2020年1月31日(金曜日)
10時44分~10時57分
於:記者会見室

冒頭発言

英国のEU離脱

初めに、私から1点申し上げます。
日本時間2月1日午前8時、英国はEUから離脱をし、英EU間の離脱協定に基づく移行期間が開始をいたします。日本を始めとする各国政府、産業界等が懸念していた「合意なき離脱」が回避されたことを歓迎するところであります。
移行期間の終了時までに英EU間で貿易協定がまとまらない場合には、日本企業の活動に悪影響が生じる可能性があります。
経済産業省としては、英EU間の交渉状況を注視していくとともに、引き続きブレグジット対応サービスデスクを通じて、英国にビジネスを展開している中堅・中小企業等に対し、情報提供や個別相談対応をしっかりと行っていきたいと考えております。
また、首脳間で一致したとおり、離脱後の英国との間で日EU・EPAを基礎に野心的な新たな経済パートナーシップの構築に迅速に取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上です。

質疑応答

新型コロナウイルス

Q:新型コロナウイルスによる肺炎について一つお伺いします。
WHOが緊急事態を宣言するなど感染が拡大しております。日本企業や日本経済への影響をどう見ているかというのと、併せて経済産業省として考えている対応などございましたら、お聞かせください。

A:今回の感染者拡大の影響につきましては、ジェトロ、地方経産局、中小企業団体等のネットワークも活用しながら、海外に進出している日本企業への影響、国内市場への影響、サプライチェーンへの影響など、様々な観点から情報収集を現在行っているところであります。
また、29日には、中小企業団体等に中小企業・小規模事業者を対象とする経営相談窓口を設置いたしました。事業者の声にしっかりと耳を傾け、状況を丁寧に把握をするとともに、経営指導員や専門家による助言を行ってまいりたいと考えています。
引き続き、中国における事態の推移を注視し、情報収集に努めるとともに、その影響を見極めてまいりたいと思います。
短時間に状況が変化する可能性もありますので、しっかりと対応をしていけるような情報収集の仕方を考えてまいりたいと思っています。

NECに対する不正アクセス

Q:NECの関係というか、NECが防衛事業部門で利用している社内サーバーが不正アクセスを受けていたことが明らかになりました。この点についての受け止めをお伺いしたいのが一つ目。
二つ目は、三菱電機のケースと同様に、こうした問題が速やかに公表されていなかったことについては、どうお受け止めになるか、この点もお聞かせください。

A:NECに対する不正アクセスに関しましては、経済産業省の担当部署からNECに確認しており、概要の報告を受けております。
NECから、防衛省関連の事業に関する情報のうち、NECの見積書や顧客への説明資料など、秘匿性の低い情報が流出した可能性はありますけれども、現時点では防衛装備品の機密など、機微な情報の流出がないことは確認済みとの報告を受けております。
なお、今回のNECの案件では、現時点で個人情報の流出は確認をされておりません。
不正アクセスにより企業情報が流出した可能性がある事例が続いておりまして、こうした状況は重く受け止めております。不正アクセスを受けた企業は事案が発生した場合の対外的な情報発信の在り方について、改善すべき点がないかよく考えていただきたいと思っております。
いずれにしましても、先の不正アクセス事案の中で横展開をすべきことがあれば早急に取り組んでまいりたいと考えております。まずは担当部局において事業者からの説明を受け、事実関係を確認した上で、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

Q:公表のタイミングについては、どういうふうに御評価されていますか。

A:これはいろいろなケースがあると思うんですね。どういった情報が漏洩したか、漏出したかということの調査も急がなくてはならない部分もある。ただ、不正アクセスを受けたということに関しては、経済産業省の考えとしては、まず第一報を頂きたいと、そしてほかの企業にも注意喚起をしていくということだと思っておりますけれども、機密情報の関連先とのやりとりとか、いろいろなこともあると思いますけれども、そういった中でできる限り速やかにこういったものを報告していただきたいと考えております。

東海第二原発

Q:東海第二原発についてなんですけれども、日本原電が安全対策工事が1年9か月遅れるとの見通しを示しました。東電は本事業へ2,200億円支援する方針ですけれども、運転期間が短くて、採算がとれないであるという指摘もあります。支援の妥当性についてどうお考えかを。

A:東海第二発電所の経済性につきましては、日本原電及び受電会社である東京電力と東北電力が民間企業として様々な点を考慮の上、総合的に判断することでありまして、政府としてはコメントは差し控えたいと思っております。
なお、東京電力からは、日本原電への資金協力を決定するに当たって、工事完了時期の遅れは前提条件の悪化要素として勘案した上で経済性を評価していると聞いております。
以上です。

日本製鉄呉製鉄所の高炉休止

Q:日本製鉄が広島県の呉製鉄所の高炉を数年以内に休止する方針を固めたという話が出ていますけれども、これについての経済産業省として今の現状認識と今後の対応などありましたら、お願いします。

