冒頭発言

G20愛知・名古屋外相会合の開催

【茂木外務大臣】私(大臣)のほうから1点,ご報告をしたいと思います。今月22日及び23日,愛知県名古屋市におきまして,私(大臣)はG20外務大臣会合を主催いたします。G20外務大臣会合では,三つのテーマ,一つは「自由貿易の推進とグローバル・ガバナンス」,二つ目に「持続可能な開発目標(SDGs)の実現」,そして三つ目に「アフリカの開発」,この3つをテーマといたします。
 まず,「自由貿易の推進とグローバル・ガバナンス」のセッションにおきましては,喫緊のWTO改革や,「大阪トラック」を踏まえたルール作りの議論をリードすることに加え,日米貿易協定など二国間の取組を紹介したいと思っております。二つ目の「SDGs」のセッションでは,9月のSDGサミットの成果を踏まえ,「誰一人取り残さない社会」の実現に向けた行動を加速する機運を高めたいと思います。最後,三つ目の「アフリカの開発」セッションでは,今年のTICAD7の成果を踏まえつつ,経済,開発,平和・安全保障といった分野についての議論を深めたいと思います。
 日本のG20議長年の締めくくりとして,G20大阪サミットの成果を基に,日本外交のリーダーシップを発揮したいと考えております。
 また,この機会を捉え,名古屋城を始めとする歴史遺産に加え,世界有数の産業集積地であり,また,日本屈指の貿易港を誇る愛知・名古屋の様々な魅力を,世界に向けて発信したい,このように考えております。

G20愛知・名古屋外相会合(各国とのバイ会談)

【NHK 山本記者】今お話のあった外相会合なんですけれども,これに併せて各国とのバイ会談が調整されていると思いますけれども,ロシアですとか韓国といったあたりが注目されると思いますが,今の調整状況を教えてください。

【茂木外務大臣】現時点で20か国の外務大臣が出席する見込みであります。これはG20だけでなくて,何か国かさらに参加をする。こういう中でのことであります。そこの中で今言いました三つのセッションを含めて,全体の会議でかなり,基本的には土曜日になるわけでありますけれども,時間が押しておりますので,バイ会談にとれるスロットは限られておりますが,そこの中でラヴロフ外相はじめ,できるかぎり時間をとって,バイ会談も行ってみたいと思っております。

日韓首脳間のやりとりに関する韓国の写真報道

【中央日報 ユン・ソリョン記者】今日一部報道で,文在寅(ムン・ジェイン)大統領と安倍総理の会話のときに,韓国側から無断で写真撮影をした,礼儀違反だという声が,日本政府の中から上がっているという報道がありましたけれども,日本政府のこういった声に関して,大臣の意見をお聞きできますか。

【茂木外務大臣】韓国側の一つひとつのことについて,政府として説明する立場にありません。大切なことは,韓国がいま国際法に違反している状態,これを一日も早く是正してくれることだと,このように思っております。

文喜相(ムン・ヒサン)韓国国会議長の提案

【聯合ニュース イ・セウォン記者】徴用の問題に関してお伺いしたいのですが,先日,文喜相(ムン・ヒサン)韓国国会議長が日本を訪問したとき,日韓両国企業による自発的な寄付金と両国国民からの募金で,徴用された方々のための基金を作る方法を解決策として提案しました。この提案に対し,日本政府はどういうふうに評価しているか教えてください。

【茂木外務大臣】ご質問は,旧朝鮮半島出身労働者問題についてということでよろしいですか。

【聯合ニュース イ・セウォン記者】日本でそういう表現をされている問題ですね。

【茂木外務大臣】そのご質問でよろしいですか,それとも違いますか。

【聯合ニュース イ・セウォン記者】そうです。

【茂木外務大臣】ご指摘の件につきましては,韓国の国会において模索されているものであると承知をしておりまして,他国の立法府における議論について,日本政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。日本政府としては,韓国政府に対して国際法違反の状態の是正を強く求める立場に変わりありません。まさに,ボールは韓国側,そして韓国政府にあると思っております。

