令和元年12月23日(月)

 今朝は,閣議前に地方分権改革推進本部に,,閣議後に犯罪対策閣僚会議に出席いたしました。また,今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。続いて,私から4件報告がございます。
 1件目ですが,本日開催された犯罪対策閣僚会議において,「再犯防止推進計画加速化プラン」が決定されました。
 本プランは,再犯防止推進計画に基づき,政府一体となって実施している再犯防止施策において,より重点的に取り組むべき3つの課題,すなわち,満期釈放者対策の充実強化,地方公共団体との連携強化の推進,民間協力者の活動の促進について,それぞれ対応する各種取組を加速化させるものでございます。
 そして,成果目標として,新たに令和4年までに,満期釈放者の2年以内再入者数を2割以上減少させ,2,000人以下とすること,令和3年度末までに,100以上の地方公共団体で,地方再犯防止推進計画が策定されるよう,支援を行うことの2つを定めました。法務省としては,国・地方・民間が一体となった再犯防止の取組がより一層進むよう,本プランに盛り込んだ取組を着実に実施してまいります。
 続いて,2件目ですが,いわゆる「あおり運転」は,悪質・危険な運転行為であり,こうした運転行為による悲惨な死傷事犯等が少なからず発生しております。近時,「あおり運転」の厳罰化を求める国民の声が高まっていることも踏まえ,法務省としても,しっかりとした対策を講じる必要があると考えました。
 そこで,この度,「あおり運転」による死傷事犯の実情等に鑑み,事案の実態に即した対処をするため,通行妨害目的で走行中の車の前方で停止する行為も,自動車運転死傷処罰法の危険運転致死傷罪の対象とする内容の改正について,法制審議会に対して諮問することといたしました。法務省としましては,令和2年1月に法制審議会に諮問できるよう,速やかに準備を進めてまいります。
 3件目は,仲裁法制の見直しを中心とした研究会の立ち上げについてです。我が国の仲裁法は,国連のUNCITRALが策定した国際商事仲裁モデル法に準拠して,平成15年に整備されたものですが,平成18年にこのモデル法の一部改正がなされ,これを踏まえ,我が国においても,平成30年4月,国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議の中間とりまとめの中で,仲裁法の見直しの要否を検討することとされました。このような中,本年内をめどに,民事法の研究者,裁判実務家等を構成員とする研究会が立ち上げられることとなり,法務省からも,研究会に担当者を参加させることといたしました。この研究会では,モデル法の一部改正への対応を始め,関連する諸制度等についても幅広く検討される予定と承知しており,法務省としても,その議論に積極的に参加し,検討を深めてまいります。
 最後に,4件目ですが,令和元年12月25日に,第69回“社会を明るくする運動”作文コンテスト法務大臣表彰式を行います。この作文コンテストは,次代を担う小・中学生が,犯罪や非行のない明るい社会作りについて考えたこと等を作文に書くことにより,この運動に対する理解を深めてもらうことを目的として実施しているものです。平成5年から実施しており,27回目を迎える本年は,昨年から約7,400点増加し,約34万点の応募がありました。最優秀賞である法務大臣賞には,小学生の部では島根県・山本彩永さんが,中学生の部では,神奈川県・竹内唯さんが,それぞれ選ばれました。法務省としても,お二人の作文を始めとする入賞作品に込められた思いを多くの方々に伝え,犯罪や非行のない,安心して暮らすことのできる社会作りに一層取り組んでまいりたいと思います。

「再犯防止推進計画加速化プラン」に関する質疑について

【記者】
 先ほどの御発言で,「再犯防止推進計画加速化プラン」に基づいて,満期釈放者対策の充実強化を進めていくと言及されましたが,具体的にどのように取り組んでいくのか,大臣のお考えをもう少し詳しくお聞かせください。

【大臣】
 政府目標である出所受刑者の2年以内再入率は,近年,着実に減少しており,16パーセントを目標としているのですが,直近で16.9パーセントと,初めての16パーセント台まで減少してきたところでございます。このように着実に成果が出ておりますが,その中を釈放事由別で見た場合に,満期釈放者の2年以内再入率が,直近では25.4パーセントと,仮釈放者に比べて2倍以上高い状況にございます。そこで,今回決定いたしました「再犯防止推進計画加速化プラン」で,今後,より重点的に取り組む課題として,満期釈放者対策を取り上げることとしたところでございます。
 また,その成果目標として,先ほども申し上げましたけれども,令和4年度までに,満期釈放者の2年以内再入者数を2割以上減少させ,2,000人以下にするという数値目標を新たに設定いたしまして,この成果目標の達成に向けて,具体的な施策を盛り込みました。1点目は,刑事施設と更生保護官署が連携した,出所後の帰住先の確保を始めとした,生活環境の調整の充実強化と仮釈放の積極的な運用です。2点目は,更生保護施設等の満期釈放者に対する受け皿等の確保です。そして3点目に,更生保護施設を退所した者に対する継続的な相談支援など,満期釈放者の相談支援等の充実を盛り込んでいます。満期で釈放された者が何事もなく社会に溶け込んでいけるような相談体制や,様々な帰住先等の環境の確保にしっかりと取り組んで,先ほど設定した数値目標を確実に達成できるように,関係省庁との連携をより一層強化し,しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

(以上)