2019年12月13日(金曜日)
11時09分~11時24分
於:記者会見室

質疑応答

執務室の施錠、税制改正、JDI

Q: 質問の前に1件、大臣に申し入れがございます。

世耕元経産大臣在任時の17年2月27日に始まった庁舎管理の強化について、経産記者会からはこれまで4回、執務室の施錠措置の撤回を求める申入れを行い、現在までに聞き入れていただいておりません。所属各社記者による取材への支障が出ており、経産省が示したコミュニケーションが後退することがないようにするという方針は十分に実施されていないとの指摘が出ております。大臣交代に合わせ、改めて執務室の施錠措置を撤回すること等を求めます。近く申入書を提出いたしますので、お目通しをください。また、省内の皆様にも我々の考えを共有いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、質問2点お伺いいたします。

昨日、20年度の与党税制改正大綱が決定し、経産省が所管するオープンイノベーション税制と5G導入促進税制が決まりました。これら税制改正の狙いを教えてください。

2点目よろしいですか。2点目はJDIの件です。
昨日、いちごアセットから最大900億円の金融支援を受けることで基本合意しました。経営再建に向けて一歩前進した形ですが、大臣の受け止めを教えてください。

A: まず、税制改正ですけれども、昨日12日に当省の要望を認めていただく形で与党としての税制改正大綱をおまとめいただきました。
今回の改正の大きなテーマは、日本企業のリソースを有効に活用して経済全体のイノベーションを持続的・自律的に促すと同時に、5Gといった重要な経済基盤の構築を進めることにあります。

具体的には、アベノミクスの成果により増加してきた現預金等を活用して、イノベーションの担い手となるスタートアップへの新たな資金の供給を促進し、成長につなげるべくオープンイノベーション促進税制を創設をいたしました。
さらに、Society5.0の実現に向けて、安全・安心な5G情報通信インフラを早期かつ集中的に整備すべく、5G投資促進税制を創設をしたということであります。
このほかにも、電気供給業の課税方式の見直しなど、様々な要望を認めていただきました。
経済産業省としては、今回の税制措置を始め、あらゆる政策を総動員して日本経済の成長をしっかりと後押しをしてまいりたいと思っております。

2点目、JDIに関してですけれども、昨日、JDIがいちごトラストから資金調達について適時開示したことは承知をしております。引き続き、関係者において出資に向けた調整が行われているものと認識をしておりまして、その状況を見守ってまいりたいと思っております。

2点については、以上です。

COP25

Q: スペインで開かれているCOP25について伺います。
国連の事務総長が各国に石炭への依存をやめるように呼びかけていますが、小泉環境相は報道陣に対して、石炭火力の輸出規制についても今後議論をしたいという趣旨の発言をされております。エネルギー政策を所管する経産省としての発言の受け止めを伺えますでしょうか。

A: 小泉さんの意見に対して。

Q: そうですね。

A: これは政府として考えていくことでありますので、今までも議論はしております。そして、その中での結論ということでCOP25の中での発言になっていると思います。
石炭火力のCO2排出量が多いことは事実であって、世界の脱炭素化を実現するためには石炭火力は当然、あらゆる活動から出るCO2削減に根本から取り組むのが石炭火発も含めて必要であると考えております。

他方で、世界にはまだ電力を利用できていない人たちが10億人近く存在をしております。特にアジア・アフリカでは安価で手に入れやすい石炭から電力を得ようとする国が多いのが現実であり、日本との国交、また信頼関係の中で日本に最新技術でそういったものを手伝ってほしいという要請が数多くあるわけであります。

減らしていくことは当然でありますけれども、まずは電力へのアクセス、そして、そういったことも気候変動との戦いとあわせてSDGsの目標になっているわけでして、その両立に向けて非連続イノベーションの実現で、どこかで技術がブレークスルーするための研究開発も含めて具体的な道筋を付けることこそ、我が国の責任を持った対応であると思っております。

現実に、この前も申し上げましたけれども、5年間で約12%の削減を我が国はしているということであります。そして、他の国々と比べても遜色のないものであり、逆に上回っているものもございます。
理念も大切なんですけれども、より実効性のある削減計画を立て、1つ1つ削減をしていくこと、そういったことが大切であると思っております。そういった延長で、今後政府としてもいろいろな検討をしてまいりたいと思っています。

韓国向け輸出管理措置

Q: 週明けの16日に輸出管理をめぐる日韓の政策対話が開かれます。改めてどのような協議を期待されているのかというのと、あと今月下旬に見込まれる日韓首脳会議に向けて、悪化している関係の改善に向けた糸口になるのかどうか、その辺りのお考えを伺わせてください。

A: 先般、16日に予定をしているという発表をさせていただきました。16日の輸出管理政策対話においては、機微技術管理をめぐる情勢・課題として、日本や韓国が保有する機微技術を獲得しようとする動きや、そうした動きへの対策などをまず議論をします。協議をします。そして、更にまた日韓両国の輸出管理制度・運用として通常兵器キャッチオール制度の不備や審査体制の脆弱性など、韓国側の輸出管理制度・運用が不十分である点を扱うことを想定をしているということであります。
16日の話の中身につきましてはまだ行われておりませんので、こういった議題について協議をするということでありまして、幾つかの点が欠けていたからああいう措置を執っていたわけでありまして、こういった協議を重ねることによって、対話を重ねることによって、それらが解消されればいい方向に行くのではないかなとは思っておりますけれども、予断をもってお話しすることは差し控えさせていただきます。

