1.  2月8日,午前11時20分から約120分間,茂木敏充外務大臣は,訪日中のドミニク・ラーブ英国外務・英連邦大臣兼首席大臣(Rt Hon Dominic Raab MP,Secretary of State for Foreign and Commonwealth Affairs and First Secretary of State of the United Kingdom)と協議及びワーキング・ランチ形式で第8回日英外相戦略対話を行ったところ,概要は以下のとおりです。
     また,今回の協議を踏まえ,共同プレスステートメント仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)を発出しました。

    1 冒頭
    (1)茂木大臣から,EU離脱(PDF)別ウィンドウで開く後最初の外国訪問での訪日を歓迎する,天皇皇后両陛下は,御代替わり後初めての外国御訪問として本年第2四半期に英国を御訪問予定である,日英の友好関係の継続と発展を歓迎する旨述べました。

    (2)また,茂木大臣から,英国のEU離脱について,「合意なき離脱」が回避されたことへの評価を含む外務大臣談話を発出した旨述べるとともに,英国のEU離脱後も,日英両国は引き続き自由,民主主義,市場経済,人権の尊重,法の支配といった基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであり,アジアへの関与を拡大している英国との間で,「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力を含め,経済,安全保障・防衛,文化等あらゆる分野で一層日英関係を強化していきたい旨述べました。

    (3)これに対しラーブ大臣から,EU離脱後,日本との関係では政治,経済,安全保障・防衛等を含め,あらゆる分野で今まで以上に関係を強化していきたい,日英は基本的価値を共有する最も重要なパートナーであるとの発言がありました。

    2 二国間関係
    (1)両大臣は,2019年1月の安倍総理訪英時に日英首脳間で一致したとおり,「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け,海洋安全保障等の各分野での協力を引き続き強化することを確認しました。

    (2)両大臣は,日英「2+2」について,近年の日英協力の大幅な進展を踏まえ,EU離脱後の中長期的な協力の方針を議論すべく,早期開催に向けて引き続き日程調整することで一致しました。

    (3)両大臣は,二国間で新たな経済的パートナーシップを迅速に構築していくことを改めて確認しました。茂木大臣から,事務レベルで予備的な議論が始まっており,できる限り早期に交渉を開始し妥結することで一致した旨述べました。また,ラーブ大臣からTPP11について改めて関心の表明があったのに対し,茂木大臣から,英国の関心を歓迎し,支援を継続したい旨述べたところ,ラーブ大臣から日本による支持に対する感謝の意の表明がありました。

    (4)東日本大震災後のEUによる日本産食品等輸入規制について,茂木大臣から,EU離脱を踏まえ,科学的根拠に基づく輸入規制の早期撤廃を要望しました。

    (5)両大臣は,5Gを含むサイバーセキュリティの確保についても協議し,今後も連携を深めていくことを確認しました。

    (6)文化・スポーツ交流に関し,茂木大臣から,2020年東京五輪の際の英国関係者の訪日を歓迎するとともに,両大臣は,昨年のラグビーW杯と本年のオリンピック等をつなぐ「日英文化季間」やスポーツ交流等を通じて関係を深化させていくことで一致しました。

    3 地域情勢
    (1)北朝鮮情勢について,北朝鮮の完全な非核化に向け,安保理決議の完全な履行を堅持することの重要性を改めて確認しました。「瀬取り」対策は喫緊の課題であり,引き続き連携していくことで一致しました。また,拉致問題の早期解決について,ラーブ大臣の理解と支持を得ました。

    (2)東シナ海・南シナ海問題について,両大臣は日英両国の立場が一致していることを確認すると共に,法の支配に基づく国際秩序の維持のため,引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

    (3)新型コロナウイルス感染症別ウィンドウで開くへの対応についても議論し,今後協力していくことで一致しました。

    (4)このほか,イランを含む中東アジア情勢等について意見交換を行いました。

    4 国際場裡での協力
    (1)気候変動について,英国が主催するCOP26の成功に向けて,野心的,迅速かつ効果的な気候変動対策の必要性について確認しました。

    (2)安保理改革について,国連創設75周年を迎える本年,改革の早期実現に向けて連携を強化していくことで一致しました。

    (3)ジャーナリストの人権保護等の分野で協力するため,茂木大臣から英国等が主導し設立したメディアの自由に関するコアリションへの参加を表明したのに対し,ラーブ大臣から深甚なる謝意が表明されました。