(令和元年12月19日(木曜日)16時30分 於:ロシア・モスクワ)

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質疑応答

【記者】充実した議論が行われたとお話しされてましたが,初めての会談,本格的な交渉ということで率直な感想といいますか,ご自身の評価というあたりをお伺いできますでしょうか。
 
【茂木外務大臣】本日ですね,ラブロフ外務大臣との間でワーキングランチを含めて5時間,日露の外相会談を行いました。午前の協議については共同記者発表で申し上げたので繰り返しませんが,ワーキングランチでは,引き続き平和条約交渉についてじっくり議論を進めたところであります。両首脳の指示の下,今後の議論の進め方について自分の考えを伝えました。基本的な立場の違いを埋めていく方策について,お互いが知恵を出し合いながら,今後も協議を続けていく,そういうことにいたしました。諸般の情勢が許せば,来年2月のミュンヘン安保会議の機会にですね,次回の外相会談を実施する方向で調整していくということで一致をいたしました。国際場裡における協力については,麻薬・腐敗・海賊対策等のさまざまな分野での対話や協力を確認するとともに,日露関係の潜在力を開花させるべく新たな協力を模索するため,あり得べき協力理念について幅広く意見交換を行ったところであります。さらに北朝鮮情勢であるとか中東情勢等の喫緊の国際情勢等についても,最近の状況を踏まえて率直な議論を行いました。
 実際ラブロフ外相とはですね,昨日も外相の主催で非公式な懇談を行っております。今回は外務大臣として初の訪露でありましたが,合計で今日が5時間,昨日が3時間,8時間じっくり話をする時間をとることができました。外相同士でともに努力をしていくことによりまして,日露関係を前進させていきたい,このように考えております。
 
【記者】来年2月のミュンヘン安保会議で外相会談を実施で調整というお話を今いただきましたけれども,9月のチリのAPECの際に予定されていて延期になっていた首脳会談についてはどのような話がなされたのでしょうか。
 
【茂木外務大臣】次回の外相会談については,諸般の情勢が許せば,こういう前提条件付きでありますが,ミュンヘンに行くという話でありましたので,状況が許せばそこでやりたいという話でありまして,次回の首脳会談の日程につきましては外交ルートを通じて調整していくことといたしました。
 
【記者】今日,今回ラブロフ外相とは3回目の会談ということではありますけれども,交渉責任者としては初めての本格的協議ということになって,改めて大臣としてはどういう点で平和条約交渉で前進・進展があったと思われますでしょうか。
 
【茂木外務大臣】平和条約交渉の内容については,日米の貿易交渉の時もそうでありましたけれど,今交渉中でありまして,交渉の中でいかなる論点が取り上げられたかということを含め,交渉内容に関わることついてはまさに外交の機微に関わる問題でありますので,コメントを控えたい,そう思っておりますが,その上で,ロシア側が提起をしたあらゆる論点について,今回の会談を含めて,我が方の立場,それは詳細に伝えたところであります。率直な意見交換ができたと思っております。8時間といいますと外相会談としては相当長い時間であると,皆さんもおわかりいただけると思っておりますし,決してだべっていたわけではありませんから,いい会談ができたと思っております。
 
【記者】ラブロフ外相から,従来から平和条約締結に向けて日米同盟が障壁になっているというふうな考えを示していらっしゃるかと思うんですけれど,今回の会談の中で日米同盟などに関してどのようなやりとりがあったのか,差し障りのない範囲で教えていただければと思うんですけれども。
 
【茂木外務大臣】安全保障上の懸念はですね,ロシア側だけではなくて,日露双方ともに有しておりまして,それらについて率直な対話を行いました。ここからよく聞いていただきたいんですけれど,平和条約交渉の中でいかなる論点が取り上げられたかについては,先ほど申し上げたように交渉中でありますので,コメントを控えたいと思います。
 
【記者】今日プーチン大統領がですね,内外のメディアを集めた恒例の記者会見の席で,平和条約交渉については「引き分け」でなければならないと,日本語を使って「引き分け」というふうにおっしゃったそうなんですけれど,「引き分け」という言葉をどのように受け止められますか。
 
【茂木外務大臣】「引き分け」と「ウィンウィン」という言葉はあまり変わらないんじゃないかなと思っております。日本的な表現を使っていただいたかなと,こんなふうに思います。
 
【記者】好意的に受け止めていらっしゃると。
 
【茂木外務大臣】(首肯)
 
【記者】日露地域交流年に関してお聞きしたいんですけども,北海道内で開会式をやる方向で調整することが決まりましたけども,北海道開催の意義であるとか,大臣としての北海道開催に期待することがあればご所見お伺いしたいと思います。
 
【茂木外務大臣】北海道,ある意味でですね,日本の北にあり,そして,ロシアに隣接した地域でもあります。そういった意味でもですね,これから例えば,8項目の中でも極東の案件を進めていくという中では,北海道,そして日本海が,ここがひとつの大きなですね,拠点になってくると考えておりまして,こういった日露の交流をですね,地域の隅々に広げていく,こういう意味でもですね,非常に重要な地域ではないかと,こんなふうに考えております。
 ちなみに,オレシュキン大臣はですね,日本は何度もですね,最初は野球の選抜のなんか,あれでですね,代表で来たらしいんですけども日本は,北海道までは来たことがないっていうんで,非常に喜んでました。
 
【記者】日本漁船の帰港を求めたとお話されてましたけど,帰港の見通しですとか,先方から回答はあったのでしょうか。
 
【茂木外務大臣】この点については,先ほど申し上げたとおりでありまして,今回の会談におきまして,私からですね,抗議の上,人道的観点からも乗組員及び船体がすみやかに帰港できるように求めたところであります。