1. 1 昨3日(現地時間同日),フランス共和国の首都パリにおいて,我が方小笠原一郎駐コモロ大使(マダガスカルにて兼轄)と先方スエフ・モハメド・エル・アミン外務・国際協力大臣ディアスポラ担当(H.E. Mr. Mohamed El Amine SOUEF, Minister of Foreign Affairs and International Cooperation in charge of Diaspora)との間で,総額5億円となる2件の無償資金協力に関する書簡の交換が行われました。

    2 各案件の概要は以下のとおりです。

    (1)コモロにおける海洋安全保障能力強化のための支援(無償資金協力「経済社会開発計画」,供与額:3億円)
     コモロは,東部・南部アフリカの玄関口に位置し,インド太平洋を介して,アジアとアフリカの連結性を向上し,安定と繁栄を促進する上で重要国となっています。同国では,海洋資源が豊富であることから,経済発展の要として水産業振興に取り組んでいますが,同国海域で漁業資源の乱獲や麻薬等の不正取引が横行しており,違法操業船・海洋犯罪の取締りや漁業関係者の安全確保が急務となっています。この協力は,同国政府に対し,海上保安機材(警備用高速ボート)を供与することにより,同国における海洋安全保障の強化及び産業振興支援を図り,社会の安定化に寄与するものです。我が国は,2019年8月に開催した第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において,アフリカにおけるブルーエコノミーの発展を支援する旨表明
    (PDF)
    別ウィンドウで開くしており,この協力は同表明を具体化するとともに,自由で開かれたインド太平洋の実現に寄与するものです。

    (2)食料安全保障改善のための支援(無償資金協力「食糧援助」,供与額:2億円)
     コモロは,国連開発計画(UNDP)が発表する人間開発指数(2018)で189か国中165位に位置付けられる後発開発途上国の一つであり,貧困や食料不足が深刻な課題となっています。同国では,コメが主食ですが,火山島のため稲作を含む農耕に適した土地が少ないことから,食料自給率が低く(コメの自給率は0%),また,天候不順や脆弱な財政基盤もあり,食料不足に直面しています。この協力は,同国に対し,食料安全保障の改善及び栄養状態の改善等を目的として,我が国政府米(2,900トン程度)による食糧援助を実施するものです。我が国は,2019年8月に開催した第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において,「強靱かつ持続可能な社会の構築への貢献」を表明しており,この協力は同表明を具体化するものです。

    [参考]コモロ連合基礎データ
     コモロ連合の面積は2,236平方キロメートル(東京都とほぼ同じ),人口約81.4万人(2017年,世界銀行),一人当たり国民総所得(GNI)は760米ドル(2017年,世界銀行)。