1.  現地時間1月23日,若宮健嗣外務副大臣は,スイスのダボスで開催された投資円滑化有志国閣僚会合及びカナダ政府主催WTO少数国閣僚会合に出席し,また,各国政府関係者や有識者との意見交換を行ったところ,概要以下のとおりです。

    1 WTO投資円滑化有志国閣僚会合

    (1)WTOでは現在,投資手続の透明性向上や簡素化に資するルール作りが有志国間で進められており,今般の会合は,6月の第12回WTO閣僚会合(MC12)における具体的な成果の達成に向けて,参加国からの政治的な後押しを与えることを目的として開催されました。会合には,投資円滑化に関する共同声明イニシアティブ(JSI)に参加する有志国のうち,主要約30か国の閣僚級が参加しました。

    (2)若宮副大臣からは,これまで多くの国と質の高い投資協定を締結してきた日本の経験を活かし,先進的なルールの策定に貢献していきたい旨述べました。また,ルールの策定に当たっては,先進国・途上国の垣根なく,全参加国の投資活動の円滑化に資するものであるべき点等について指摘しました。参加国は,MC12に向けて交渉を加速化させていくことで一致しました。

    (3)また,会合の機会に,議長国を務めるチリのロドリゴ・ジャニェス外務省国際経済関係副大臣(Mr. Rodrigo Yanez Benitez, Vice Ministr of International Economic Affairs, Ministry of Foreign Affairs of Chile)との間で立ち話を行い,本交渉を含むWTO改革の具体的な成果の実現に向けた連携を確認しました。

    2 カナダ政府主催WTO少数国閣僚夕食会

    (1)本会合は,カナダ政府が主催し,日本,豪州,ブラジル,チリ,EU,ケニア,メキシコ,NZ,ノルウェー,シンガポール,韓国,スイスが参加するオタワ・グループの会合であり,これまでもWTO改革に関する多様な立場からの率直な意見交換がなされてきました。今次会合には閣僚級が参加し,WTO改革全般,とりわけ紛争解決制度改革に向けた意見交換が行われました。

    (2)若宮副大臣からは,昨年12月の上級委員会の機能停止を受け,とりわけ緊急性の高い紛争解決制度改革に向けては,上級委員会の恒久的・持続的な改革のための議論を進めるべきである旨指摘しました。

    (3)他の参加国からも,紛争解決制度改革が緊急の課題であることについて一致した見解が表明されました。上級委員会が機能停止している現状への対応については,紛争解決制度が紛争の迅速かつ明確な解決という本来の役割を回復するための改革が必要であるとの指摘がある一方で,現状に対応するための暫定的解決策を早期に策定することの重要性を強調する発言もありました。

    3 世界経済フォーラム(WEF)主催G20フォローアップ朝食会

    (1)同日8時から約1時間,WEFが主催するG20フォローアップ朝食会に出席しました。日本議長下のG20の成果と今後の取組を確認するために開催された本会合には,国内外の経済関係者が多数出席し,日本政府からは他に牧原経済産業副大臣も出席しました。

    (2)若宮副大臣は,特にG20日本議長下での「貿易」「デジタル経済」「環境・気候変動」分野での成果を紹介しました。また,サウジアラビア議長下のG20でこれらの成果が引き継がれ,多国間主義の存在意義を示すような成果が得られるよう,日本として引き続き協力していく旨述べました。

    (3)これに対し,出席者からは,昨今の世界情勢の中でG20の役割が一層重要となっている,企業が有する先進技術やノウハウがG20の掲げる政策目標の実現に貢献しうる,といった発言がありました。

    4 各国政府関係者及び有識者との意見交換

    (1)11時15分から約1時間,イアン・ブレマー・ユーラシア・グループ代表(Dr. Ian Bremmer, President and Founder of Eurasia Group)との間で国際情勢に関する幅広い意見交換を実施しました。

    (2)また,16時から約30分間,マージド・ビン・アブドッラー・アル=カサビー・サウジアラビア商業投資大臣(H.E. Dr. Majid Bin Abdullah Al Qasabi, Minister of Commerce and Investment)との間で会談を行いました。会談では,先般の安倍総理大臣のサウジアラビア訪問の成果を確認するとともに,昨年の日本議長下でのG20の成果を本年のサウジアラビア議長下でも継続すべく,連携を確認しました。更に,地域情勢についても率直な意見交換を行いました。

    [参考]投資円滑化に関する共同声明イニシアティブ
     2017年12月の第11回WTO閣僚会議(ブエノスアイレス)において,我が国,EU,中国等を含む70加盟国が「開発のための投資円滑化に関する閣僚共同声明」を発出し,投資措置の透明性確保等に関するWTOでのルール作りを目指し,有志国での議論開始を決定した。投資関連措置の(1)透明性等の向上,(2)手続の簡素化,(3)各国間の協力,(4)途上国の特別待遇・技術協力等について,これまで約100加盟国が参加して議論が行われている。