ジャララバード邦人襲撃事案

【朝日新聞 楢崎記者】アフガニスタンで,銃撃テロで犠牲になられた中村哲(なかむら・てつ)医師についてお伺いします。昨晩,大臣談話を出されていますけれども,改めて今回のテロについての受け止めと,家族らへの支援についてのお考えをお願いします。また,邦人の安全確保についてのお考えもあればお願いします。 

【茂木外務大臣】昨日の午後,外務大臣談話を発出したとおりでありますが,4日,アフガニスタン東部ナンガルハール県で銃撃事件が発生し,中村哲医師を含む6名が死亡したことに,強い衝撃と悲しみを覚えております。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに,ご家族に心から哀悼の意を表するところです。
 中村医師は,アフガニスタン国民のために,医療であったり灌漑等の分野で多大な貢献をされてきました。そうした中で,今回発生した卑劣なテロ行為を断固として非難するとともに,アフガニスタン関係当局による早急な捜査の進展を期待するところであります。
 中村医師のご家族及び「ペシャワール会」の関係者が,本日未明の便で現地に向けて出発しております。また,これにともないまして邦人援護の観点から,外務省から「海外緊急展開チーム」(ERT)1名をアフガニスタンに向けて派遣いたしました。
 現地では,ご遺体の円滑な移送に向けた準備が行われると,承知をいたしております。
 アフガニスタンは現在,全土に「レベル4:退避をしてください。そして渡航はやめてください(退避勧告)」を発出しているところです。この機会に改めて,国民の皆さんに,目的の如何に関わらず,外務省危険情報の退避勧告の出ているところへの渡航は,控えていただくようにお願いしたいと思っております。
 いずれにしても,海外で生活をされている,また旅行されている邦人の皆さんの安全確保に,引き続き外務省として全力で取り組んでいきたいと考えております。

ローハニ・イラン大統領の訪日

【産経新聞 力武記者】イランのローハニ大統領の月内の訪日について,まだ調整中のお話だと思いますけれども,日本が米国とイラン,双方と良好な関係を保っているだけに,日本としては立場の取り方というのは難しい面もあろうかと思いますが,もしこの訪日が実現すれば,日本としてどのような役割を果たしていきたいとお考えになりますでしょうか。

【茂木外務大臣】まず,ローハニ大統領の訪日については,現時点では何も決まっておりません。その上で,今の中東情勢は緊張の度合いを高めている。情勢の安定化,中東の安定というものは,国際社会全体にとって大きな課題だと考えておりまして,米国との同盟関係にある日本,そしてイランとの長年にわたって友好関係にある日本として,どういう役割ができるか,しっかりと検討もし,また具体的な外交努力も続けていきたいと思います。

茂木大臣の外国訪問

【朝日新聞 楢崎記者】現時点で決まっている今後の大臣の外遊の日程について,お聞かせください。また,狙いや期待される成果を,今,可能な限りでお願いします。

【茂木外務大臣】まだ完全には,日程が固まっているわけではありませんが,当面スリランカ,そしてスペインで開催されますASEMについて,その出張について調整中であります。また,ラヴロフ外相から,モスクワ訪問,ロシア訪問の招待を受けておりますので,諸般の情勢が許せば,12月中旬にモスクワを訪問したいと,こんなふうに考えております。

習近平中国国家主席の国賓来日(意義)

【読売新聞 阿部記者】中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の来春の国賓訪日についてお伺いします。香港情勢の激化や,相次ぐ中国公船の領海侵入など受けて,与党内でも国賓招待の賛否が別れる状況が続いていますけれども,習主席を国賓で招く意義について,改めて大臣のお考えをお願いします。

【茂木外務大臣】日中両国の間には,確かに様々な懸案が横たわっておりますが,それを解決していくためにも,大局的な観点から両政府のハイレベルが率直に議論をして,中国側に前向きな対応を促していく必要がある,こんなふうに考えております。いずれにしても引き続きハイレベルで意思疎通を積み重ね,主張すべきは主張して,懸案に対する中国側の前向きな対応,これを強く求めていきたいと思っております。

【読売新聞 阿部記者】関連で,先日の参議院の外交・防衛委員会でも,自民党の議員から,なぜ公賓ではなく国賓なのか,そのあたりの丁寧な説明や情報発信に努めてほしいという指摘もありましたけれども,こうした指摘に対して,どのように対応して理解を得ていくか,お願いいたします。

【茂木外務大臣】丁寧に説明していきたいと思っています。

在日米軍駐留経費負担増額に関するトランプ大統領発言

【朝日新聞 竹下記者】在日米軍の駐留経費の関連でお尋ねします。トランプ大統領が安倍首相に「助けてくれ」と,負担増を求めたということを明らかにしましたけれども,この観点について事実関係をお尋ねできればと思います。

【茂木外務大臣】トランプ大統領の発言の概要については承知をいたしております。その上で,現在,在日米軍の駐留経費,これは日米両政府の合意に基づいて,適切に分担をされていると考えております。そして,現行の在日米軍駐留経費負担特別協定は,再来年,2021年3月末まで有効でありまして,現時点におきまして,新たな特別協定に関する交渉は日米間で行われておりません。

【朝日新聞 竹下記者】来年には先ほど言及がありました交渉が始まると思いますが,日本政府として,どのような方針で臨みたいか,大臣のお考えをお尋ねできればと思います。

【茂木外務大臣】来年に始まるかどうか分かりませんが,次期交渉を行うに際しましては,一層厳しさを増します地域の安全保障環境であったりとか,我が国の厳しい財政状況等を踏まえて,適切に対応していくことになると思います。