日本は、国連会合やG7・G20といった国際会議を通じてUHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)推進の重要性を発信し、国際的な議論を牽引してきました。
 
 2020年には、このようなUHC推進のための取組を一層進める機会となる、「マヒドン王子記念賞会議(PMAC)2020/UHCフォーラム2020」と「東京栄養サミット2020」が、1月31日から2月2日にタイ王国のバンコクと、12月に東京でそれぞれ開催されます。この2つの会合は、昨年12月12日の安倍総理大臣とテドロス世界保健機関(WHO)事務局長の連名によるワシントン・ポスト紙(米国)への共同寄稿においても、「(2030年までにUHCを達成するという約束まで)あと10年しか時間が無い中で、来年1月にバンコクで行われる「UHCフォーラム」及び12月に東京で行われる「東京栄養サミット2020」は具体的な取り組みを促す極めて重要な機会だ」と言及しています。
 
 UHCフォーラムは、各国政府及び関係国際機関等が一堂に会し、定期的にUHC推進の方策を議論する会議です。2017年に東京で第1回が開催され、2030年までにUHCを達成するべく取り組みを加速させるためのコミットメントとして「UHC東京宣言」が採択され、これは2019年9月のUHCに関する国連ハイレベル会合での政治宣言採択に貢献しました。第2回となるUHCフォーラム2020は、タイ王国が毎年開催しているマヒドン王子記念賞会議(PMAC)と合同で開催され、UHCを各国で具体的に実現していくために、プライマリ・ヘルス・ケアを中心とした保健システムの構築、保健財政の強化、医療技術に関するイノベーションへの投資について議論します。
 
 栄養サミットは、栄養分野の課題について幅広い関係者が集い、自らコミットメントを発表する場で、2012年のオリンピックを契機に開催されているものです。本年の東京開催のサミットにおいては、飢餓と低栄養といった従来のテーマに加えて、過栄養のほか、低栄養と過栄養が同じ国で重複して発生する「栄養不良の二重負荷」また、食の入手や農業など幅広い分野についても議論する予定です。
 
 日本のUHCに関するこれまでの取組については、安倍総理からかねてより「1961年に国民皆保険制度を導入し、UHCを達成した。支払い可能な費用で保健医療サービスを受けることが可能となり、日本の社会経済発展、健康長寿の達成を支えた。この経験に根ざし、私は、これまでも世界の人々にUHCの重要性を広く訴えてきた。」と発言しています。こうした日本の経験や取組に対して、WHOのテドロス事務局長も「日本はUHCが国家の繁栄と安定に寄与することを証明してくれた。日本を追いかける形で各国でもUHCを達成するための取組が進んでいる。」と評価してます。
 
 しかしながら、未だに世界の半分の人口が基礎的な医療サービスへのアクセスがない状況であり、2019年9月のUHCに関する国連ハイレベル会合で、各国のリーダー達が再確認した2030年までにUHCを実現するという目標の達成には更なる取組の加速が必要です。
 
 UHCフォーラム2020と東京栄養サミット2020等の場を通じて、UHC達成に向けて各国政府、民間団体、国際機関等の関係者が優良事例に関する知見を交換し、将来に向けたコミットメントを確認することは重要です。我が国からも、前述の共同寄稿でも触れられているとおり、UHCの実現のためには、持続可能な保健財政、各国の自らの保健システムについて主体性を持って取り組むこと、医療分野に留まらない多分野の連携が重要であることについて発信したいと考えています。
 
※UHCとは、全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態を指します。
 
【マヒドン王子記念賞会議(PMAC)2020/UHCフォーラム2020の詳細はこちら】
○PMAC2020/UHC Forum2020ウェブサイト(英語)
https://pmac2020.com/site
 
【東京栄養サミット2020の詳細はこちら】
○東京栄養サミットウェブサイト(英語)
https://nutritionforgrowth.org/
 
【ワシントン・ポスト紙の共同投稿の詳細はこちら】
○厚生労働省プレスリリース(令和元年12月13日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08382.html
○Washington Postウェブサイト(英語)
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/all-nations-should-have-universal-health-care/2019/12/12/9594269c-1c47-11ea-8d58-5ac3600967a1_story.html