令和元年12月17日(火)

 今朝の閣議においては,法務省案件として,主意書に対する答弁書が3件ありました。続いて,私から2件報告がございます。
 私は,12月10日から12月14日にかけて,ミャンマー連邦共和国及びタイ王国に出張してまいりました。ミャンマーでは法務長官,最高裁判所長官及び労働入国管理人口大臣,タイでは法務大臣及び労働大臣とそれぞれ会談いたしました。
 会談では,法務・司法分野におけるASEAN諸国との連携強化を確認し,来年4月に開催される第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)への参加を要請するとともに,特定技能制度に基づく外国人材の受入れ促進等に向けた意見交換を行いました。
 特に,タイ法務大臣とは,両国の法務省との間の法務・司法分野における協力覚書の署名式を行いました。その他,両国の女性閣僚や災害担当の閣僚とも会談し,女性活躍促進の取組や防災・復興支援等について意見交換を行いました。今回の様々な成果を踏まえ,司法外交を更に推進してまいります。
 2件目ですけれども,令和元年12月12日付けで,第72期新任検事65名が任官し,昨日,辞令交付式が行われました。私からは,初心の志を忘れることなく,幅広い知見と豊かな人間性とを兼ね備えた,国民から信頼される検事に大成されることを願っていると訓示をいたしました。任官した新任検事の皆さんが,今後研さんを重ね,大いに活躍されることを期待しています。
 なお,新任検事65名中,女性の任官者数は28名で,任官者に占める割合は約43.1パーセントであり,この割合は過去最高であるとの報告を受けています。このことは,女性の活躍推進の観点から,歓迎すべきことと考えております。

大臣の海外出張に関する質疑について

【記者】
 冒頭発言でもありましたが,大臣は先日ミャンマーとタイを御訪問されました。大臣に就任してからは初で,京都コングレスを4月に控える中の海外出張でしたが,改めて成果と感想などをお聞かせください。

【大臣】
 司法外交を推進する上で,ASEANは極めて重要な地域であり,今回,各国のカウンターパートとなる大臣の間で,法務・司法分野の連携を強化していく方針を確認することができました。また来年4月の京都コングレスへの参加を直接要請し,前向きな回答をいただけたことも嬉しかったです。ミャンマーについては法制度整備支援,タイについては今回署名した協力覚書(MOC)に基づく協力の更なる推進が期待されるところでございます。また,本年4月に運用を開始した特定技能制度に基づく外国人材の受入れについて,両国の外国人材の送出しを担当する大臣との間でも意見交換を行ってまいりました。その中で特定技能制度に基づく円滑な運用を促進する,様々な意見交換ができたと考えております。
 このようにトップ同士で直接意見交換を行うことにより,良好な人間関係を築くこともできましたし,その場でこちらとしても期待以上の御回答をいただけた分野もございます。また,法務・司法分野におけるASEAN諸国との更なる連携について,有意義な会談も行うことができました。司法外交の一環として各国に駐在している法曹3者の皆様とも意見交換を行うことができ,様々な御苦労を伺うことができたことも,私としては大きな成果でありました。今回の出張の成果を踏まえ,司法外交を更に推進してまいりたいと考えています。

新任検事に関する質疑について

【記者】
 新任検事について辞令交付式がありましたけども,女性の割合が非常に高かったことについて,大臣の御所見をお伺いします。法曹界における女性活躍推進についてどのようにお感じになっているかということと,今回女性の割合が過去最高だったことについて,改めてどのようにお考えかということについてお聞かせください。

【大臣】
 私が司法試験に合格したときは,約2割が女性でございましたが,少しずつではありますが増えてきております。また検事の任官の割合でございますが,私が弁護士になった年の検事の任官の女性比率を見たところ,18パーセント台ということでしたから,今回の43.1パーセントというのはそれに比べると2倍以上でございまして,大変嬉しく見ていたところです。初めての4割超えということでございます。今回任官比率が男女ほぼ半数になったわけですから,50パーセントを目指していきたいと思います。
 男性も女性も両方活躍していただきたいと思っておりますが,性別という意味で多様な人材,そして性別以外でも多様な人材がそれぞれの領域にいることで,より仕事の実効性というものも高まるものと考えております。女性活躍というのは決して女性のためだけのものでなく,社会全体の発展のためというふうに考えておりますので,そういう観点から非常に喜ばしいことと受け止めております。

難民の受入れ状況等に関する質疑について

【記者】
 12月16日から3日間ですが,世界の難民問題の解決に向けた国際会議「グローバル難民フォーラム」がジュネーブで今回初めて開催されています。日本では難民認定数が厳しい状況が続いていまして,0.2パーセントとか,今年は40人で昨年より少し多いようですが,それでも難民条約加入国の中では圧倒的に少ないという現状は変わっていません。それどころか長期間収容されたりとか,長期間の仮放免とか非正規滞在で,20年30年ビザがない方もいらっしゃいます。
 今年亡くなった緒方貞子さんなども,政府の対応に対して,人間らしい思いやりの心がないといったことも新聞のインタビューで生前答えていらっしゃるのですが,そういった中で,今回の難民フォーラムは難民に関する非常に重要な国際会議だと思うのですが,日本政府からはどなたが参加され,世界の難民の状況に対して,どのように政府として向き合っていかれるのか,大臣の御所見があれば伺います。

【大臣】
 どなたが参加されるかということについては,後ほど事務方からお答えいたします。

【記者】
 大臣は御存じないということですか。

【大臣】
 調べて御回答したいと思います。

【記者】
 御存じないというお答えでしたけども,難民の受入れ状況について,国際社会の中で日本政府がどのような役割を果たすべきなのか,基本的な考えを聞かせてください。

【大臣】
 大変重要な論点であると思っています。難民の方が迅速に救済されるようにするべきだと考えております。我が国においての状況ということでございますが,難民,避難民の流入が国際問題化している欧州等の状況もございますけれど,我が国の場合はシリア,コンゴ民主主義共和国,アフガニスタンといった大量の難民,避難民を生じさせている国からの難民認定申請は少ないという状況です。他方,難民認定申請によって庇護を求めることが主眼ではなく,我が国での就労等を目的とすると思われる濫用,又は誤用的な申請も相当数見受けられる状況にあるという報告も受けております。
 このような中で,我が国では申請内容を個別に審査して難民条約の定義に基づいて,難民と認定すべき者を適正に認定しております。また,条約上の難民と認定できない場合であっても,本国情勢などを踏まえ,人道上の配慮が必要と認められる場合には,我が国への在留を認めているところでございます。これが状況でございますが,私としては,やはり真に庇護すべき難民の方は迅速,確実に難民認定をすべきと考えております。
 

(以上)