2019年12月9日

松本経済産業副大臣は、国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会に出席し、同理事会において、①エネルギー安全保障の強化、②持続可能なエネルギーシステムの構築、③アソシエーション参加国との連携強化(インドとの交渉開始)について議論し、成果物(閣僚コミュニケ)が10年ぶりに取りまとめられました。また、IEAビロル事務局長をはじめ、閣僚理事会議長であるポーランドのクルティカ大臣、米国のギャリッシュ次官補等との会談を行い、エネルギー分野における協力関係を一層強化していくことで一致しました。

1. IEA閣僚理事会

12月5日(木曜日)及び6日(金曜日)に、IEA閣僚理事会及び関連会合に出席しました。同理事会では、「エネルギーの未来の構築」をテーマに、30の加盟国に加えて9の非加盟国の出席の下、世界のエネルギー安全保障や持続可能で革新的なエネルギーシステムの構築、IEAの近代化等について議論を行いました。

今回の閣僚理事会の成果文書(閣僚コミュニケ)のポイントは以下のとおりです。

  1. エネルギー安全保障の強化について、昨今の供給途絶事象の発生を踏まえ、IEAの石油備蓄義務の重要性を再確認し、今後、非加盟国との密接な連携を促進するとともに、ガスや電力セキュリティの強化に向けたIEAの更なる貢献を要請しました。
  2. 持続可能なエネルギーシステムの構築について、今後もIEAが中心的な役割を果たすことを期待すると共に、世界のクリーンなエネルギー転換に向けたイノベーション、省エネ、再エネにかかるIEAの役割を更に強化することで一致しました。
  3. アソシエーション参加国との連携強化について、最終的なIEA参加への潜在的な道筋を含む、更なる関係強化に向けた新たな枠組である「戦略的パートナーシップ」について、IEAに対し、既に関心を表明しているインドとの協議開始を指示しました。

特に、我が国から主張したポイントは以下のとおりです。

  1. よりクリーンなエネルギー転換の実現に向けて、パリ協定上の2℃目標等の達成という理想と現実の乖離を埋めるには、あらゆる選択肢を総動員させる必要性があり、その点で、全てのエネルギー源及び全ての技術のイノベーションが重要であるとするIEAの基本理念を全面的に支持することを表明しました。
  2. ビロルIEA事務局長から、来年春に「クリーンなエネルギー転換にかかる関係閣僚会合」を開催する旨発表があり、日本はその開催を歓迎し、全面的に支持すること表明しました。
  3. 今年日本は台風による大規模停電を経験しましたが、昨今複雑化、多様化するエネルギー安全保障を巡る情勢下、今後急成長が見込まれるアジアを中心としたLNG市場拡大に向けて日本が実施する人材面・資金面での支援をはじめ、石油、ガス、電力の各々のエネルギー安全保障強化に向けた日本の取り組みについて紹介し、世界全体でエネルギー安全保障を強化していく必要性があることを主張しました。
  4. イノベーションの重要性について、今年日本が議長国を務めたG20で共有した、「環境と成長の好循環」実現に向けた3本柱である①イノベーションの推進、②グリーンファイナンス、③ビジネス主導の国際展開にかかる日本の具体的な取り組み、特に日本がリードする分野である水素、CCUS/カーボンリサイクル、原子力を含むあらゆるエネルギーイノベーションの推進に向けた国際連携が重要であることを主張しました。
  5. アソシエーション参加国との連携については、今後エネルギー需要が急速に拡大するインドが、世界のエネルギー安全保障の一層の強化に貢献する形でIEAとの関係強化を進めることは有意義であり、事務局の提案を支持することを表明しました。

また、IEA閣僚理事会に先立って行われた水素、CCUSのサイドイベントにそれぞれ出席し、今年9月に行われた水素閣僚会議、カーボンリサイクル産学官国際会議の成果について紹介し、更なる普及促進に向けた議論を行いました。

2.各国閣僚等との会談

(1)ポーランド クルティカ気候大臣との会談

ポーランドのIEA閣僚理事会議長国としての尽力に敬意を表したとともに、今後のクリーンエネルギーへの転換をはじめとする両国のエネルギー分野の協力の強化等について意見交換を行いました。

(2)アメリカ ギャリッシュ次官補との会談

両国のこれまでのエネルギー分野における協力関係を再確認したとともに、来年のG7、G20を見据えた一層の協力関係を構築することについて一致しました。

(3) ポルトガル ガランバエネルギー副大臣との会談

両国の水素燃料電池に関する取り組みや今後の両国の水素・燃料電池の利活用に関する今後の協力について意見交換を行いました。

(4)IEA ビロル事務局長との会談

両者間のエネルギー分野における一層の協力関係を築くことで一致しました。

また、上記会談以外にも、インド、豪州、EUなど、関係各国の閣僚と立ち話を行い、二国間のエネルギー協力や、水素やカーボンリサイクルなどのイノべーションの推進の重要性についてコミュニケーションを深め、関係強化に向けた議論を行いました。

  • ポーランド クルティカ気候大臣との会談
  • 米国 ギャリッシュ次官補との会談談
  • ポルトガルガランバ副大臣との立ち話
  • IEAビロル事務局長との会談

担当

  • (本発表資料のお問い合わせ先)

    資源エネルギー庁国際課長 早田
    担当者:藤岡、山本、鈴木

    電話:03-3501-1511(内線 4491~94)
    03-3501-0598(直通)
    03-3595-3056(FAX)

  • (水素のサイドイベントに関するお問い合わせ先)

    資源エネルギー庁新エネルギーシステム課長 白井
    担当者:牟田、藤村

    電話:03-3501-1511(内線 4558~4559)
    03-3580-2492(直通)
    03-3580-5308(FAX)

  • (CCUSのサイドイベントに関するお問い合わせ先)

    資源エネルギー庁石炭課長 竹廣
    担当者:川村、金田

    電話:03-3501-1511(内線 3529~30)
    03-3501-1727(直通)
    03-3580-8564(FAX)

    産業技術環境局地球環境対策室長 川口
    担当者:植松、笛田

    電話:03-3501-1511(内線 3524~26)
    03-3501-7830(直通)
    03-3501-7697(FAX)