2019年12月27日(金曜日)
10時03分~10時16分
於:記者会見室

冒頭発言

私の方から3点発言をさせていただきます。

双葉町、大熊町の避難指示解除日の合意

初めに、1点目、昨日東京電力福島第一原発事故の被災地域である双葉町、大熊町において、避難指示解除に係る協議を行いまして、双葉町は3月4日、大熊町は3月5日に一部地域の避難指示解除をすることで合意をいたしました。

なお、富岡町につきましては、先日、3月10日に解除することに合意したところです。

今後、政府として原子力災害対策本部会議で解除決定をいたします。これにより、初めて帰還困難区域の避難指示が解除されるとともに、全ての避難指示解除準備区域と居住制限区域の避難指示が解除されることになります。引き続き2022年から2023年春頃を目標としている特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除に向けて、環境整備など、関係省庁と連携して全力で取り組んでまいりたいと考えています。

福島第一原発の廃炉に向けた中長期ロードマップの改訂

2点目、本日廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議を開催をし、福島第一原発の廃炉に向けた中長期ロードマップの改訂を行いました。今回の改訂では、先ほど申し上げましたように、大熊町、双葉町を始め、周辺地域で住民の帰還や復興が徐々に進む中、復興と廃炉の両立を大原則として、安全確保を最優先に進めていくことを改めて打ち出しました。

その上でのポイントとしては、燃料デブリ取り出しは2号機から開始をすること、プール内燃料の取り出しはダスト飛散を抑制するために工法を変更すること、汚染水はその発生量を2025年内に1日当たり100立方メートル以下に低減をさせること等を盛り込みました。

引き続き廃炉・汚染水対策を安全かつ着実に進めてまいりたいと考えています。

レジ袋の有料化

3点目、本日27日金曜日、来年7月から全国でレジ袋を有料化するため、容器包装リサイクル法の省令改正を行いました。これにより、消費者のライフスタイルの変革を促してまいりたいと考えています。

レジ袋の過剰な使用を無理なく抑制するには、事業者や個人がそれぞれの立場で創意工夫を凝らした自主的な取組を進めていくことが重要です。こうした観点から、経済産業省としても2月中にも庁舎内のコンビニなどの店舗でレジ袋の有料化を前倒しで実施をしたいと考えております。

また、それに先立ち本年1月中にもナッジと呼ばれる行動経済学の手法を活用して、省内で実証を行い、消費者にどのように働きかけることが効果的かについて検証を行います。既に他省庁でも様々な自主的な取組が進められていますが、中央省庁の庁舎で先行的な取組を進め、それらの効果を社会に発信することで、皆様の取組の参考にしていただきたいと考えています。

私からは以上3点です。

質疑応答

今年の振り返りと来年に向けた課題

Q: 10月に大臣に就任されて以降の今年の振り返りと、来年に向けて積み残した政策課題について、見解を教えてください。

A: 就任直後から申し上げておりますけれども、廃炉・汚染水対策、そして福島の復興というのは、経済産業省の最重要課題であるということ、そのほかにも私が取り組んできたことを3点ほど申し上げさせていただきたいと思います。
まず、1点目、今年相次いだ災害に対しまして、生活・生業支援パッケージを取りまとめ、被災した事業者を徹底的に支えるという思いで、前例のない支援を充実をさせました。
2点目、デジタル時代の対応の第一歩として、この臨時国会で情報処理の促進に関する法律を改正をいたしました。事業者のデジタル・トランスフォーメーションを後押しするための支援策を盛り込んだわけでありますが、企業の皆様には是非積極的に活用をしていただきたいと思っております。
3点目は対外経済政策、とりわけRCEPの議論を進めるため、自らインドや中国に足を運び、各国の閣僚と信頼関係を構築をしてまいりました。RCEPにつきましては、インドを含む16カ国での来年中の署名に向けて、引き続き議論を主導をしてまいりたいと考えております。
来年は5Gを始め本格化するデジタル化への一層の対応、RCEPやWTO改革などの対外経済政策の推進、責任あるエネルギー政策の実行、環境と成長の好循環の実現、福島の復興などの課題に対しまして、一つ一つ着実に答えを出していく1年にしたいと考えています。
今後も日本経済の更なる発展に向けて、全身全霊で取り組んでまいりたいと思っております。引き続き経済産業行政への御理解と御支援をよろしくお願いをいたしたいと考えております。
以上です。

秋元司議員の逮捕

Q: 先般、秋元司衆議院議員が地検にIRの関連で逮捕されました。事件の直前まで自民党に所属されていたわけですが、どう受け止めになっているのか、またIR政策に対して、御担当ではないとは承知していますが、どのようにお考えでしょうか。

