冒頭発言

(1)日米貿易協定・日米デジタル貿易協定の効力発生のための通告

【茂木外務大臣】私(大臣)の方からまず2点,ご報告いたします。1点目ですが,本日の閣議において,日米貿易協定・日米デジタル貿易協定について,関係する国内法上の手続を完了した旨を,米国に対して通告することを決定しました。これを受けて,本日中に米側と相互に通告を行う予定です。両協定の発効日については,来年1月1日とする予定です。
 世界のGDPの3割を占める日米の貿易協定の発効によりまして,既に発効しているTPP11,日EU・EPAと併せて,世界経済の約6割をカバーする自由な経済圏,これが日本を中心に誕生することになります。大きな意義のあることだと考えています。
 また,日米デジタル貿易協定は,今後の「データ駆動型経済」の中で大きな拡大が期待されるデジタル貿易の分野での高い水準のルールを示すものであります。引き続き,日米同盟関係の重要な柱の一つである日米経済関係を安定的に発展させると同時に,自由貿易体制の維持・強化に,日本として指導的な役割を果たしてまいりたいと考えています。

(2)茂木大臣のスリランカ,スペイン,ロシア訪問

【茂木外務大臣】もう1点,この後の私(大臣)の海外出張の日程ですが,明後日の12月12日から14日まで,まずスリランカを訪問致します。スリランカでは先日新政権が発足を致しました。
今回の訪問では,二国間関係の強化,そして「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力等について,先月就任したばかりのグナワルダナ外相との会談を行う予定です。また,ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領,マヒンダ・ラージャパクサ首相を表敬する予定です。
 続いて,12月14日から17日まで,スペインを訪問して,マドリードにおいてアジア欧州会合(ASEM)の外相会合に出席する予定です。ASEM外相会合では,アジアと欧州の連結性の強化等について議論するほか,欧州やアジアの外相を中心に各国要人とバイの会談を行う予定です。
 さらに,12月17日から21日まで,ロシアを訪問致します。滞在中,ロシア訪問の招待があったラヴロフ外務大臣との間で日露外相会談を行い,平和条約締結問題を始めとする日露二国間関係全般を中心に議論を行う予定です。また,今回の訪問におきましては,オレシュキン経済発展大臣との間で,貿易経済に関する日露政府間委員会を開催します。日露経済・交流について包括的に協議し,両国の経済関係の発展に資する意見交換を行う予定です。
 スリランカからマドリッドまでは,そのまま行く予定です。いったん日本に戻りまして半日滞在をしてまたモスクワと,こういうスケジュールです。

ニュージーランド・ホワイト島火山噴火

【NHK 山本記者】昨日発生したニュージーランドでの火山の噴火についてなんですけれども,日本人の被害はないという報道はありますけれども,現時点で把握していらっしゃる最新の情報をお願いします。

【茂木外務大臣】ニュージーランド当局によりますと,9日14時11分頃,日本時間にしますと10時11分頃,ニュージーランド北部沖のホワイト島で火山が噴火をし,5名が死亡し,30名以上が負傷,8名が行方不明であると承知しております。犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに,被害に遭われた方々及びご家族の皆様方に,心よりお見舞い申し上げるところであります。
 現時点で邦人が被害に遭ったとの情報に接しておりませんが,引き続き在オークランド日本国総領事館において,情報収集に努めているところであります。

ジャララバード邦人銃撃事案

【読売新聞 阿部記者】アフガニスタンでの銃撃事件で,中村さんの殺害に関与したとして,現地警察が4人を拘束しました。これについて受け止めをお願いします。

【茂木外務大臣】そのような報道について承知をいたしておリます。現在,襲撃事件につきまして,引き続きアフガニスタン当局が捜査中であると,このように承知をいたしております。

茂木大臣のロシア訪問

【産経新聞 力武記者】先ほど,大臣,モスクワへの出張にも言及されてましたけれども,ラヴロフ外相とは既にもう2回お会いになってますが,今回,平和条約交渉のですね,交渉責任者としては初めての本格的な会談となると思います。改めてですけれども,どのような点で交渉を進展されたいと思われているかということについて,大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】これまで,ラヴロフ外相とは9月の国連総会の際,更には先日の名古屋で行われましたG20外相会談,こういった機会に外相会談を行なっておりますが,限られた時間でありました。今回はモスクワを訪問して,二日間,大体日程があります。もちろん,オレシキン経済大臣とも議論する予定であリますので,そこの中でラヴロフ外相とどこまで時間をとるかということになるかと思いますが,かなり時間は取れるんじゃないかなと思っておりまして,6月の日露首脳会談におきまして,両首脳は,シンガポールにおいて共に表明しました1956年の共同宣言を基礎として,平和条約交渉を加速させるとの決意の下で,精力的に交渉が行われていることを歓迎し,引き続き交渉を進めていくことで,一致をしたわけであります。
 また,9月のウラジオストクにおきます日露首脳会談で,交渉責任者であります外務大臣に,双方が受け入れられる解決策を見つけるための共同作業を進めていくように指示をしているところであります。共同経済活動,更には航空機による墓参,こういった事業も進んでいる中で,中心となります領土問題を解決して,平和条約交渉と,これの進展を見て,平和条約を締結する,このために具体的な協議に入れればと,そんなふうに思っております。

在日米軍の駐留経費

【日本経済新聞 加藤記者】在日米軍の駐留経費に関してお伺いします。先般の記者会見でも,日米の合意に従って適切に分担されているというふうに,大臣,ご発言されましたけれども,トランプ大統領,これまで防衛費の拡大ですとか,同盟国に対して全般的に負担の拡大を求めてきていると思うんですけれども,日米同盟全体に関してのコスト負担のあり方に関する大臣の,ご認識をお伺いします。

【茂木外務大臣】先日,会見でお話ししたとおりです。

日韓関係(日韓局長級政策対話)

【東亜日報 キム記者】来週,経済産業省で日韓当局の局長間協議が行われる予定です。3年ぶりなんですけれども,もちろん,担当部署は経済産業省なんですけれども,日韓外交の問題も関係がある問題だと思います。外務大臣として,今回の協議,どういうふうに期待されていますか,そして,どういうふうに受け止めていますか。

【茂木外務大臣】今回,第7回となります輸出管理政策対話の開催ということでありまして,有意義な対話となることを期待しております。

韓国政府による旭日旗に関するツイート

【読売新聞 阿部記者】旭日旗についてお伺いします。韓国政府が公式のツイッターやフェイスブックに,「旭日旗は憎悪の旗だ」として,「オリンピックで旭日旗は使用されてはならない」という趣旨の主張を投稿しています。旭日旗についての日本政府の立場とこれについて,韓国政府に抗議したかどうかお願いします。

【茂木外務大臣】ご指摘のような動き,これは我が国の立場であったりとか,これまでの取組と相容れないものでありまして,極めて残念だと感じております。韓国政府に対しても然るべく申入れを行なっております。

日露関係(平和条約締結交渉)

【朝日新聞 楢崎記者】日露関係について伺いたいんですけれども,モスクワの出張で平和条約交渉のお話をすると思うんですが,昨年11月のシンガポールでの首脳会談の交渉加速から約1年経つんですけれども,この間の進展状況やスピード感については,大臣,9月に就任したばかりなんですが,どのように評価されますか。

【茂木外務大臣】ですから,先ほど申し上げたように,共同経済活動,更には航空機墓参等々進んでいる分野もありますが,全体の1956年の共同宣言を基礎として,平和条約交渉を加速させる。領土問題を解決して,平和条約を締結する。これに向けて,これから本格的な交渉が始まると,こういう認識であります。