(令和2年1月21日(火)11:04 ~ 11:24 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
冒頭二件申し上げます。一点目は、本日、新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する関係閣僚会議を閣議の前に開催をいたしました。今般の中華人民共和国武漢市において昨年12月8日に発生した新型コロナウイルスに関連した感染症については、1月21日、今日午前6時時点で、中国で218名の患者、そのうち4名の死亡例が確認されています。しかし、現時点では、持続的なヒトからヒトへの感染は確認されていないとの状況であります。また、日本での患者の方に関しては、1月15日に症状が軽快し、退院をしているところであります。他方で、中国では引き続き患者数が増加しており、我が国における更なる感染拡大の防止に向けて、取組を強化する必要があります。閣僚会議においては、安倍総理大臣から、検疫における水際対策の一層の徹底、国内で関連性が疑われる患者等感染者を把握し検査する仕組みの着実な運用、国際的な連携を密にし感染者の発生状況等の情報収集の徹底などに万全を期すとともに、国民に対し、引き続き迅速かつ的確な情報提供を行っていくようにとの指示を受けたところであります。厚生労働省においても、検疫については、武漢市からの航空機で入国する方の健康状態の確認等のため、新たに、症状等に関する質問票を配布すること、武漢市からの航空便に加え、武漢市に近い主要空港がある上海市からの航空便についても、自己申告に関する機内アナウンスを徹底すること、武漢市及び上海市からの航空便において、新たに健康カードを配布し、自己申告の徹底及び国内での適切な受診を勧奨すること等により、着実な検疫の実施を図っていきたいと考えております。また、明日WHOの緊急委員会が開催されることとなっております。その結果も踏まえつつ、リスクの変化に応じて対策の強化を関係各所とも連携しながら図り、万全の対応を行っていきたいと考えています。
 それから、二点目でありますが、明日、ハンセン病元患者家族補償金支給法に基づき、認定審査会が設置をされます。これを受け、厚生労働省では、明日付けで、5名の認定審査会委員を任命することにしております。発令前の内容、予定ということになりますが、審査委員会の委員に関しては、お手元に配付している名簿のとおりです。1月17日現在で、補償金の請求受付件数は1,855件、相談件数は2,989件となっています。請求された方のうち、対象者に該当することが明らかな方については、私どもの方で認定を行っています。それ以外については、認定審査会に対して審査を求め、その審査結果に基づいて認定を行う必要があります。今後、厚生労働省としては、ご家族のハンセン病歴やハンセン病歴のある方との家族関係が明らかであることを確認できない方については、認定審査会において円滑な審査が行われるよう、事務局としてサポートするとともに、審査結果に基づく速やかな補償金の支給に向けて、全力で取り組んでいきたいと考えております。なお、初回の審査会は、2月の中下旬に開催する方向で調整していきたいと考えております。私の方からは、以上です。

質疑

記者:
一点ご質問させていただきます。昨日から開会した通常国会の関連ですが、首相の施政方針演説で、全世代型社会保障について言及されていましたが、今国会で厚労省としても労働や年金等関連する法案を提出する予定だと思いますが、改めてどういう姿勢で今国会に臨んでいきたいか、ご所見をお願いします。
大臣:
昨日国会に令和二年度予算案が提出されました。その中には、全世代型社会保障の構築に向け必要な予算が盛り込まれております。具体的には、消費税率引上げによる財源も活用して、地域医療構想・医療従事者働き方改革を推進していく、予防・健康づくりを進めていく、保育の受け皿整備をさらに図っていくといった社会保障の充実等のものが盛り込まれております。また、就職氷河期世代への支援等の中身も入っているところであります。また、同時に提出された補正予算では、災害からの復旧・復興を加速するとともに、持続的な経済成長に資する施策のための予算が盛り込まれておりまして、これらの予算が一日でも早く成立していくよう努力をしていきたいと思っております。また、法律に関しては、高齢者の就業機会の確保や、複数就業者に関するセーフティネットの整備等を図るための雇用保険法等の改正法案、賃金請求権の時効に関する労働基準法の改正法案、年金制度の機能強化を図るための年金関連法案、地域共生社会の実現を図るための社会福祉法等の改正法案の計4本の提出を予定しております。いずれにしても早期の提出を図り、またその早期の成立を目指して努力をしていきたいと思います。
記者:
