2020年2月10日(月曜日)
10時01分~10時09分
於:記者会見室

質疑応答

日本製鉄の合理化策

Q: 大きく1つのテーマで1点だけお願いします。

日本製鉄は先週、呉製鉄所の閉鎖など大規模な生産設備の合理化策を発表し、雇用への影響など地域に波紋が広がっています。この件での大臣の受け止めをお願いします。

また、鉄鋼業界では中国、韓国の台頭が指摘されて久しいですが、他国との競争が激しくなる中、日本の業界の競争力強化策など、国の立場でどういった支援、対応が考えられるのか御所見をお願いします。

A: 今回の日本製鉄の発表は、自社の国際競争力を強化し、国内の生産基盤全体を維持するために重い経営判断をしたものと認識をしております。

鉄鋼業、特に高炉のある製鉄業は地域経済の中核であり、その休止が与える影響も大変大きいものだと考えています。地域の方々には製鉄所を一緒に支えてきたとの自負もあると思いますし、日本製鉄には地域の方々に丁寧に説明を尽くすことを期待をしているところであります。

また、新興国の台頭により国際競争が激しさを増しているというのは、御指摘のとおりであります。省エネ・環境技術などを推し進めて優位性を強化していくことが必要であり、当省としても石炭の代わりに水素で鉄鉱石を還元する技術開発などを支援しており、今後も官民一体で進めてまいりたいと思っております。

加えて、世界の鉄鋼業が直面する過剰生産能力の問題の解決にも取り組む必要があり、これまでも鉄鋼グローバル・フォーラムの成果も踏まえつつ、多国間の取組と中国を含めた二国間の連携強化の双方を進めているところでありまして、これらをまた今後とも進めてまいりたいと思っております。

2018年の時点で世界の粗鋼生産能力は22億トン、粗鋼の需要は18億トンということで、生産能力が約4億トン上回っているということで、日本の4年分の生産量でもあるわけであります。これは2015年の時点の7億というよりは改善したとはいえ、なかなか厳しい数字だなと思っておりますし、これが減らしたのはグローバル・フォーラムの成果であったと思いますけれども、更にまた今後は中国との話合い、また世界の鉄鋼需要ということで、どう世界中で考えていくか。自国だけじゃなくて他国の鉄鋼が入ってくる可能性がある。そうすると、自国の鉄鋼業にもかなり影響があるという中で、自由競争の反面、そういった地域の自国の雇用や産業という課題も抱えていますので大変難しい課題だと思いますけれども、しっかり議論をして解決へ向けた最善の努力をしてまいりたいと考えています。

新型コロナウイルス感染症

Q: 新型コロナウイルスの感染拡大に関連してなのですが、9日までとされた中国主要都市の操業停止期間が一旦は終わりました。ただ、感染症対策や部品調達などで難しい面があるとされ、日系企業でも操業を先送りしたところがあるようです。

現状を基にサプライチェーンを含む日本企業への影響、日本経済への影響をどのように御覧になっているか、お聞かせください。

A: 経済産業省では、ジェトロや企業、そして地方経済産業局、中小企業団体から多方面にわたって情報収集をしているところであります。

まず、中国の地方政府の指示により、旧正月以降も停止されていた産業活動について、本日2月10日より大部分の地域では再開可能となったものの、多くの企業からは生産活動が元に戻るまでには相当の時間を要するのではないかという声を聞いております。

これは個別に、個別の事業者について地方政府の事業再開の許可が円滑に得られるかどうかという問題もあります。また、人の移動が制限されている中、十分な従業員を確保できるかどうかという課題もあります。

物流の停滞もあり、部品や原料を安定して得られるかなどの様々な課題があるためと承知をしております。

これにより、中国との輸出入の取引がある日本国内の企業への影響や、中国で生産される部品がグローバルサプライチェーンにつながっている場合には、その生産活動にも影響が生じ得るということであります。

また、訪日外国人観光客の3割を占める中国が団体旅行等を停止したことによるインバウンドの減少が国内のサービス業、宿泊業、飲食業、小売業などの事業者に与える影響についても注視していく必要があると思っております。

今は企業と直接に、海外に製造現場を出している企業と直接にやりとりをする、また先ほど申しましたように、中国にある大使館、そしてジェトロ、または企業の出先とも情報を交換をすることによって今状況を見極めているということでありまして、個々の企業の状況については、それぞれの企業の都合というものもありますから、まだまだそれぞれの企業が発表する段階ということで、私どもから言及はできないと思っております。

いずれにしましても、中国、グローバルサプライチェーンどうなっていくかということを見てまいりたいと思いますし、向こうは先ほど申しましたように2月10日からといっても地方政府の許可が必要ということで、湖北省以外のところでも、湖北省はまだ更に延びますけれども、そういった中で不確定要素があるということで情報を今集めているところだということで御理解いただきたいと思います。

九州電力のシステム障害

Q: 九州電力のシステム障害についてお聞きしますけれども、年明け以降に九電の営業系システムが障害が発生して、電力料金の請求書発送ができなくなるなどの影響が及んでいます。直近、6日の発表では、影響は約68万件に広がっていますが、送配電部門の分社化を4月に控える中で、こうした障害が発生したことへの受け止めと、国として何か対応というようなお考えがあれば教えてください。

A: まず電力供給の分野と、また料金精算のシステムということで別のところだということでの認識があります。その上で今御指摘のように、需要家約68万件に対して電気料金の請求遅延などの障害が出ていると承知しております。

経産省は報告を受けてより直ちに、九州電力に対して一刻も早い事態収拾に向けた指導を行うとともに、電力・ガス取引監視等委員会により報告徴収を行い、復旧見通しや再発防止策を求めたところでもあります。

九州電力からは、目下、障害の復旧を進めており、3月を目途に対応を完了すると報告を受けておりますが、私の感覚ではやっぱり遅い、もっと早くこういう対応をしなくちゃいけないということだと思っております。

いろいろなところでサイバー攻撃とかいろいろなことが言われています。今回は違いますけれども、やはりこういったものをいかに早く復旧させるかということも安心・安全、それぞれの企業の信頼につながるものだと思いますし、いろいろな可能性が疑われる場合でも、とにかくまずは報告をした上で復旧に全力を尽くすというのが本来の姿だと思いますので、しっかりと対応をしていただきたいと思います。

需要家への適切な対応と、一刻も早い事態の収拾のために指導を行ってまいりたいと思っています。

以上

最終更新日:2020年2月10日