A: IRについては、私の担当外なので、コメントは控えさせていただきたいと思います。秋元さんの件は報道を通じて承知をしております。政務、また行政の職員も含めて、民間とのやりとりがどうしても必要になります。その境界線をしっかり持つべきだと思いますし、そういった対応、またお付き合いについても襟を正して臨むべきだということを改めて感じている一件でありますけれども、まだ詳細については存じ上げませんので、この中身については、コメントは差し控えさせていただきますけれども、私の感じ取り方としては境界線の件、そしてグレーな部分もあるでしょう。そういったところの対応の仕方というものは、政務も職員もしっかりと肝に銘じて行動すべきだということであります。

福島第一原発の廃炉に向けた中長期ロードマップの改訂

Q: 廃炉・汚染水対策のロードマップの改訂についてお伺いします。
先ほどポイントの中では詳しくはおっしゃられませんでしたけれども、プールの燃料の取り出しについては、最大で5年遅れるということが今回盛り込まれました。取り出しに遅れが発生しているということについて、大臣はどうお考えになっているでしょうか。

A: 燃料の取り出し作業を含めて、福島第一原発の廃炉は先を見通すことが大変難しい、困難な作業であると思っております。そして、そこに一つ一つ着実に対応しておりますけれども、新たな状況というものが出てくる場合もあるわけでありまして、安全というものを第一に考えながら、作業方法、作業工程を考えるということに今、しております。
それで、その中で周辺環境への影響を低減させるために、またダストの飛散を抑制するために、作業現場にカバーを設置するような工法を今回は採用するわけでありまして、引き続き安全を最優先に、着実に進めていきたいと思いますけれども、いつまで掛かってもいいということではありません。後ろはしっかり目標を持ちながらも、順調にいっているものもあれば困難な作業もあるという中で調整をしてまいりたいと思いますが、いずれにしても安全を第一に、それは作業者の安全、また周辺の環境の安全ということも含めて、取り組んでまいりたいと思っています。

Q: 難しいことをやっているので、新しいことが出てくれば見直さなければいけないということで見直しているのだと思うのですけれども、見直しがものすごく繰り返されているのですね。それについてはどうお考えになっているのか。

A: それは不確定要素がたくさんあるわけですから、安全というものを第一に考えて見直しをしているということで、一番最初からスケジュールありきではないということなのですね。そのスケジュール内でやろうとすれば、その工法を選べばなかなか難しいということで見直していくということですから、それで御理解いただきたいと思います。
ただ、全体の工程については、順調にいっているものもあれば難しいものもあるということで、全体の工程は変えずにいくということであります。

Q: 被災地の住民にしてみれば、例えば事故から5年とか6年とかという頃に帰れるか、帰れないかすごく迷っていたり、でもこういうロードマップに従って国がやってくれるのだったら帰ろうと決めたり、あるいはまだ帰ることはあきらめないで踏ん張ってみようと思っていた人たちもたくさんいると思うのですね。
それがまたこういう形でまた遅れますというふうなことが出てくるというのは、裏切られたと思ったり、ものすごくがっかりしたり…。

A: ただ、安全を考えると、裏切られたどうこうではなくて安全が第一だと思いますよ。スケジュールありきではなくて、スケジュールどおりにやらなくてはということは、それは最初は考えていますけれども、ただそれには丁寧な説明もしています。住民の方たちにも説明をしています。そして、皆さんの人生設計もあると思いますけれども、その中での苦渋の決断というのもおありでしょうし、我々も説明をしていくという中で、安全第一に考えれば、工程が遅れざるを得ないというような状況になったということですから、これは安全を無視してやりましょうということにはならないと思いますね。
ですから、本当はスケジュールどおりにやりたいけれども、カバーを掛けてやっていく、また飛散しないように先ほど言ったようにやっていくとか、あとはまた作業員の安全も考えて、時間の制限がある。そういった中でどうしていくか、デブリなどはまだまだ不明な点もありますから、そういうことも含めて安全を第一に、スケジュールも重視しながらもやっていきますけれども、安全が優先するという中でそのスケジュールの変更があったということで御理解いただきたいと思います。

Q: 関連になるのですけれども、燃料の取り出しが最大5年遅れるという中で、ともに見直しが想定される中でも、廃炉の完了自体は今回は堅持しているわけですけれども、最終的には後ろ倒しになるのではないかという見方もあると思うのですけれども、どうお考えですか。

A: 全体の工程でもしそうなるのであれば、それはそういう決断をするときが来るかもしれませんけれども、今の時点では先ほど申しましたように、一つ一つの作業で難しいものが後ろにいく場合もある。ただ、順調に進んでいるものもあるという中で、30年から40年後の廃炉終了を目指すということには、今の時点では変わりがないということです。
無理をしてということではなくて、全体の調整をしながら全体のスケジュールも見ておりますので、現時点では30年から40年ということでの目指していくということに変わりはございません。

 

(以上)

最終更新日:2019年12月27日