(令和元年12月23日(月)10:43 ~ 10:56 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず、閣議において、日本年金機構理事長の水島藤一郎さんについて、本年12月31日で任期満了となりますが、引き続き再任することとし、閣議での了解をいただきました。
 二点目は、「日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘された後の対応に関する調査チーム」の報告書が、本日、「有識者会議」で報告をされているところであります。調査チームの皆さんには、短期間のうちに精力的に調査をいただき、厚労省の対応についての評価と課題を報告書として、90ページ弱の大部な報告書をとりまとめていただきました。特に、当初は、9月19日に公表したロシアにおける9事例ということで調査をお願いし、約1か月程度ということでお願いしておりましたが、その後、フィリピンの遺骨の件についても、同様に日本人ではない遺骨が収容された可能性がDNA鑑定人会議で指摘されていたことが判明し、その件も含めて調査をお願いしたところでありまして、そうした追加的な調査も含めて5名の皆さん方には精力的な対応をいただきましたことに、改めてまず感謝を申し上げたいと思います。その上で報告書では、本調査の対象となったロシアとフィリピン2事例への対応について、DNA鑑定は特定の遺族と遺骨のマッチングのためにありそれ以外は追究しないという思い込み、遺骨収集の手順を守っていれば十分であるという認識等により、専門家の指摘の重要性を見誤り、事案の公表や相手国との具体的協議に至らなかった等の問題があったことに関して、大変厳しい評価、指摘をいただいております。こうした指摘を真摯に受け止め、二度とこのようなことが起こらないように、今後の遺骨収集事業を適切に進めていかなければならないと思っております。また、後書きの部分では、「遺骨収集には多くの遺族の気持ちに応えるという重要な任務がある。厚生労働省は、迅速・適切に諸課題に対処し、多くの人々の思いに答えるようにしていただきたい」という指摘もいただきました。しっかりと受け止めさせていただきたいと思います。何よりも重要なことは、遺骨収集事業への信頼を取り戻すことであります。今回の調査チームの報告書、また、今並行して年度内を目途にご議論いただいております「専門技術チーム」の検討結果も踏まえて、有識者会議でご議論をいただき、また、その意見をいただくことになっております。これを踏まえて、遺骨収集事業のあり方、また、体制について見直しをしっかりと図っていきたいと考えております。私の方からは、以上になります。
 

