1.  11月23日から24日にかけて,鈴木馨祐外務副大臣は,英国国際戦略問題研究所(IISS)が主催する第15回マナーマ対話に出席するためバーレーン王国を訪問したところ,訪問の概要は以下のとおりです。

    1 第15回マナーマ対話
     23日及び24日,鈴木外務副大臣はマナーマで開催された第15回マナーマ対話に日本政府代表の一人として出席しました。鈴木副大臣は,24日に開催された特別分科セッションのグループ4「中東の紛争と安定(Conflict and Stabilisation in the Middle East)」にスピーカーとして参加しました。鈴木副大臣はスピーチの中で,戦後の荒廃から復興を成し遂げた日本の経験について説明しつつ,経済大国となった現在はドナー国として国際的な平和構築に貢献していることに言及し,東南アジアにおける日本による平和構築への貢献の例を示しつつ,安定化実現のために日本は当事者間の信頼醸成,宗教や民族の融和等を重視している旨説明しました。続けて,鈴木副大臣はスピーチで,中東地域における日本独自のアプローチとして,就業機会の創出や教育支援といった若い世代への投資に主眼を置いた息の長い支援を行っていることに触れ,「平和と繁栄の回廊」構想をはじめとする中東地域に日本の取組を紹介しました。また,スピーチに引き続き,同セッションに参加した他のスピーカー及び聴衆との間で活発な討論が行われました。
     また,23日,鈴木副大臣はマナーマ対話に参加した各国政府代表を招いて開かれた,ハーリド・バーレーン外務大臣主催昼食会及びハマド・バーレーン国王主催晩餐会に出席しました。

    2 バーレーン政府要人との会談

    (1)ハーリド外務大臣との会談
     23日,鈴木外務副大臣は,シェイク・ハーリド・ビン・アハマド・ビン・ムハンマド・アール・ハリーファ・バーレーン王国外務大臣(H.E. Shaikh Khalid bin Ahmed bin Mohammed Al Khalifa, Minister of Foreign Affairs of the Kingdom of Bahrain)と会談を行いました。鈴木副大臣から,マナーマ対話をホストしたバーレーンの尽力に感謝するとともに,「マナーマ対話は中東地域の安全保障について議論する重要な場であり,中東地域の安定実現に向けたバーレーンの貢献を評価している」旨述べました。これに対し,ハーリド外務大臣から,「航行の自由の分野で協力していきたい」旨述べました。また,両者は,日・バーレーン投資協定の交渉を進めていくこと等を含め,幅広い分野での二国間関係強化に向けて協力していくことで一致しました。

    (2)アブドッラー国際問題担当外務次官との会談
     23日,鈴木外務副大臣は,アブドッラー・ビン・アフマド・アール・ハリーファ・バーレーン王国国際問題担当外務次官(H.E. Dr. Shaikh Abdulla bin Ahmed bin Abdulla Al Khalifa, Undersecretary for International Affairs, Ministry of Foreign Affairs of the Kingdom of Bahrain)と会談を行いました。鈴木副大臣から,「マナーマ対話をホストしたバーレーンの尽力に感謝するとともに,地域の安全や航行の自由の確保のためのバーレーンの貢献を評価している」旨述べました。アブドッラー国際問題担当外務次官からは,マナーマ対話に日本から連続してハイレベルのスピーカーが参加していることへの感謝と,日本が海賊対処活動等で国際的な平和と安定実現に貢献していることへの評価が述べられました。また,両者は,両国間の継続的な要人往来や政策協議等の実施が二国間関係の強化につながるとの認識を共有するとともに,今後も引き続き協力していくことで一致しました。

    (3)ハリーファ南部県知事との昼食会
     24日,鈴木外務副大臣は,マナーマ対話に出席するためにバーレーンを訪問中の河野太郎防衛大臣とともに,ハリーファ・バーレーン王国南部県知事(H.H. Shaikh Khalifa bin Ali bin Khalifa Al Khalifa, Governor of the Southern Governorate of the Kingdom of Bahrain)と昼食をはさみつつ意見交換を実施しました。昼食会には,ハーリド外務大臣及びバーレーン各県の県知事他が参加しました。昼食会参加者の間では,二国間関係強化に加え,地方自治団体レベルでの交流の促進等についても意見交換が行われました。

