1.  現地時間1月24日,若宮健嗣外務副大臣は,スイスのダボスにおいて,日本が豪州及びシンガポールと共催したWTO電子商取引有志国閣僚朝食会に出席したほか,スイス政府主催WTO非公式閣僚会合に出席したところ,概要以下のとおりです。

    1 WTO電子商取引有志国閣僚朝食会の開催

    (1)WTOの電子商取引に関するルール作りは,昨年のG20の際の「大阪トラック」立ち上げ以降着実な進展を見せています。本会合は同分野のルール作りにおけるこれまでの進捗の確認と,6月の第12回WTO閣僚会議(MC12)に向けた交渉の進め方について,WTO電子商取引交渉に参加する有志国のハイレベルで議論を行うことを目的として開催されました。日本からは,本会合の共同議長として,若宮健嗣外務副大臣が牧原経産副大臣と共に出席し,電子商取引交渉に参加する82か国のうち,主要27か国から閣僚等が出席しました(なお、本会合の場でフィリピンの新規参加表明がなされ,有志国は全83か国となりました)。

    (2)共同議長として会合の冒頭に発言した若宮副大臣は,「大阪トラック」の下で高まっている交渉のモメンタムを更に高めることを呼びかけました。さらに,日本として,個人情報の保護を含むデータ流通等について,TPP11協定日米デジタル貿易協定での成果を基盤としつつ,WTOの交渉にプラスの効果を与えたい旨述べた上,有志国がMC12で目指すべき野心的な成果として,全ての交渉テーマでルールの大枠に合意し,本格的な交渉を開始することを提案しました。

    (3)これに対し,参加国閣僚等からは,共同議長として交渉を牽引する日豪シンガポールの努力に対して高い評価が示されるとともに,近年急速に重要性が高まっているデジタル経済の新たな国際ルール作りは,現下のWTOにとり喫緊の課題であり,早期妥結のため,6月のMC12に向け,一層の交渉の加速化を期待する等の発言がありました。

    (4)本会合では,昨年6月の「大阪トラック」の立ち上げ以降,「自由化」,「信頼性」,「円滑化」,「市場アクセス」,「電気通信」,「横断的事項」の6つの交渉分野で議論が深まっている現状を踏まえ,可能な限り多くの国の参加を得て高い水準の成果を得るとのコミットメントを改めて確認した上,MC12での実質的な進捗の達成に向けて交渉を継続し,MC12までに統合交渉テキストの作成を目指すことで一致しました。会合後,日豪シンガポール共同で,本交渉の進展を歓迎する共同プレスリリースを発出いたしました。

    2 スイス政府主催WTO非公式閣僚会合への出席

    (1)WTOでは例年直近の課題について意見交換を行う非公式閣僚会合が開催されており,スイスが主催した今回の会合には,30以上の主要加盟国の閣僚級が出席し,WTO改革の緊急性が叫ばれる中で,第12回閣僚会議(MC12)の成果として何を目指すのかにつき議論が交わされました。

    (2)会合に出席した若宮副大臣から,まず,昨年のG20サミット等を通じてWTO改革の政治的モメンタムが高まる中,MC12では,WTOの機能回復を国際社会に示すことが必要であると述べ,求められる成果として,特に,(ア)紛争解決制度改革,(イ)電子商取引交渉,及び(ウ)漁業補助金交渉の進捗を挙げました。

    (3)中でも最も喫緊の課題である紛争解決制度改革については,恒久的改革に向け,MC12で,制度が本来の機能を回復するための道筋や具体的提案を国際社会に示すことが求められる旨述べ,日本として,引き続き積極的に議論に貢献する用意がある旨述べました。

    3 アゼベドWTO事務局長との会談
     若宮副大臣は牧原経産副大臣とともに,アゼベドWTO事務局長と会談し,ダボスにおけるWTO関連閣僚会合や民間関係者との意見交換を踏まえ,今後のWTO改革の取り進め方等につき意見交換を行いました。