童相談所等に協力していくものでございます。
 具体的には,各地の法務省関係機関に児童虐待担当窓口を置きます。例えば,法務少年支援センター(少年鑑別所)において,心理に関する専門的知見を活用し,親や児童の心理分析に協力するなど,各地の法務省関係機関が提供し得る資源・ノウハウを児童相談所等に提示し,その求めに応じて提供することなどを内容としています。
 法務省としては,この強化プランを着実に実施し,厚生労働省等の関係省庁との連携をより一層強化しながら,児童虐待の根絶に向け,尽力してまいります。
 3件目ですが,この度,法務省では,男性職員の育児休業等の取得促進に向けた取組を強化することといたしました。
 新たな取組の一つ目は,「ホウム・イクボス」の結成です。
 これは,法務本省だけでなく地方を含め,全ての管理職がグループを結成し,グループごとに育児に伴う各種制度の勉強会や課題検討等を実施するものです。
 二つ目は,育児休業等の取得モデルの設定・周知です。
 これは,いわゆる「男の産休」とセットで育児休業を取得するモデルや,年末年始や夏期休暇に併せて育児休業を取得するモデルなど,具体的に取得モデルを設定し,これを全職員に周知するものです。
 管理職の意識改革を図り,いわゆる「プッシュ型」によって取得を促すとともに,育児休業等の取得の明確なイメージを共有することにより,これを取得しやすい環境作りを押し進めてまいります。
 法務省としては,これらの取組により,男性の職員の育児休業等の取得を力強く推進してまいります。私も,年頭所感で,男性職員の育児休業取得100パーセントを目指しますと申し上げましたので,それを目指して頑張ってまいりたいと思います。
 

在留申請手続のオンライン化に関する質疑について

【記者】
 大臣は先日の衆議院予算委員会で,在留資格認定証明書の交付申請や変更許可申請をオンライン手続の対象とするほか,特定技能の在留資格も対象とする予定だとおっしゃいました。現在の詳しい検討状況を教えてください。

【大臣】
 在留申請手続のオンライン化ですが,昨年7月から,外国人を適正に雇用しているなど,一定の要件を満たす所属機関の職員の方などが,外国人の依頼に基づいて,オンラインで「在留期間更新許可申請」等を行うことができるようにしておりましたが,本年3月からは,更なる利便性向上のために,対象とする手続に「在留資格認定証明書交付申請」や「在留資格変更許可申請」等を追加するとともに,対象とする在留資格に「特定技能」を追加する予定です。現在,出入国在留管理庁において,関係省令案の意見公募(パブリックコメント)を行っております。
 法務省としては,この意見公募(パブリックコメント)の結果を踏まえて,オンライン手続対象の拡大に向けて,準備を進めてまいりたいと思っております。

【記者】
 対象とする在留資格に特定技能が追加されるのは3月からですか。

【大臣】
 本年3月からです。

新型コロナウイルス感染症に関する質疑について

【記者】
 ウエステルダム号について,特段の事情がない限り上陸を拒否する閣議了解がなされました。一方で,そもそも船の入港自体を許可しないのではないかという話もありますが,改めて,今後同様のケースがある場合も今回のような対応をされていくのか,方針をお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】
 香港発のウエステルダム号船内において感染症の発症の疑いがあると判断いたしましたので,国民の命と健康を守るため,出入国管理及び難民認定法第5条第1項第14号の適用対象としたわけでございますが,今後も同様の事案が発生した場合には,速やかに同様の措置をとるものと考えております。

【記者】
 海外の洋上にあって日本に寄港予定の船舶に感染者がいたとすれば,同様にその船舶における外国人は今後も入国拒否するという方針でよろしいでしょうか。

【大臣】
 感染者がいればという御質問でしたが,先ほども御説明したとおり,感染が拡大するおそれがある場合には,関係部局と相談の上,出入国管理及び難民認定法第5条第1項第14号に当たるかどうかを判断していくということでございます。

「法務省児童虐待防止対策強化プラン」に関する質疑について

【記者】
 児童虐待PTの取りまとめ結果についてですが,御紹介いただいたように,今回全国に窓口を設置するということで,その辺りの期待される効果について,御所感がありましたら,お願いいたします。

【大臣】
 私の地元福島県もそうですが,地方において児童相談所の人材不足ということに悩んでおります。児童虐待の深刻な事例が報告される中,人材不足等に対応するために,政府全体で児童虐待の対策を推し進めてまいりました。この中で,法務省は,地方に,法務局,法務少年支援センター(少年鑑別所)といった様々な拠点を持ってございますが,そこにいる職員が様々なノウハウを持っているわけです。例えば少年鑑別所では,鑑別をするために少年に心理テストをしたり,非行少年の親御さんに対して,カウンセリング的な面談をするなどの,専門的なノウハウを持っております。児童相談所が心理学的な専門性を持った人材が不足しているということですので,こういった少年鑑別所の職員が講師として赴いて話をするなどして,法務省が貢献できたらということで,今回の強化プランの一つに挙げました。
 それ以外にも,法務局,地方法務局,地方検察庁,少年鑑別所,保護観察所,法テラスといった法務省の様々な地方機関が連携して,全てに窓口を置き,そしてそこにあるそれぞれが児童相談所とつながる,そして,児童相談所とつながったそれぞれが自分たちが今何をやっていて,どういう動きをしているかということについて,法務省内でも連携をして情報を密に交換し合うために,連絡協議会も設置いたしました。こういったことで,児童虐待の防止のために,法務省としてできることを精一杯やっていこう,そういった思いでございます。

東京高検検事長の人事に関する質疑について

【記者】
 東京高検検事長,黒川弘務氏の定年延長の閣議決定問題について,森法務大臣の国会の答弁がありましたが,元検事の郷原信郎弁護士が「法律解釈としても疑問だし,実質的な理由も全く理解できない」と指摘しています。また黒川氏の定年延長について政府は国家公務員法の特例規定を根拠としていますが,検察官は国家公務員法による勤務延長の対象外で,検察庁法に違反の疑いがあるとの指摘があります。黒川検事長の定年後勤務延長には違法の疑いがありますが,それについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 違法ということはなく,法律の適用に問題はないと考えております。国会で答弁申し上げたとおり,検察官については一般職の国家公務員でございまして,国家公務員法の規定により,いわゆる勤務延長制度が適用されるものでございます。検察官であっても,他の一般的な国家公務員と同じように,人事院規則に書いてあるような,勤務延長の理由が生じることがあると考えておりますので,勤務延長について理由がないとは考えておりません。

(以上)