2019年11月25日

苫小牧市におけるCCS大規模実証試験において、二酸化炭素(CO2)の累計圧入量が目標である30万トンを達成しました。これにより、CO2の圧入は停止しますが、圧入したCO2などのモニタリングは継続していきます。また、本実証試験において得られた結果や今後の課題について専門家による検証を行い、その成果を公表する予定です。

1.CCSとは

二酸化炭素回収・貯留(Carbon dioxide Capture and Storage, CCS)は、工場や発電所等から排出される二酸化炭素を大気放散する前に回収し、地下へ貯留する技術です。 CCSは、2019年6月に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」において、「とりわけ石炭火力発電については、商用化を前提に、2030年までにCCSを導入することを検討する」と位置付けられています。

2.苫小牧におけるCCS大規模実証試験の概要

  1. 経済産業省では、2012年度から2017年度まで「二酸化炭素削減技術実証試験事業」を日本CCS調査株式会社へ委託し、苫小牧市にて実証試験を開始しました。なお、2018年度から2019年度の2年間は、NEDO交付金により「CCS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCS大規模実証試験」の一環として実施しています。

  2. 2012年度から2015年度の4年間は、CO2を分離・回収するための設備と地下へCO2を圧入するための設備を設計・建設するとともに、観測井と圧入井の掘削を行いました。同時に、貯留層へのCO2圧入が周辺環境に影響を与えないことを確認するため、地層や地震に関するデータのモニタリングシステムを設置し、圧入前の基礎データの取得、海洋汚染防止法に基づいた海水・海洋生物などの事前調査も実施しました。

  3. 2016年4月からは、年間10万トン規模の圧入を目標に、海底下約1,000mの地層及び約2,400mの地層に圧入し、このたび、2019年11月22日(金曜日)に、CO2の累計圧入量が目標の30万トンを達成しました。CO2累計圧入量の目標値達成に伴い、CO2の圧入は、11月22日に停止しました。

3.今後の予定

  1. 貯留地点周辺地域における微小振動観測や海洋環境調査、圧入したCO2の挙動(移動、広がり)などのモニタリングなどを引き続き実施します。

  2. 本実証試験において得られた結果や今後の課題について専門家による検証を行い、その成果を公表する予定です。

引き続き、苫小牧市や地元関係者の御理解と御協力を得つつ、事業を進めてまいります。

担当

産業技術環境局 地球環境対策室長 川口
担当者:笛田、小越

電話:03-3501-1511(内線 3524)
03-3501-7830(直通)
03-3501-3560(FAX)