2019年12月3日(火曜日)
9時25分~9時35分
於:記者会見室

冒頭発言

価値創造企業に関する賢人会議

おはようございます。
私の方から初めに1点申し上げます。

本日、第1回価値創造企業に関する賢人会議を開催をいたします。
この会議は、未来投資会議におけるグローバルな競争環境を踏まえ、大企業と中小企業が共に成長できる新しい取引ルールが必要という議論を受けて、両者が共に稼げる共存共栄モデルを提示することを目的に立ち上げるものです。
中小企業政策審議会の三村会長に座長をお願いをしております。大企業や中小企業の経営者に委員に就任いただいております。
会議では、まず、業種別の取引構造についてよく分析をして、その上で来年2月の中間取りまとめを目指して議論を進めていただこうと考えております。

また、この会議に併せて、今後、個別取引の適正化対策についても、新たな対策パッケージ策定に向けた検討を開始をいたします。
これまで価格決定方法の適正化、コスト負担の適正化、支払条件の改善を3つの重点課題としてきましたけれども、新たに知財・ノウハウの保護、働き方改革に伴うしわ寄せ防止を追加をし、5つの重点課題といたしました。
これらの課題への対応については、今後、賢人会議でも御議論いただいた上で、関係省庁とも連携しつつ、対策パッケージを取りまとめていきます。

私からは以上です。

質疑応答

WTO上級委員会

Q: WTOの紛争処理について伺います。12月10日に2人の任期が切れることで機能不全に陥るおそれが出ておりますが、日本にとって、この上級委員会がなぜ重要なのか、もっと言えば、上級委員会が機能不全に陥ると日本にどのような具体的な問題が生じるのかをお願いします。

A: WTOの紛争解決手続は、個別の紛争案件の解決を通じて、多角的自由貿易体制を支えるWTOの中心的な役割の柱の一つであります。
最終審に当たる上級委員会については、12月10日に2名の上級委員の任期が御指摘のように切れることにより、今後、新たに上訴される案件については、審理に必要な上級委員が確保できず、上級委員会で審理ができないおそれがあるという状況に今なっています。
今後の対応について、現在もWTO加盟国の間で議論を続けているところであります。そのため、今後について予断を持って答えることは控えますけれども、日本はこれまでも、上級委員会の機能の維持に向けて提案を出すなど積極的に議論を行ってきたところであり、上級委員会がその機能を果たせるように、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
日本にとってどうかというお話がありましたけれども、紛争解決にとって非常に重要な役割だということで、この上級委員会の在り方についても、日本からは法的問題のみを扱うことを提案をしているということでありまして、事実の認定とか、そういうものに時間を割くのではなくて、そういった形でWTOの機能維持という形ができればいいということで思っておりますけれども、予算案の承認などでは今遅れているということですけれども、できるだけ早く予算案が承認されて、上級委員会の委員2名がまた補充されることを期待をしております。

韓国向け輸出管理措置

Q: 日韓の貿易管理に関する政策対話が今月中旬に予定されていると思うのですが、明日ウィーンで準備会合が開かれると発表されております。日程や議題が絞り込まれると考えてよろしいのでしょうかというのと、あと、どのような協議を期待されていらっしゃいますか。

A: 明日に予定されている局長級の準備会合では、輸出管理政策対話に向けた準備として、議題や日程の詳細を確認する予定にしております。
対話の中身というのは、これからということになりますけれども、しっかりとした対話をして、そしてお互いの状況が確認できていくことが大変望ましいことだと思っております。

ジャパンディスプレイ

Q: ジャパンディスプレイについて伺います。経理担当の幹部職員が5億円超を着服したと言っていて、その後、不適切会計を行ったとも証言した後に、更に週末自殺されたという報道もあります。事実関係の把握状況と大臣の受け止めを、まずお願いします。