先ほどお話しのあった新型コロナウィルスの関連でお伺いします。昨夜、中国の保健当局の専門家チームが、新型肺炎について、ヒトヒト感染、ヒトからヒトへの感染が認められたということを明らかにしました。これについての大臣の受け止めと、日本の認識や対応方針についての影響をお伺いしたいと思います。
大臣:
先ほど申し上げましたように、私たちの今の認識は、持続的なヒトからヒトへの感染については、確認していないという認識でありますので、今おっしゃったヒトからヒトへではなく、そこに持続的、要するに、拡散的な広がりということでありますから、今の段階では、そういう認識には、我々だけでなくWHO含めて、なっていないということであります。ただ、いずれにしても先ほど申し上げましたように、明日WHOの緊急委員会も開催されます。そういった中での議論、あるいは結論を踏まえながら、必要な対応を図っていきたいと思います。
記者:
今の質問の関連ですが、昨日、中国の専門家が、こちらは中国国家衛生健康委員会の専門家ですが、政府の立場を代表する専門家ですが、広東省の患者事例はヒトからヒトへの感染が確認されているというふうに公表をしていますが、日本で発生した武漢から戻ってきた中国人の場合、これはヒトからヒトへの感染だったのでしょうか。日本側がどういった情報を把握できているのでしょうか。先ほど警戒したというふうにおっしゃっていましたが、どのような状況なのかお聞かせください。
大臣:
私どもが確認しているのは、当初言われていた海鮮市場にはその方は寄っていないということ、そこは確認をしています。ただ、それ以上はどういう経緯、どういう経路かに関しては、必ずしも我々として認識しているわけではありません。
記者:
今の関連ですが、その海鮮市場には行っていないですが、ヒトからヒトへの感染ではなかったということですか
大臣:
ですから、そこから先の経緯が分からないので、どうであるかということを認定する状況には私どもとしてはないということであります。ただ、先ほども申し上げておりますように、私どもがそうではないと言っているのは、持続的なヒトからヒトへの感染ということでありまして、やはり注意すべきものは、感染力がどれだけ強いかということになりますから、そうするとどんどんどんどんそれが広がっていくかどうかというのは、一つのポイントになるわけでありますので、そういった観点においては、先ほど申し上げた持続的なヒトからヒトへの感染は確認していないというのが今の状況でありますが、引き続き、WHOあるいは各国の動向等をしっかりと注視しながら必要な対応を図っていきたいと思います。
記者:
ハンセン病家族訴訟に関連してお伺いします。今月末に第1回目の補償金の支給が始まります。本施行から1月10日までの二か月間で、認定された方は436人となっています。厚労省の推計では、対象となる方々は24,000人いるという中で、この436人の方々の認定件数への評価を、まずお願いいたします。
大臣:
先ほど申し上げましたが、時点が違いますが、17日時点で請求受付は1,855件ということであります。現時点で認定したのが436件ということでありますが、かなりの部分はまだ書類の確認をしている、それから先方、申請された方に対してやりとりをしている、今こういう状況でありますので、我々としてもできるだけ、まず、厚労省の段階で確認できるものはしっかり確認をして、支給につなげていきたい、ただ、それでもどうしてもその関係が明らかでないというものについては、先ほど申し上げた認定審査会でご議論いただく、こういうことをベースとしながら、いま適宜申請の処理にあたっているということであります。
記者:
重ねて恐縮です。今回の認定件数と申請件数については原告弁護団からは見通しよりもちょっと少ないのではないかという指摘もあって、請求の期限が5年間と限定される中で申請の推移が伸び悩んだ場合に、新たな周知策であったり差別解消策、この辺の新たな施策の打ち出しについてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
まだスタートして2か月から3か月ということですから、今の段階で今後の動向を評価するというのは差し控えたいと思いますが、ただ私どもとしても冒頭からこの制度ができる、法律ができたときから早くご申請いただきたい、それから当初全部書類がそろっていなくてもお出しをいただきたいということを申し上げてきたわけでありますので、引き続きそういった点も含めてしっかりと周知広報にあたっていただきたいと思いますし、また動向を見ながら関係者の方々ともお話を聞かせていただきながら、必要な対応があればそういった周知広報において必要な対応があればまた考えていきたいと思います。
記者:
一部報道でゲノム研究の予算80億円について配分が止まっているとの話がございまして、改めて事実確認とどう受け止めておられるかということをお願いします。
大臣:
いずれにしてもこれは日本医療研究開発機構AMEDの予算とその執行ということですから、担当は竹本大臣ということであります。大臣の記者会見においては詳細を省きますけれども、ほぼ順調に行っていると思っているということを発言されておられますし、私どももそれ以上のことは承知していないということであります。
記者:
新型肺炎の関係でお伺いします。現在感染症法上の裏付けがない状態での対応をしておりますけれども、今後さらに対応を強化する可能性も考えて指定感染症にするための議論を始める予定はありますでしょうか。
大臣:
そこは先ほど申し上げた持続的な人から人への感染ということが一つの大きなポイントになるんだと思います。これも日本だけで認定するわけではなくて世界的な判断というのを踏まえて、そういった意味で先ほど申し上げたWHOの緊急委員会で新型コロナウイルスに関してご議論いただくと承知をしておりますので、そこでの議論等をしっかり見極めた上で判断をしていかなければいけないんだろうと思います。
記者:
地域医療構想についてお伺いします。公立・公的病院の具体的対応方針の再検証要請の対象リストの確定版なのですけれども、そちらを今後公表しない方針ということで先日発表があったのですけれども、今後厚労省のホームページで国民側から確定版にアクセスできず暫定版のみにアクセスができる、暫定版のみの公開が続くということになると思うのですけれども、情報公開の在り方としてそれは妥当であるとお考えでしょうか。
大臣:
当初に、確か9月26日だったかな、示したところで色々と地方公共団体等からもご指摘をいただきながらその後公表の在り方について意見交換を重ね、それを踏まえて今回の対応になったと承知をしております。その結果が今の状況にあると思います。いずれにしても公表するというその数字が一人歩きするのではなくて、あくまでも今回の色々な数字というのはそれぞれの地域医療構想調整会議でご議論いただくための材料として出しているわけでありまして、大事なことはそこの会議でどういう結論をお出しになるかということなんだと思いますし、またその会議がそういった意味では様々な議論をしていただきやすい環境を作っていくという、そういう意味で色々ご指摘もいただいたと私ども認識をしておりますので、あくまでもそこの会議の議論に資する形で事が運ぶように我々としては必要な資料を提供したり、また出し方についても十分配慮していく必要があるということだと思います。
記者:
そうなりますと、去年の9月に424の病院を出したということ自体の妥当性については、今から言っても仕方ないと思いますけれども、大臣としてはどういうふうに受け止めてらっしゃるのですか。
大臣:
あの時点ではこれまでの議論の中でそうしたこともお示しするということは、お示しの仕方の課題があったという指摘は受けたわけですから、そこはしっかり我々も真摯に受け止めながら、その後における対応を関係者の皆様ともよく話をしながら、今回の通知の方法をとったということであります。
記者:
日本透析医学会が昨日一定の条件の下、終末期ではない患者の透析の中止や導入の見合わせを容認するとの提言を公表しました。透析をすれば長く生きられる人も透析中止の対象に含めることについて、大臣の所感を教えてください。
大臣:
この透析に関しては確か昨年事案があったと承知をしておりますけれども、日本透析医学会では医療チームによる患者の意思決定の尊重や患者との共同意思決定など、透析医療の意思決定プロセスについての提言をする中で、人生の最終段階ではない患者について透析を見合わせる場合の手順についても盛り込んだ提言案、これを示されてパブリックコメントの募集と公聴会の開催を公表されているというのが今の状況だと思います。いずれにしても、透析のみならず治療一般については、その治療を受けている方々に対してどういう医療が提供されるべきなのかについて、これは国民一人一人の生命観や倫理観にも深く関わってくる話であります。相当広範な議論が必要であり、そして広く国民のコンセンサスが図られていくべきではないかと考えています。
記者:
厚労省が2018年に作った指針というのは延命治療の差し控えとか、中止とかにつきまして、終末期医療の医療やケアの在り方を対象にした指針でしたけれども、学会レベルで終末期ではないものについて透析中止だとか死につながるようなことを容認するような対応策を示すことについて国としては何か指針を改める対応を必要だとお考えでしょうか。
大臣:
ですから、今はその日本透析医学会自体がまだ結論を出していないわけですよね、その一つの案を出されてパブコメ出したり、公聴会をしているということですから、そうしたまず医学会における対応というものをよく見ていきながら、またその動向状況に応じてどういう対応をしていくのか、これは更に進めば厚労省だけの問題なのかということもあるのだろうと思いますので、そうした状況を見極めながらよく中で考えていく必要が有るんだろうと思います。
 

(了)