1. 1 1月21日(現地時間同日),ミャンマー連邦共和国の首都ネーピードーにおいて,丸山市郎駐ミャンマー特命全権大使とマウン・マウン・ウィン計画・財務・工業副大臣(Mr. Maung Maung Win, Deputy Minister for Planning, Finance and Industry)との間で,供与限度額合計1,209億1,500万円の以下の4件の円借款に関する交換公文の署名が行われました。

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    (1)ミャンマーの最大都市ヤンゴンの下水環境整備計画に対する融資(円借款「ヤンゴン下水道整備計画」,供与限度額459億円)
     ミャンマーの人口の約1割が集中するヤンゴンの中心商業地区において,下水処理場の改築・増設及び下水管の更新・新規敷設を実施し,同地域の住民の生活環境の向上を図るための資金を融資します。現在は,し尿及び生活排水,事業所排水などの大半が未処理のまま川へ流入し,水質悪化を招いていますが,この融資により,2030年(事業完成の2年後)には,下水処理能力が最大約7倍となり,同地域の汚水処理量は現在の約130倍となる見込みであり,同地域住民の生活環境の向上に寄与することが期待されます。

    (2)ミャンマーの最大都市ヤンゴンの渋滞緩和,洪水被害軽減等に向けた都市開発計画に対する融資(円借款「ヤンゴン都市開発計画」,供与限度額240億8,500万円)
     高い経済成長を続けるミャンマーの最大都市ヤンゴンにおける排水路改修,主要道路の渋滞要因対策等を実施するための資金を融資します。高い経済成長を背景に,ヤンゴン都市圏では,自動車登録数は2012年から2016年の間に5倍となっており,慢性的な渋滞が深刻化しています。また,既存排水路の流下能力の低さ等から,雨期には洪水が発生し同地域の交通環境の悪化や,市民生活の安全を脅かしています。この融資により,同地域の主要排水路の内の約1/3を改修・整備し,また,主要道路の渋滞要因対策,交通安全対策等を実施することにより,もってヤンゴン市の経済・社会発展に寄与することが期待されます。

    (3)ミャンマーの第一及び第二の商業都市の配電網整備計画に対する融資(円借款「都市配電網整備計画」,供与限度額122億8,800万円)
     高い経済成長を続けるミャンマーの第一の商業都市ヤンゴン及び第二の商業都市マンダレーの電力供給の改善のために行う配電網設備の改修・増強を図るための資金を融資します。ミャンマーでは近年の開発・投資の進展により,電力需要は急激に増加しており,2017年には最大電力需要は全国で約3,075MWを記録しています。また,2020年には4,531MWまで電力需要が増加することが見込まれており,ミャンマー政府は電力供給量の増加を計画しています。一方で,配電設備の改修や増強は遅れており,2022年には既存の配電施設の多くが容量を超えることが見込まれており,電力供給量の増加と合わせて配電関連施設の改修・増強が急務となっています。この融資により,配電ロス率がそれぞれの都市で1%改善されるとともに,配電施設の容量超過による停電を抑制できる見込みであり,ヤンゴン及びマンダレーを中心としたミャンマーの経済発展及び国民の生活向上に寄与することが期待されます。

    (4)チン州,ラカイン州,モン州,カイン州,タニンダーリ地域を中心とするミャンマーの地方部における基礎インフラ整備計画に対する融資(円借款「地方インフラ整備計画」,供与限度額386億4,200万円)
     ミャンマーの地方部において,道路・橋梁,電力,給水分野など生活に必要な基礎インフラの新設,改修・設置等を通じた住民の生活向上を図るための資金を融資します。ミャンマーにおける貧困率はチン州(貧困率73.8%)及びラカイン州(同43.5%)が最も高く,電化率,給水率も低い状況であり,これらの貧困率の高い州・地域の経済発展において,基礎インフラの整備が課題となっております。また,「エーヤーワディ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略」(ACMECS)においても重視され,今後整備が期待される東西経済回廊及び南部経済回廊上に位置するモン州,カイン州,タニンダーリ地域における基礎インフラ整備を通じて,地方の安定的な経済発展を図ることが重要です。この融資により,70のサブプロジェクト(道路・橋梁:35,電力:25,給水:10)が実施される見込みであり,同地域住民の生活向上及び地方の安定的な社会経済開発に寄与することが期待されます。

    3 供与条件

    (1) 金利 年0.01%
    (2) 償還期間 40年(10年の据置期間を含む。)
    (3) 調達条件 一般アンタイド

    4 これらの案件は,2016年11月に行われた安倍晋三内閣総理大臣とアウン・サン・スー・チー・ミャンマー連邦共和国国家最高顧問との会談において安倍総理大臣が表明した2016年度から官民合わせ5年間で8,000億円規模のコミットメント(PDF)別ウィンドウで開くの実施に資する案件です。