【聯合ニュース イ・セウォン記者】もし韓国政府から,そういうような解決策を提案いただいた場合は,日本政府としてそれが検討の対象になる可能性はあるんですか。

【茂木外務大臣】「その」というのは何でしょうか。

【聯合ニュース イ・セウォン記者】文議長が提案した,そういうような提案です。

【茂木外務大臣】文議長の提案につきましては先ほどお答えしたとおりであります。韓国政府が国際法違反の状態を是正する,こういう案をお示しいただきましたら,当然日本として,それについては拝聴したいと思っております。

日オーストリア友好150周年事業の認定取消し

【共同通信 高尾記者】在オーストリア日本政府大使館が,ウィーンで開催中の芸術展の公認認定を取り消した問題についてお伺いします。大使館が主催者側の申請を受けて芸術展を公認したにもかかわらず,外務省本省が開幕1か月後に公認を撤回しました。この間にどういったやり取りがあったのか,詳しい経緯について教えてください。
 また茂木大臣御自身もたぶん展示内容に関する報告を受けて,公認を撤回すべき案件だとお考えになったのかどうか,大臣のご認識も併せて教えてください。

【茂木外務大臣】在オーストリア大使館では,日オーストリア両国の交流の促進と,オーストリア友好150周年への両国民の幅広い参加を目的として,本周年の機会に両国で行われる文化事業のうち,一定の条件を満たすものに対し,周年事業としての認定を行ってきているところであります。
 ウィーン近代美術館で開催中の本件展示会に対しましては,同周年事業認定に関わる申請が行われた時点での展示内容に関する趣旨説明を踏まえて,周年事業認定を行ったところでありますが,その後,本件展示内容の詳細が判明し,改めて検討した結果,本展示会は日オーストリア両国の相互理解及び友好関係の促進という周年事業の要件を満たすものではないことが明らかになったことから,主催者側に対しまして,周年事業認定の取り消しを通知したところであります。
 今回の決定,これは周年事業の要件を満たすものではない,こういう判断に基づいて行ったものでありまして,展示会の作品の表現の自由に関する評価を行うものではございません。

【共同通信 斎藤記者】今のオーストリアの芸術展について補足してお伺いします。今,大臣からお話がありました,要件を満たさなかった故に認定を取り消したという話でしたが,要件を満たすか満たさないか,どこで判断するかというところがやはり議論を呼ぶのではないかと思います。大臣,率直に,今まで報告を聞かれていて,もし,要件を満たさないとお感じになったのであれば,どこで満たさないとお感じになったのか,今後,同じような趣旨のことが出てくるかもしれません。何を線引きとするか,この辺について大臣のお考えをお示しいただければと思います。

【茂木外務大臣】先ほど申し上げたようにですね,これは日本とオーストリア150周年を迎える中で,両国の相互理解,および友好関係の促進,こういう要件であります。正しい両国の理解につながるのか,そして友好関係の促進につながるのかと,こういう観点であります。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 木原記者】今の質問に更に補足させていただきたいんですけれども,小西洋之衆議院議員が,外務省にこの件に関して説明を10月31日に要求されていると伺っておりまして,議員ご自身のブログで,今回の日本とオーストリアの150年の反日展示会に関する質問をしたというふうに書かれていらっしゃるようなんですけれども,率直に言って,この展示の内容がですね,政権の批判とか,あるいは昭和天皇を風刺する作品とか,そういった様々な,原子力発電に関するテーマの作品とか,そういった内容のものがあるわけなんですけれども,こういうふうな内容に関して,要するに反日的であるというふうに判断されて,それが要件に合致しないというふうに判断されたということでしょうか。その点をお聞きしたいんですけれども。

【茂木外務大臣】全く先ほどのご質問と同じであります。理由につきましては,先ほど申しあげた二つの周年事業の趣旨に合っていないと,そして,これは展示会の作品の表現の自由に関する評価を行うものではありませんということです。

日韓首脳間のやりとりに関する韓国の写真報道

【中央日報 ユン・ソリョン記者】先の話題に戻りたいと思いますけれども,写真撮影に関して,現場で,あるいは,写真が公開されて以降,写真撮影に関して,韓国側に抗議など伝えられたんですか。