    3 マナーマ対話に参加した各国政府要人等との会談

    (1)ザヤーニ湾岸協力理事会(GCC)事務局長との会談
     23日,鈴木外務副大臣は,アブドゥル・ラティーフ・アル・ザヤーニ湾岸協力理事会(GCC)事務局長(H.E. Mr. Abdul Latif Al Zayani, Secretary General of the Gulf Cooperation Council)と会談を行いました。鈴木副大臣から,「湾岸地域はエネルギー供給のみならず,様々な面からの戦略的重要性を有する地域であること,バーレーンが継続的にマナーマ対話のような会議をホストしていることについて高く評価している」旨述べました。ザヤーニ事務局長から,今後,湾岸地域ではサウジアラビアによるG20サミット開催,ドバイにおける国際博覧会開催等国際的に重要なイベントが複数開催される予定であること,また,GCC諸国は経済の多様化や若者の活躍促進のための様々な取組を行っている旨説明がありました。また,両者は,日本とGCCの関係強化に向けて協力していくことで一致しました。

    (2)ガルガーシュ・アラブ首長国連邦(UAE)外務担当国務大臣との会談
     23日,鈴木外務副大臣は,アンワール・ムハンマド・ガルガーシュ・アラブ首長国連邦(UAE)外務担当国務大臣(H.E. Dr. Anwar Mohammed Gargash, Minister of State for Foreign Affairs of the United Arab Emirates)と会談を行いました。鈴木副大臣から,UAEとの間では,「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ(CSPI)」の強化が重要であり,来年は日本にとってオリンピックが,UAEにとってドバイ国際博覧会が開催される重要な年であり,日本にとっても湾岸地域の関心を高めるための良い機会になる旨述べました。また,鈴木副大臣から,福島産品への一部規制の完全撤廃への協力を要請しました。ガルガーシュ外務担当国務大臣からは,日本とUAEの二国間関係はあらゆる分野で良好に発展していること,地域の安定と繁栄のために両国で協力していきたい旨述べました。両者は昨今の中東地域情勢についても意見交換を行いました。

    (3)ミュージニッチ米国財務副長官との会談
     23日,鈴木外務副大臣は,ミュージニッチ米国財務副長官(Mr. Justin Muzinich, Deputy Secretary of the Treasury of the United States)と会談を行いました。両者は,鈴木副大臣が財務副大臣であった当時からの両者の親交に触れつつ,日米関係に関する諸課題,中国・北朝鮮を始めとする双方が関心を有する地域情勢について意見交換を行いました。また,G20等における今後の国際金融・税制のあり方についても意見交換を行いました。

    (4)サファディ・ヨルダン外務・移民大臣との会談
     23日,鈴木外務副大臣は,アイマン・サファディ・ヨルダン外務・移民大臣(H.E. Mr. Ayman Safadi, Minister of Foreign Affairs and Expatriates of the Hashemite Kingdom of Jordan)と短時間会談を行いました。両者は,良好な二国間関係を一層強化していくこと等について一致しました。

    (5)アブドルマリク・ミフラーフィ・イエメン大統領顧問との会談
    24日,鈴木外務副大臣は,河野防衛大臣とともに,アブドルマリク・ミフラーフィ・イエメン大統領顧問(H.E. Mr. Abdulmalik Al-Mekhlafi, Advisor to the President of Republic of Yemen)と会談を行いました。ミフラーフィ大統領顧問から,日本の対イエメン支援に対する謝意が述べられ,またイエメンを巡る地域情勢について説明がありました。また,ミフラーフィ大統領顧問と鈴木副大臣は本会談直前に行われたマナーマ対話特別分科セッションでともにスピーカーを務めたことから,鈴木副大臣の説明した日本の対中東政策を歓迎する旨述べました。

    4 その他
     鈴木外務副大臣は,マナーマ対話の会場,ハーリド・バーレーン外務大臣主催昼食会及びハマド・バーレーン国王主催晩餐会で,ニールス・アネン・ドイツ外務担当国務大臣,モハメド・マリキ・オスマン・シンガポール国防担当兼外務担当上級国務大臣,クリストファー・マーフィー米国連邦上院議員及びジョン・ルード米国防次官とそれぞれ立ち話を行いました。

    [参考]マナーマ対話(11月22日から24日,於マナーマ)
     英国国際戦略問題研究所(IISS)が主催し,バーレーンの首都マナーマで毎年開催される,主に湾岸地域の安全保障をテーマとした会合。本年は,「中東における対立と競争の舵取り」をテーマに,変容する中東における米国の政策,中東における紛争と外交,中東の安定と再建,国境を越える脅威への予防と対応等につき,意見交換が行われた。