Q: 両国関係に影響は。

A: これはこれで、向こうは要求もしてくるでしょうけれども、これは政策対話が3年半途切れていたことの再開ということでありますので、その輸出管理措置を執ったことの問題点が1つ1つ、こういった政策対話の中で解消されていくことを私は期待をしているということで、そうすれば可能性、元に戻っていく可能性もいずれあるということでもあります。

茨城県の「いばらき大使」の解任

Q: 金銭トラブルで「いばらき大使」を解任されました藤原氏の関連なんですけれども、茨城県の中小企業振興公社が仲介して、不適切な発注も確認されております。中小企業庁の事業の一環で補助金も支払われていますけれども、補助金の使途として妥当だったのかということと、返還を求めたりするお考えはあったりするのか。

A: 「いばらき大使」と茨城県内事業者間の訴訟をめぐる報道については、地元紙も含めて承知をしております。
平成28年度のJAPANブランド育成支援等事業の補助を受けた事業者が、パッケージデザインを委託した藤原浩氏から作業実態が伴わない費用請求を受けたとして藤原氏を、損害賠償請求を行い、12月10日に事業者側に勝訴判決が下されました。
この結果、補助金が過大に交付された可能性があるということでありまして、経済産業省としては、現在事実関係を確認をしているところであります。その結果を踏まえて、必要に応じて補助金の返還を含めて適切に対応していくということで、今御指摘あったようなことも含めて検討していくということになります。

Q: 大臣として受け止めがあればお願いします。

A: 大臣としては1つ1つ、1件1件について適正な予算の執行ということに心掛けていきたいということであります。

幌延深地層研究センター

Q: 日本原子力研究開発機構の幌延深地層研究センターについてお伺いします。
幌延深地層研究センターの研究期間を延長する計画案について、北海道庁と幌延町が受入れを表明しました。この計画案では、研究の終了期限が明確に示されておらず、機構は再延長の含みを持たせています。地元には、このままなし崩し的に核のごみの最終処分場とされるのではないかという不安があります。
そのことについて2点伺います。
1点目は、そのことに対する大臣の受け止め、2点目は、核のごみの最終処分地選定について大臣のお考えを聞かせてください。

A: 北海道知事及び幌延町長が日本原子力研究開発機構、JAEAの幌延深地層研究センターの研究期間を2028年度までを目途に延長するという内容を含む、研究計画の改訂案について容認を表明したことは承知をしております。
本件は、あくまでも研究期間の延長を含めた計画改訂について地元自治体が容認を表明したということであり、これとは別途、JAEAが地元自治体と締結している深地層の研究に関する協定書の中では、「当該研究実施区域を将来とも放射性廃棄物の最終処分場とせず」と明記されていると承知をしております。

経済産業省としては、JAEAがこの協定書の内容を遵守するように引き続き監督をしてまいりたいと思っております。
いずれにしましても、最終処分法では、処分地選定のプロセスを進める際には、「地域の意見を聴き、これを十分に尊重」するとしておりまして、地域の意向に反して処分場を押し付けるような考えはございません。
したがって、幌延での研究と処分地の選定プロセスは全くの別物であると考えています。

最終処分の実現に向けては、先月末に2020年目途に、より深く知りたい関心グループを倍増させていく、処分事業をより具体的に考えていただけるよう、処分事業に伴う地域発展イメージを共有していく等の当面の取組方針を策定をいたしました。これを踏まえて、複数地域での文献調査の実施に向けて一歩ずつ着実に取り組んでまいりたいと思っております。

以上です。

米中貿易摩擦

Q: 米中貿易摩擦に関してですが、トランプ大統領が合意に大きく近づいていると発言したことで市場も好感しているようですけれども、それに関する受け止めをお願いいたします。 

A: ニュースでそのことは承知をしておりますけれども、一喜一憂せずに、日本の経済も中国の経済の減速や米中経済摩擦に影響されることもありますので、しっかりと見守ってまいりたいと思いますし、経済の状況に関しましては見守った上で適切な経済対策を実施をしてまいりたいと思っております。

英国のEU離脱

Q: こちらも進行中なんですけれども、イギリスの総選挙は保守党が大勝の見通しと現地報道でも伝えられています。経済産業省としても、これまでブレグジットに備えていろいろな準備もされてきたところですが、今後の選挙の結果が日本経済に与える影響、あるいは英国との今後の関係について大臣の今の見通し、お考えを教えてください。

A: 現地時間の12日、昨日英国にて総選挙が実施をされて、現在最終結果待ちの状況と承知をしております。まだ開票中ですね。ですから、他国での選挙の動向にコメントすることは差し控えたいと思いますが、仮に英EU間での取決めなしに英国がEUを離脱する「合意なき離脱」となった場合には、日本企業の活動に対する影響は大変大きなものがあると思っております。
経済産業省としては、引き続き英国及びEUに働きかけを行うとともに、ブレグジット対応サービスデスク等を通じて、英国進出中小企業等に対し個別にアプローチを行って相談に応じる等、日系企業のビジネスへの悪影響を回避すべく全力で取り組んでまいりたいと思っております。まだ選挙の開票途中ということですので確定はしていないということと、その後のEUとの交渉というのもいろいろあると思いますので、それらをやはり注意深く見守っていくということと、進出企業についてはしっかり寄り添った形で応援をしていくということになると思います。 

(以上)

最終更新日:2019年12月13日