質疑

記者:
今、ありました遺骨に関する調査チームの報告書の中では、鑑定人会議の専門家の見解を軽んじていたという厳しいお言葉がありましたが、この軽んじていたという事実について、大臣としてどのように受け止められましたでしょうか。
大臣:
先ほど申し上げましたように、このDNA鑑定というものについては、遺骨と遺族のマッチングというところに、いわば、限定してものを捉えていたということ、また、遺骨収集手続きがきちんとなされていれば十分なのだという認識等があって、結果として、専門家の見解を軽視したと、特に、DNAというのも段々段々こう精度が上がってきている、技術的な発展をしているわけでありますが、そういうことも十分に認識をすることなく対応してきたという個々の認識、それから、それに対してしっかり上へ危機管理ができていなかった、こういった認識を含めて厳しい評価をいただいたと考えております。いずれにしても、これらの評価と先ほど申し上げた技術チームでの議論を踏まえて、いわばゼロからもう一回作り直してやるんだというつもりで取り組んでいきたいと思います。
記者:
冒頭にご発言のあった年金機構の水島理事長の再任について、この再任によって五期目になると思いますが、大臣はどういったところを評価されて再任されたのか、人事のねらいを教えてください。
大臣:
日本年金機構、前は社会保険庁から年金機構になって、本当に様々な組織改革、また制度改革に対応していただきました。その間、残念ながら業務改善命令を私どもの方から出さざるを得なかったという事態がありますが、そうした事態にもリーダーシップを発揮していただいて、的確に対応を一つひとつ着実に図っていただいて、情報セキュリティ体制を強化する、あるいは、外部委託の課題もありましたが、それについても管理方法を見直すなど課題への対応と、そして、業務改善を図ってきていただいたと思います。そうしたこれまでの実績等を踏まえて、水島理事長に引き続きやっていただくということが最適であるという判断の下で再任をお願いしたということであります。
記者:
遺骨の問題で職員の処分などについてはどのようにご検討されるおつもりでしょうか。
大臣:
今回は組織全体としての対応について調べていただいたわけでありますけれども、各ケースごとに細かく当時の担当者に聞いていただいた、それもこの報告書の中にありますからそれを踏まえて、今度は私どもの人事当局において、これをベースにさらに非違行為がなかったかどうかという観点からしっかりと調査をして、必要な対応、必要であれば然るべき処分を行っていきたいと思います。
記者:
遺骨の問題ですけれども、フィリピンでの事例に関して、2011年に専門家から2度絶対に日本人ではない、公表するべきだと強く要請があったにも関わらず、事務方としては議事録には記載をしますと述べるにとどめて、その時の大臣も別の検証報告の際に全て帰還した遺骨は日本人のものであるというような答弁をされているケースもありました。これについて結局はそういった事実ではなかったということが後に明らかになったわけですけれどもそれについて大臣のご所見をお願いします。
大臣:
その件に関しても報告書で鑑定人会議ではその件公表すべきだという指摘があったにも関わらず、議事録に記載をすれば、情報公開があれば公開されることになると、そういう対応で終始したと。ただそれでは公表して欲しいという鑑定人からの要請に応じていることにはならないと明確に報告書には書いているわけでありますから、当時の対応は甚だ不適切だったということが言えると思います。加えて、今ご指摘があったように、そうした流れの中で結果的に政府委員ないし大臣の答弁においても日本人であるかのようなことを前提にした答弁がなされてしまったということで、これもミスリードに繋がっていくわけでありますから、そういった点において大きな問題があったと思っております。
記者:
関連なのですけれども、結局情報公開請求をしても非公開の会議であるということが理由なのか、全て黒塗りで出てしまっているというところで、国民にもその議事の内容は明らかにならないという点についてはどのようにお考えですか。
大臣:
議事の中身については個人情報に係ることもありますから、その点については配慮しなければいけないと思いますけれども、じゃあ本件が個人情報だったのかという点からしても、そこは反省すべきところがあると思います。ご指摘いただいていますように鑑定人会議の議事の中身についても個人情報にかからない限りできるだけ公表すべしという指摘もいただいていますから、それも踏まえて我々今後の対応を考えていきたいと思います。
記者:
遺骨の関連で伺いたいのですが、一部の埋葬地に関してですけれども、公表の必要性が検討された形跡がないという点に関して、その要因として数ありきというか、遺骨収集のスピードアップが最大の課題だったとか、ロシアとの間において返還に関する協議を始めてしまうと、事業自体がストップしてしまうのではないかという懸念があったという指摘がありますけれども、その背景について大臣はどのように受け止められましたでしょうか。
大臣:
処理をしなければいけなかったというのも、当初はそうだけれども、後半はあまりそうではなかったのではないかという指摘も確か報告書にあったと思います。もちろん今でも集中期間の中で迅速に遺骨収集を行っていくというのは遺族の方々の思いでもありますし、これは政府としても方針を決めておりますからそれはそれでしっかりやっていくべき話であることは間違いないと思いますけれども、しかしそうした中でここでご指摘あるように、仮に手続き通りやったとしても結果において間違えることもあるんだ、そして間違えたらどう是正していくのか、そこのところが欠如していたわけだと思いますので、そうした反省も踏まえながらしっかりやっていくということなんだと思います。当時はやはりそっちの方向だけしか頭になかったと、しかしそれだと本当の意味での遺骨収集をやっていく、あるいは遺骨収集に取り組んでおられる様々な方の思いに答えたことにならない、これは今日のこうした事態がそういうことをまさに生み出したわけなので、そういった意味において遺骨取集に対する認識というか、やっぱりそれをもう一度ここでこうして報告書でご指摘をいただいたような意味において、しっかりとどういうことをどういうためにやっているのかということをきちんと理解をした上で、もちろん迅速に対応していくということも必要でありますし、各国との協力を求めていくことも必要でありますけれども、今申し上げた前提をきちんと認識をして進めていくということが大事なのではないかと思います。
 

(了)