冒頭発言

新型コロナウイルスへの対応

【茂木外務大臣】中国で発生している新型コロナウイルスに関しては,今朝も新型コロナウイルス関係閣僚会議を開催したところですが,感染症について我が国でも2例が確認された他,各国で多数の症例が確認されています。
 外務省としては,海外安全ホームページやメールを通じて,現地在留邦人及び海外渡航者に情報発信・注意喚起を行ってきた他,昨日は北京におきまして在留邦人向けの緊急の説明会も開催いたしました。
 21日には,中国全土に「感染症危険情報レベル1」を発出し,さらに昨日23日には,武漢市に対する「感染症危険情報レベル2」,つまり「不要不急の渡航の自粛」に引き上げたところです。
 公共交通機関の遮断,及び駅・空港の閉鎖等が発表された武漢市においては,特に邦人の健康状態や安否確認に努め,在留邦人に対する支援の必要がある場合にはすぐに対応できるよう,これまで以上に丁寧かつきめ細かな情報提供や対応を行っていく考えです。
 また,本日,武漢市近隣6市についても,各市当局が,公共交通機関の停止,及び鉄道の駅,市を離れる道の封鎖を発表し,感染の地理的拡大が懸念されます。武漢市においても,患者数がますます増えているところです。これらの現地の状況に鑑みまして,感染のさらなる拡大も想定されるところであり,本日付で湖北省に「感染症注意情報レベル3:渡航中止勧告」を発出いたします。その他の中国全域は引き続き「レベル1:注意喚起」を維持しております。
 これまで,武漢を所管する在中国日本国大使館では横井大使をヘッドとする対策本部を立ち上げ,対応に当たってきましたが,本日,本省においてもタスクフォースを立ち上げたところです。
 引き続き,在留邦人及び海外渡航者に対して,適時適切に情報提供,及び注意喚起を行い,在留邦人の安全のために緊張感を持って取り組んでいきたい,このように考えております。

ミャンマー情勢(国際司法裁判所(ICJ)による暫定措置命令の発出)

【上毛新聞 寺島記者】ロヒンギャ問題についてお聞きします。昨日,国際司法裁判所がミャンマー政府に対してロヒンギャへの迫害防止を求める仮保全措置を出しました。この問題をめぐっては駐ミャンマーの丸山市郎大使が昨年末に現地メディアに対して意見を述べたことが,群馬県館林市,これは大臣の地元とかなり生活圏がかぶる場所ですけれども,に住むロヒンギャの方を中心にかなり批判を招いています。ICJの決定について外務省の受け止めをお願いします。

【茂木外務大臣】私(大臣)個人と太田市の関係について質問されているんですか。それとも外務大臣としてこの問題について質問されているんですか。

【上毛新聞 寺島記者】外務大臣として質問しています。

【茂木外務大臣】それでいいんですね。何か私(大臣)の地元と隣接する云々という話をしていましたけれども。

【上毛新聞 寺島記者】大変失礼いたしました。

【茂木外務大臣】よろしいんですね。ミャンマーのジェノサイド条約違反に関しますガンビアの国際司法裁判所(ICJ)への提訴につきまして,1月23日にICJはミャンマーに対しまして,ジェノサイド条約第2条に定められました,集団の構成員に対する殺害,重大な肉体的,又は精神的危害などの行為を防止するための,あらゆる措置をとることを命じる暫定措置命令を発出したと承知をしております。
 今後,ミャンマーが暫定措置命令の内容を着実に履行することを期待いたしますし,それに向けて現地大使館にも,日本として出来得る協力をさせるように指示をしたいと思います。

新型コロナウイルス

【NHK 高野記者】先ほどレベル3を発出するとおっしゃったかと思うのですが,何時時点で発出するのか,もしくはしたのか,あと,念のため確認なのですが,武漢を含む湖北省全体ということでいいのでしょうか。

【茂木外務大臣】湖北省全体で結構です。「感染症注意情報レベル3:渡航中止勧告」,発出いたしますと,今,発表いたしますので,速やかに発出いたします。

【読売新聞 阿部記者】関連で,本日,本省においてもタスクフォースを立ち上げたとの発表でしたけれども,どういったメンバーで構成しているかということと,このタスクフォースで何をされるかについてお伺いします。