【茂木外務大臣】それは聞いておりませんけれども,いずれにしても重要なことは,今,韓国が国際法違反の状態を是正することだと私(大臣)は考えております。

日米貿易協定の国会審議

【NHK 山本記者】日米貿易協定の国会審議についてお伺いしますが,きょう,衆議院外務委員会,審議がありましたけれども,野党側が日米首脳会談の議事録などの資料を求め,それが示されていないということに反発して委員会を退席をしました。今も恐らく,与野党協議,続いているのかと思いますが,資料提出ということについて,政府側の見解をお願いいたします。

【茂木外務大臣】日米貿易協定,そして日米デジタル貿易協定の審議にあたりましては,できる限り誠実に,そしてまた丁寧に国会対応を行っているつもりであります。その上で,委員会の運営,そして資料等につきましては,まさに理事会において話し合って決めていただくことだと。理事会におきまして,決められたことにつきましては,できる限りの対応を政府としても行なっていきたいと思っております。

香港情勢

【時事通信 丸橋記者】香港情勢についてお聞きします。今日,デモ参加者と見られる男性がですね,亡くなるという事態が起きまして,ちょっと情勢が悪化していると思うんですが,この件に関して,茂木外相として,どのようにご覧になっているかということと,中国政府なり香港政府に対してですね,何らかの申し入れなり,何らかを行なったりしたことはあるのかということについて,確認します。

【茂木外務大臣】抗議活動に参加していたと見られる学生が亡くなったと報じられていることは承知をいたしております。情勢を注視していきたいと考えております。昨今の,香港情勢をめぐる情勢について,大変憂慮しているところでありまして,自制と平和的な話し合いを通じた解決を関係者に求めるとともに,事態が早期に収拾され,香港の安定が保たれることを強く期待しております。
 日本政府としてもですね,先般の日中首脳会談においても,安倍総理から香港情勢を大変憂慮しており,関係者には自制と対話による平和的解決を求めたい旨を申し入れておりまして,一国二制度の下での自由で開かれた香港の繁栄が重要であるということを伝えたところであります。その上で申し上げると平和的解決を求めていく,自制と平和的な話し合いによって事態が収拾していく,私(大臣)がこの場でこれ以上のことを言うのは,こういう立場から,プラスにはならないと思っております。

文喜相韓国国会議長の提案

【NHK 高野記者】日韓関係に戻るんですけれども,文議長の提案についての言及は直接できないということで,韓国政府が同様の提案をしたら,という質問が先ほどあったかと思うんですが,この点について,慰謝料の支払いを自主的に日韓両国の企業と個人から募ると,これは先ほど言われた,韓国政府が国際法違反の状態を是正するということと整合的なんでしょうか。自主的であれば,日本側がお金を出すということは国際法違反の状態とは整合的なのか,そうでないのか,その点についてお伺いします。

【茂木外務大臣】仮定の質問にはなかなかお答えしにくい部分がありまして,具体的な提案が出てきた段階で,それについては判断をさせていただくということですが,いずれにしても,国際法違反の状態を是正するような提案,これがありましたら,十分耳は傾けたいと思っております。

日露関係(森外務審議官の訪露)

【NHK 渡辺記者】日露関係をお伺いしたいんですけれども,6日の日にモスクワで次官級協議がございました。この次官級協議に対する評価と,それに基づく今後の共同経済活動,それから大臣自らの交渉担当者でもありますが,平和条約交渉,これに基づいてどうやって進めていきたいと考えていらっしゃるか,その辺をお願いします。

【茂木外務大臣】6日に森外務審議官がモスクワにおきまして,日露の関係省庁と出席の下,モルグロフ外務次官との間で,北方四島における共同経済活動を中心に協議を行なったところであります。特に共同経済活動のパイロットプロジェクトについて,実施状況を総括して,日露双方,ともに高く評価をしたと。また,今後の方向性について具体的な議論を行い,引き続き,着実に取組を進めていく重要性を確認したと,こういう報告を受けております。元島民の方々のための人道的措置や,今後の政治日程等についても併せて議論をし,全体として有意義な協議となったと聞いております。
 冒頭申し上げましたがG20外相会合,今月行われるわけでありまして,その際にラヴロフ外相との会談を調整したいと思っております。また,訪露を招請されておりますので,諸般の情勢が許せば,年内にもモスクワを訪問したいと考えております。