A:私もちょっとニュースで拝見をしたりしましたけれども、報道は承知しておりますけれども、日本製鉄からは何ら決定された事実はないということで聞かされています。
いずれにせよ、個社の経営に関する問題であり、コメントは差し控えたいと思っております。

英国のEU離脱

Q:ブレグジットの関係なんですけれども、先ほど大臣から日英の貿易協議のところは野心的なパートナーシップを築きたいというお話がありましたけれども、具体的に自動車関税の撤廃時期とか、こういったものについては日EUの経済連携協定を前倒しするとか、もっと深掘りした形で協定を結んでいきたいという、そういうお考えなんでしょうか。

A:冒頭でも述べましたとおり、離脱後の英国との間では日EU・EPAを基礎に、野心的なということは、更にという意味になると思いますけれども、野心的な新たな経済的パートナーシップの構築に迅速に取り組んでいく考えであります。
今般、英国議会において可決された離脱関連法案には、2020年12月末までの移行期間を延長しない旨、規定されていることは承知をしております。産業界の意見等も踏まえながら、新たな経済的パートナーシップの構築に尽力してまいりたいと思っておりますけれども、日EUのパートナーシップ、それをどう深掘りしていくかということになろうかと思います。

キャッシュレス・消費者還元事業

Q:キャッシュレスのポイント還元策なんですが、事業の開始から4か月ほどたっておりまして、参加店舗100万店に近づいてきたというところですけれども、現時点での大臣の御評価をお伺いしたいです。政策目的やキャッシュレス決済の推進であったりとか、消費・増税対策といった政策目的に照らして、この4か月終了した時点での評価をお聞かせください。

A:まず今回の政策目的というのは、消費税率引上げの影響を受ける中小店舗への支援というのがまず第1点、そして消費税率引上げ後の消費喚起と需要の平準化ということもございます。さらにまた、今お話にありましたキャッシュレス推進による消費者の利便性や店舗の効率化、売上げ拡大、この三つが政策目的ということであります。
ポイント還元事業の参加店舗は10月1日の事業開始時点で約50万店舗でしたけれども、現時点では約98万店舗、今申請の手続中のものもありますから、まもなく100万店舗になろうかと思いますけれども、その対象の店舗というのは200万店舗、中小の店舗は200万店舗の中の100万店舗ということですから、約半分が参加をしているということになります。
また、日次のポイント還元額も、事業開始後1週間の平均は約11億円ということでありましたけれども、速報値ではこれは8億円と伝えましたけれども、確定で11億円ということになっております。また、事業開始後、10週間、10月1日(注)から12月9日の平均は約15億円になっています。参加店舗、ポイント還元額とも、事業開始時から増加しており、中小店舗、消費者に対して少しずつではあるが、本事業が浸透してきていると評価をしております。
他方、まだキャッシュレスになじみのない方やキャッシュレスが十分に浸透していない地域もあるために、偏在をしているということですね。
引き続き、全国津々浦々のより多くの中小店舗や消費者の皆様に御利用いただけるよう、分かりやすい周知などに全力で取り組んでまいりたいと思っております。
キャッシュレスの決済比率というのは、この制度が始まる前の時点で日本では大体20%台半ばまで行かないくらいなんですね。ですけれども、この件で従来のキャッシュレスをやっていたところがポイント還元事業に参加している場合もある。また、新たにキャッシュレスに取り組んで、ポイント還元事業にも取り組んだところもあるということですから、確実にキャッシュレスの決済というのは増えていくと思いますし、そういうものの利用によって先ほど申し述べましたような効果が出てくるものだと思っております。

Q:大臣、今お話がありましたけれども、200万店舗対象の店舗があるうちの大体半分ぐらい。裏を返せば、半分ぐらいはまだ参加していないという部分は、これは全体に恩恵が行き渡っていないとも評価できるかなと。

A:このことだけで全てに恩恵を行き渡らせるということではありませんから、消費税対策として、様々なプレミアム付商品券の件であるとか、あと給付もありますし、さまざまな制度、総トータルで消費税対策ということを考えております。
ただ、このポイント還元に関しましては、キャッシュレスの普及ということも含めてやっておりますので、だんだん普及はされてきているのではないかなと思いますし、どうしても現金でという地域もありますし、資金繰りが心配だとか、そういうこともいろいろあると思うんですけれども、だんだんそういう不安も解消されつつあると思います。決済事業者の中には、もう1日、2日で決済をするところもありますし、私のイメージだと、カードと同じように1、2か月後かなと思っていたら、先般知り合いの方と会ってお話をしたら、2日後には入ってきますよというようなこともありましたので、決済事業者によってだと思いますけれども、そういう形で早く現金を得られるような仕組みにもなっているということですから、徐々に普及をしていくと思います。

(注)実際の発言は「11月1日」でしたが、事実関係に基づき上記のとおり修正しました。

以上

最終更新日:2020年1月31日