A: 報道は承知しておりますけれども、個人に関することであり、詳細は把握していないため、コメントは差し控えたいと思っております。
JDIのガバナンスに関しましては、11月21日(注)、JDIが元従業員による不正送金等について適時開示を行ったと承知しております。このような事態が生じたことは遺憾です。JDIにおいて、再発防止策やガバナンスの強化に努めていくべきと考えており、注視してまいりたいと思っております。
1つは、横領の事件があったと。そして、横領の事件のほかに、その当事者からですか、こういう不適切な会計処理があったということがありましたけれども、これは別物だと思っておりまして、不適切な会計処理の情報につきましては、しっかりと監査をJDIで行うものであり、いずれ発表があるものと思っております。

Q: 経産省として把握されたのはいつごろなのかという話と、INCJの所管の…。

A: 何を把握したと。

Q: この不適切案件だったりとか着服という部分に関して。
INCJは所管省庁ですけれども、指導されたり調査されたりというお考えがあるのかどうか。
A: これについては、事の経緯を見ながらということになりますけれども、刑事につながるということで、公にするのは控えてきたと聞いております。

日米貿易協定

Q: 日本時間の昨晩、トランプ大統領がブラジルとアルゼンチンから輸入される鉄鋼などへの関税の引上げを表明しました。そして今朝、フランスのデジタル課税に反発し、24億ドル分の輸入品に最大100%の関税上乗せを検討するという報道もあります。
現在、国会では、日本とアメリカの貿易協定の承認案が議論されていると思うんですけれども、これらの出来事が何かそういった議論に影響するとか、また、若しくは日本に対する自動車関税等に何か波及するか、影響があるか、懸念はお持ちでいらっしゃいますか。

A: 日米の貿易協定は、こちらでお話をしているとおりでありまして、しっかりとした約束ができているという前提で今議論をしていただいております。
昨日の今のお話になった件については、私自身が詳細に承知をしておりませんので、今コメントは差し控えさせていただきます。

福島第一原発の廃炉に向けた中長期ロードマップ

Q: 福島第一原発の廃炉の工程表についてお伺いします。昨日、中長期ロードマップの改訂案が取りまとめられまして、燃料デブリの取り出しを2号機から始めるということが盛り込まれました。デブリの取り出しは本当に安全にできるのかとか、全部取れるのかとか、様々課題があると思うんですけれども、今回こういう改訂案がまとまったことについての所見をお願いします。

A: それらも含めてしっかりできるという前提で発表しておりますけれども、ただ、全てが確定ということではなくて、デブリの取り出しについては不確定要素もたくさんあると思いますし、これからやっていく中で、そういったものが分かる場合もあるということですけれども、目標は取り出しの開始をした上で、31年末までに1号機から6号機までの燃料全てを取り出し完了ということで発表させていただいたということであります。

Q: 確認ですけれども、デブリとは別に燃料の取り出しのスケジュールの方なんですけれども、今、現状の取組としては、3号機で取り出しをやっていて、なかなか機器のトラブルとかで思うように進んでいないんですけれども、その中で新しく31年までに全部出すんだという目標を設定した狙いというのは、どういうものなのですか。

A: これは31年までに全体をやっていくという目標を立てた上で、それぞれの取組ということで、途中、支障が出てくることもあるでしょう。でも、それらを解決しながらやっていく上でも、31年という目標を持たせていただいているということであります。できる限り、このスケジュール内で収めたいと思っております。安全最優先ですからね、まずは。

COP25

Q: COP25がスペインで開催されました。日本の石炭政策とか新増設とか、当面のCO2対策に国際的な批判はかなり強まってくると思いますが、経産省としてはどういう形式で臨まれますか。

A: これは、閣僚クラスはまだこちらは出発しておりませんけれども、COP25が始まったということで、私どもはまだ国内も含めて、石炭火発、化石燃料の発電所というものは選択肢として残しておきたいと考えております。と申しますのも、2030年のベストミックス、全て選択肢を考えた上でどうしていくかということが重要なことだと思いますし、その中での制約というのは、原子力発電の依存率をできる限り低減をしていく、そして、再生可能エネルギーを増やしていく、そして、更にまたCO2の排出を減らしていく。非常に難しい制約の中で、全て選択肢がある中で技術開発も進めていくということでございます。

(注)実際の発言は「12月11日」でしたが、事実関係に基づき、上記のとおり修正いたしました。

以上

最終更新日:2019年12月3日