【茂木外務大臣】本省のタスクフォースでありますが,新型のコロナウイルスによる感染症について,在留邦人をはじめ感染状況について,迅速に,今,情報を集約しつつ,外務省として連携して対応するため,総合外交政策局の参事官をヘッドとするタスクフォースを立ち上げたところであります。もちろん私の指揮の下で,このタスクフォース,活動していくことになるわけでありますが,今後,このタスクフォースの下で,関係省庁であったり,先ほどもご紹介しました現地大使館の対策本部とも連携して,在留邦人の安全確保を第一に,しっかり取り組みつつ,政府全体として一丸として対応していきたいと思っております。
 現在,710名の方が武漢の方には,外務省の在留届・「たびレジ」では確認をされているところでありまして,順次今,安否確認であったりとか連絡をとっているところであります。
 現地邦人に緊急の事態が生じたという情報,今のところ接しているわけではありませんが,引き続き現地政府及び関係機関と連携して,安否確認,及びきめ細かな情報提供を継続するとともに,在留邦人に,例えば生活物資であったりとか,支援のニーズ,また,今,武漢の中にいるということでありますから,どうしたいと要望等がありましたらすぐに対応できるように緊密に連絡をとっていきたいと,こんなふうに思っています。

【NHK 渡辺記者】関連の質問なんですけれども,武漢の空港が閉鎖されているということですけれども,今後,状況が悪化してレベルが上がったりとかして,例えば状況次第では救援機を日本から出すとか,邦人保護に向けて,そういったことも含めて,かなりどの辺まで想定されてらっしゃるんでしょうか。

【茂木外務大臣】様々なですね,こういったものでありますから,準備といいますかシミュレーションというのは行っていきたいと。現時点につきましては先ほど申し上げたような形で,何らかの現地邦人に緊急の事態が生じているという情報には接しておりませんけれど,武漢の中にいらっしゃる,そして行動が限定されているというのも事実でありますから,今後の事態の展開等々を見ながら,出来得る支援が取れるように準備は進めたいと思います。

【共同通信 高尾記者】新型コロナウイルスの関連でお伺いします。武漢市では飛行機や鉄道の公共交通機関が動いてなくて,事実上の封鎖状況が続いているわけですけれども,感染拡大を阻止するために,事実上の封鎖を決定した中国側の対応をどのように評価しているかお伺いします。

【茂木外務大臣】中国側は全力で,今,感染の防止のために対応されていると,このように考えております。当然,現地の状況,これは中国政府が一番よく知っている,そことはしっかり連携していきたいと思います。

【共同通信 高尾記者】もう一つ,関連でお伺いします。滞在している日本人から,いつまで移動の制限があるのかとか,そういった懸念も出ているわけですけれども,中国政府や現地当局から移動の制限が解除される時期の見通しについて,中国側から何か説明とかはあるのでしょうか。

【茂木外務大臣】今,様々な情報収集であったりとか,それは行っているところであります。同時に在留邦人の皆さんとも連絡をとって,情報提供,これは感染の拡大状況がどうであったとか,予防対策としてどんなことが効果的であるかとか,こういったことをお知らせすることもやっているところであります。
 今の時点で,中国政府の対応が決まったとは聞いておりませんし,ご案内のとおり,今日は大晦日ですから,春節のですね,恐らくまたいつ動き出すかという話もあると思いますが,適時,その,中国政府,また関係機関とも連絡をとりながら,そういった情報についてもお知らせをするようにしていきたいと思っています。

ゴーン被告人の出国事案

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)

 中東情勢について伺います。中東地域に対する日本のODA(政府開発援助)は,同地域の開発プロセスにおいて,非常に重要であります。最近,報道の中で,日本はレバノンに対して,カルロス・ゴーン氏を日本に引き渡すように圧力をかけるためのレバレッジとして,レバノンへのODAを利用したいとしているとありました。この可能性について,大臣のご意見をお聞かせください。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)

 日本のODA,これは中東に限らず,世界各国で非常に高い評価を受けている,単に「モノ」を作るということではなくて,人材の育成であったりとか人道支援,様々な形でそれぞれの国造りに大きな貢献をしていると評価をされているところでありまして,ご質問のレバノンにつきましても,シリアの難民の流入であったりとか経済危機に瀕するレバノンを一層不安定化させる措置をとることについては,中東地域全体の情勢も踏まえ,現時点では慎重であるべきだと考えています。Have to be cautious.

新型コロナウイルス

【共同通信 高尾記者】中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は,22日にフランスのマクロン大統領やドイツのメルケル首相とそれぞれ電話会談して,新型コロナウイルスによる肺炎について,国際社会と協力して対応する考えを伝えたと中国外務省が発表したんですけれども,この件で,日中間でのハイレベルのやり取りはあったのでしょうか,それとも,今後そういった予定というのはあるのでしょうか。

【茂木外務大臣】今,私が冒頭申し上げたような形で,日本政府として今とりうるべき対応というのはとっているところでありまして,また,中国政府とも様々なレベルで情報交換,連携というのも行っているところであります。必要な状況が生まれましたら,政治レベルでもコンタクトを取りたいと思います。