1.  中谷真一外務大臣政務官は,12月5日から7日まででスロバキア共和国(ブラチスラバ)を訪問し,第26回欧州安全保障協力機構(OSCE,Organization for Security and Co-operation in Europe)外相理事会等に出席したところ,結果概要は以下のとおりです。

    1 OSCE外相理事会

    (1)会合概要

    • (ア)第26回OSCE外相理事会には,加盟57か国及び「協力のためのパートナー」11か国の代表が参加し,12月5日及び6日の2日間開催されました(日本は「協力のためのアジア・パートナー国」。)。
    • (イ)本会合の冒頭において,ライチャーク・スロバキア外務・欧州問題担当大臣より,議長国として3つの重点事項として,対話を通じた緊張の緩和,安全に向けた包括的なアプローチ,効果的な多国間主義について述べました。さらに,フィールドミッション,選挙監視,国境管理や人道支援といったOSCEの取組に触れつつ,「OSCEが引き続き意味のある活動をしていくためには,ヘルシンキ宣言に立ち戻る必要がある」旨述べました。
    • (ウ)また,ウクライナの領土保全,OSCEのような多国間主義の重要性につき発言する国がありました。

    (2)中谷政務官の演説
     中谷政務官は,理事会2日目(12月6日)に,演説を行いました。

    • (ア)中谷政務官は,東西冷戦の終結から30年を迎える中,冷戦時代及びこれ以降,長きにわたり東西の信頼醸成に努めてきたOSCEの役割を評価するとともに,アジアと欧州の相互依存が高まっている中でOSCEとアジア・パートナー国との協力を更に強化する必要性を述べました。また,OSCE選挙監視ミッションへの日本職員等の派遣や,OSCE国境管理スタッフカレッジ(BMSC,Border Management Staff College)への財政支援といったこれまでの日本の貢献を説明しました。
    • (イ)中谷政務官は,北朝鮮,海洋安全保障及びINF全廃条約後の軍備管理を含む,東アジアの安全保障環境を説明し,日本の自由で開かれたインド太平洋戦略の取組を紹介しました。また,「欧州におけるアジアに対する関心が高まることを期待する」旨述べました。

    2 OSCEトロイカとアジア・パートナー国との会合

    (1)12月5日午後には,OSCE外相理事会のマージンで,OSCEトロイカ(注:前議長国イタリア,現議長国スロバキア,次期議長国アルバニアの三者)とアジア・パートナー国との間で,意見交換を行いました。

    (2)中谷政務官からは,東欧の民主化とともにグローバル化が進み,アジアと欧州との距離が縮り,両地域の相互依存性が高まったことを指摘するとともに,日本のOSCEの貢献を説明し,両地域の共通の課題である法の支配及び民主主義等の基本的価値の実現,質の高いインフラの促進を含む連結性の強化及び海洋安全保障の強化の重要性を訴えました。

    (3)OSCEトロイカ側からは,日本の貢献の謝意の表明があり,アジアパートナー国との協力強化の重要性等につき言及がありました。

    3 各国代表との会談等

    (1)中谷政務官は,12月5日,ライチャーク(Miroslav LAJČÁK)スロバキア共和国外務・欧州問題大臣(Minister of Foreign and European Affairs of the Slovak Republic)を表敬し,二国間関係等について意見交換を行いました。

    (2)中谷政務官は,12月6日,グレミンガー(Thomas Greminger)OSCE事務総長(Secreatery General)と会談を行い,中谷政務官からは,日本の貢献の説明を行い,安全保障環境に関する理解の促進を含め,日OSCE間の協力をさらに強化していくことで一致しました。グレミンガー事務総長からは,日本の貢献に対する謝意の表明と更なる貢献への期待が示されました。

    (3)中谷政務官は,12月5日,エフェンディエフ(Altai Efendiev)GUAM事務局長(GUAM Secretary General)と会談し,戦略的な要衝であるGUAM(ジョージア,ウクライナ,アゼルバイジャン及びモルドバ)の自立的な発展及び国造りへの協力を日本が進めてきたことを説明するとともに,今後も二国間の関係と「GUAM+日本」の枠組みを並行して活用して,重層的な関係強化を図っていく意向を表明しました。日本及びGUAM事務局は,本会合及びこれまでの日・GUAMの協力を受けて「GUAM+日本」共同プレスリリース仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)を発出しました。

    (4)中谷政務官は,ギャラガー(Paul Richard Gallagher)バチカン外務長官(Secretary for Relations with States),ジョアナ(Mircea Geoana)NATO事務次長(Deputy Secretary General)及びパリーゼク(Lukáš Parízek)スロバキア共和国外務・欧州問題副大臣(State Secretary of Foreign and European Affairs of the Slovak Republic)とそれぞれ会談を行い,二国間関係,グローバル課題,地域情勢等につき意見交換を行いました。

    (5)また, アフガニスタンのザマーン(Idrees Zaman)外務大臣代行からは,中村医師に対する弔意がありました。その他に,プリスタイコ(Vadym Prystaiko)ウクライナ外務大臣(Minister for Foreign Affairs of Ukraine),メメディヤロフ(Elmar Mammadyarov)アゼルバイジャン外務大臣(Minister for Foreign Affairs of Azerbaijan),ザルカリアニ(Davit Zalkaliani)ジョージア外務大臣(Minister for Foreign Affairs of Georgia),レベンテ(Levente Magyar)ハンガリー外務貿易副大臣(Deputy Minister for State for Parliamentary Affairs of Hungary),セレーニ(Marina Sereni)イタリア外務・国務協力副大臣(Deputy Minister for Foreign Affairs of Italy),ブリアン(Peter Burian)EU中央アジア特別代表及びレンク(Rudolf Lennkh)欧州評議会代表と立ち話を実施しました。

    4 重要なエネルギー網の保護に関するバーチャル能力訓練センター開設記念式典

    (1)12月5日,中谷政務官は,日本がOSCEのプロジェクトに拠出する「重要なエネルギー網の保護に関するバーチャル能力訓練センター開設記念式典」に出席しました。

    (2)中谷政務官は,式典において,アジアと欧州の連携,とりわけ連結性の強化,日本とEUの取組を紹介し,本件事業への日本の財政貢献,更なるOSCEとの連携強化について述べました。