令和2年1月17日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 私から1件御報告がございます。今週,1月14日に東京出入国在留管理局などの視察に行ってまいりまして,収容施設の現場を見てまいりました。また,UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に行きまして,ヘベカー代表と意見交換をいたしました。今後とも,視察等を行いながら,法務行政に活かしてまいります。

自動車運転死傷処罰法の一部改正に関する質疑について

【記者】
 15日に,自動車運転死傷処罰法に規定する危険運転の構成要件の拡大について,法制審に諮問されました。神奈川県の東名高速であったあおり運転事故などを受けた対応かと存じますが,今回の要件拡大について,大臣の御見解をお伺いします。

【大臣】
 今回の諮問は,いわゆる「あおり運転」による死傷事犯の実情等に鑑み,事案の実態に即した対処をするための罰則整備を内容とするものでございます。「あおり運転」は,悪質・危険な行為であり,これによる悲惨な死傷事犯等が少なからず発生しております。また,近時,国民から「あおり運転」の厳罰化を求める声も高まっておりました。そこで,事案の実態に即した対処をするため,罰則整備について御検討をお願いすることとしたものでございます。
 臨時に法制審議会を開きまして,委員の皆様にもお忙しい中御参集をいただきました。重大な問題でございますので,法制審議会においては,本諮問に関し,専門的な見地から十分な御検討をいただいて,できる限り速やかに答申を出していただくことを期待しております。

保釈制度の見直しに関する質疑について

【記者】
 保釈中の被告人にGPSの発信機を装着させ,所在を把握する方法の一つとして,空港などに接近したことを知らせる仕組みについて検討がされ,大臣は大学教授や法曹界の有識者から意見を聞いていると伺いました。この件について,大臣のお考えをお願いします。

【大臣】
 昨年来,実刑判決が確定した者や,保釈中の被告人等の逃亡事案が相次いで発生しております。このような逃亡を防止し,確実に収容できるようにすることは,極めて重要であり,近時発生している逃亡事案や各方面からの御指摘も踏まえ,現在,法務省内の関係部局において,どのような制度の見直しが必要かについて,幅広い観点から,検討を行っているところでございます。検討の具体的な内容を申し上げる段階にはございませんが,いずれにしても,その中の方策の一つとして,GPS発信機を装着させる仕組みも検討の対象となり得るということでございます。私自身,これについて非常に高い関心を持っておりますので,私自身の理解を深めるために,今般,知見のある有識者の皆様にお話を伺い,勉強することとしたものでございます。

【記者】
 今の質問に関連して,法務大臣の勉強会において,以前大臣がおっしゃった,保釈や収容の在り方について,検討されていると。近く法制審議会への諮問を検討していると思うのですが,大臣の勉強会と法制審議会での議論は別のものと考えてよろしいですか。

【大臣】
 法制審に諮問することができるように,関係部局において幅広く検討を進めていることについては,今までもお話をしてきたところでございますが,法制審の諮問の時期はできるだけ早く,ということで,まだ時期については決定をしておりませんし,申し上げておりません。ただ,現段階で諮問をする立場である私自身が勉強をしておきたい,勉強をする必要があると思っておりますところから,私的な勉強会ですが,この件に関して様々な知見をお持ちの有識者の方々に幅広く声を掛けて,大臣室に来ていただいて,昨日も2人ほど来ていただきましたが,いろいろと各方面からの御意見,実情などを教えていただいたところでございます。

閣僚の育休取得に関する質疑について

【記者】
 今朝,小泉進次郎環境大臣が会見で,長男が御誕生されたことをお話しされました。先日,2週間程度の育児休暇の取得もお話しされていましたが,そうした点も含め,大臣の御所感がありましたら伺えますか。

【大臣】
 今朝,小泉大臣から私の方にも,お子様がお生まれになったといううれしい御報告をいただいたところでございます。私は元少子化大臣であったことや,私自身が二人の娘の母親であるという経験から,これまでも,小泉進次郎大臣とは閣議前の待機部屋で隣同士であるものですから,毎回のように意見交換というか,アドバイスをしてきたところでございますが,とにかく,母子ともに健康に,無事で生まれるのが一番ではないかという話をしていたところ,母子ともに健康でお生まれになったということで,それが一番私もほっとしておりますし,おめでたいことだなと思っております。この国に生まれてきた赤ちゃんを歓迎し,そして子育て中のお父さん,お母さんに改めて,本当にありがとうということをこの機会に伝えたいと思います。
 また,男性の育児休業についても今御質問をいただきましたが,男性育休100%宣言というシールを私の携帯電話に貼り,人事課長にも貼ってもらって,法務省内で力強く進めているところでございます。具体的な方策についても,様々な具体案を作って,進めているところです。というのも,男性が育児休業を取得しますと,第二子が生まれる割合が高くなります。また出産直後のお母さんの死亡原因第一位は自殺でございまして,産後うつの予防に,男性の育児休業取得が非常に効果があると言われております。
 また,働き方改革,少子高齢化になって,働き手が少なくなる中で,どうやって効率良く働いていくかという,一つの例になるわけですので,男性の育児休業取得100%を必ず実現するために,法務省一丸となって頑張ってまいりたいと思います。

【記者】
 今後小泉大臣が,男性閣僚として,御自身が育児休暇を取られることについてはどのようにお感じになりますでしょうか。

【大臣】
 応援をしたいと思います。
 夏にフィンランドに視察に行ってまいりまして,大臣になる直前でございましたが,自民党の女性活躍推進本部長という立場で行ってまいりました。そのときに男性の育休について調べてまいりました。
 男性の育休が非常に多く取られているフィンランドでございますが,実は現職大臣が育休中でございました。そして現職大臣が育休中は,臨時大臣が選任されて,大臣の公務を行っておりました。フィンランドでは副大臣という制度がないので,臨時大臣が来て,そして大臣が育休が終わって戻ってきたら,臨時大臣と交代するというようになっておりました。小泉大臣も御自分でおっしゃっておりましたが,副大臣とうまく公務を分担して,国会の対応等,大臣本人が対応しなければならないところはきちんと出て,時短勤務であるとか,また連続で取らずに工夫しながら取っていく,ということをおっしゃっておりましたので,そういう意味で男性の育休の取り方も柔軟に,いろいろな方法があるということも,リーダー自ら示していただきたいなと思います。

検察の捜査に関する質疑について

【記者】
 東京地検特捜部の副部長が1月7日に,ゴーン氏の妻,キャロル夫人の逮捕状を取った際,「妻のキャロル容疑者と自由に面会できないことを,非人道的な取扱いだとする同情的な論調があり,強く是正する必要があると考えた」と発表をしました。しかし,これは人質司法を非難されたから,世論を是正するために逮捕状を取ったというものであり,裁判所に対する逮捕状の搾取ではないでしょうか。大臣はこのような検察の権力の濫用を保持するおつもりでしょうか。

【大臣】
 まず,毎回申し上げていることですが,個別事件の捜査に関する具体的内容に関しては,法務大臣としてお答えをすることは差し控えさせていただきます。
 その上で一般論として申し上げますと,検察における捜査については,法と証拠に基づき適正になされるべきであり,そうなっていると思っております。

(以上)