北朝鮮による弾道ミサイルの発射

【共同通信 高尾記者】昨日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射についてお伺いします。安倍首相は,北朝鮮が弾道ミサイルと判断されるものを発射したとした上で,地域の平和と安全を脅かすものであり,強く非難すると述べて,米国や韓国と緊密に連携する考えを改めて表明しております。今回の件を受けて,日米の首脳間で電話会談を行う必要性はあるとお考えでしょうか。また,茂木大臣としてポンペオ国務長官と近く電話会談はあるかどうか,大臣のご意向を教えてください。加えて,日米の局長レベルでの電話協議について,もし行ったという事実があれば,その事実関係も教えていたければと思います。

【茂木外務大臣】昨日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射,これは関連する安保理決議に違反するものであり,きわめて遺憾だと思っています。北朝鮮に対しては北京の大使館ルートを通じて,直ちに厳重に抗議し,強く非難いたしました。外務省としては,発射直後から米国及び韓国等々と連絡を取り,緊密な連携を確認して情報の収集分析に全力を挙げているところです。
 北朝鮮が今後どういう行動に出るか。今回の発射の情報を分析,これを行った上で,どういうレベルで米国と話をしていくか,判断することになってくると思います。現時点では決まっておりません。

【共同通信 斎藤記者】今の北朝鮮の関連になりますが,ご案内のとおりトランプ大統領は北朝鮮の短距離弾道ミサイルについて問題視しないという考え方を累次にわたり表明しています。日本として,いかなる弾道ミサイルにも深刻な脅威に当たるという立場を,トランプ大統領と速やかに共有する必要性があるのかどうか,その点について,大臣,どう考えているか,ご認識をお伺いします。

【茂木外務大臣】累次の首脳会談,例えば6月の大阪サミットにおきましても,短距離弾道ミサイルを含めあらゆる弾道ミサイル,これは安保理決議違反である,このことは明確に総理からトランプ大統領に対して説明をし,理解を得ているところであります。私(大臣)もポンペオ国務長官と先日も電話会談を行いましたが,ここでも短距離も含めあらゆる弾道のミサイルは,関連する国連安保理決議違反である,こういうことについて認識を一致させているところです。

日露関係(APECの中止)

【NHK 渡辺記者】日露関係でお伺いしたいと思います。チリのAPECが中止になったことで,日露首脳会談はなくなったと思うんですけれども,前回のニューヨークでの日露外相会談で,ロシア側から茂木さんの訪露の話があったと思うんですが,首脳会談がなくなった状況においての,次の外相会談はどういった位置づけとして捉えていらっしゃるのか,その影響はあるのかどうか,ということがまず1点です。
 それと,今行われている観光ツアー,試験的なツアーですが,択捉島の滞在の日程を切り上げて現在戻ってきているということなんですけれども,途中ではありますけれども択捉島に上陸。

【茂木外務大臣】ごめんなさい,長いので,1問1問切ってご質問いただいて。

【NHK 渡辺記者】分かりました。まず最初の,首脳会談がなくなったあとでの外相会談は,どういった展開で行われるのかお願いします。

【茂木外務大臣】まずはチリのAPECの首脳会談の中止,これについてはきわめて残念であると考えております。議長国として,チリが現在の国内情勢を踏まえて慎重に検討した結果であると受け止めているところですが,9月の国連総会の際の日露外相会談におきまして,今月の名古屋でのG20外相会合の際に,ラヴロフ外相が訪日するというお話があったところであります。更にラヴロフ外相から訪露を招待されておりまして,諸般の情勢が許せば,年内にもモスクワを訪問したいと考えておりまして,これらの予定に変更はございません。

【NHK 渡辺記者】その上でなんですが,途中ではありますけれども,択捉島の日程を短くしたということで,現時点で。

【茂木外務大臣】ごめんなさい,なんですか。

【NHK 渡辺記者】択捉島への滞在の日程。

【茂木外務大臣】ああ,次の質問ね。

【NHK 渡辺記者】はい。観光ツアー。

【茂木外務大臣】もう1回最初からやってもらえますか。

北方四島における共同経済活動(観光パイロットツアー)

【NHK 渡辺記者】はい。観光ツアー,今行われておりまして,択捉島の滞在日程が短くなりましたけれども,それについてどういうふうに見ていらっしゃるのかということと,今後総括すると思いますが,更にこの日露の関係で共同経済活動,今回,択捉島に上陸したという実績はありますけれども,その実績を踏まえて,これからどういうふうに発展させていきたいのかということを。

【茂木外務大臣】この観光パイロットツアー,これはゴミ処理のプロジェクトと併せて先行して行っているものでして,この結果をしっかりと分析して今後につなげていきたいと思っておりますが,択捉島の滞在,短時間で終わりましたことは,単純に天候,かなり悪天候であったということで,港に着いて主だった施設というか場所を視察して終わるということになったということでありまして,これは天候の影響だけによるものだと,このように考えています。

日本産食品の輸入規制

【読売新聞 阿部記者】日本産食品の輸入規制の問題についてお伺いします。東京電力福島第一原発事故に伴う日本産食品の輸入規制ですけれども,規制の緩和や撤廃がEU,ブルネイ,マカオと相次いでいます。日本産食品への理解が広がっていると思いますけれども,この動きについてどう分析されているかということと,また中国ですとか韓国,引き続き規制を続けている国に対して,どのように働きかけていくかお願いします。

【茂木外務大臣】日本産食品に対する規制の完全撤廃であったりとか,一部緩和が進んできております。しかし,まだ道半ばだと考えておりまして,更にまだ規制が残っている国,これに対しては正しい情報発信を行い,また,やりとりを通じて,規制の撤廃,緩和につながるようにしていきたいと思っております。風評被害,これは農家の皆さんであったり,様々な産物を作っている皆さんにとり,大きな痛手だと思っておりまして,こういったものを払拭していく。日本の食品は安全であると,こういったことを更に強く,しっかりと訴えていきたいと思います。

ローマ法王の訪日

【朝日新聞 楢崎記者】今月のローマ法王の来日について伺います。法王が元首を務められるバチカンは,核廃絶に積極的な姿勢を示しているんですけれども,核兵器禁止条約についてもいち早く署名しています。日本は条約については,北朝鮮の脅威などを理由に距離を置いていますけれども,核兵器廃絶へのアプローチの仕方など,今回の法王の訪日で懸念されることというのはありますか。

【茂木外務大臣】大きな懸念を持っているということではなくて,まず,ローマ法王フランシスコ台下の訪日,東京・長崎・広島を訪問する,この意義は非常に大きいと思っておりまます。国際平和を希求するローマ法王が被爆地である長崎,そして広島を訪問する,国際社会に被爆の実相に関する正確な発信を行う上で,重要なことだと,こんなふうに思っているところであります。
 そして,今回の法王の訪日を機にして,日本とバチカン双方が更に理解を深め,二国間関係を一層強化する,こういったことも期待をしたいと思っております。その上で,唯一の戦争被爆国として,核兵器の非人道性を知る我が国は,核兵器のない世界の実現に向けた,国際社会の取組をリードしていく使命を有している。これは我が国の確固たる方針であります。
 核兵器禁止条約が目指す核廃絶,このゴールについては,我が国も共有しております。しかし,その一方で,同条約は現実の安全保障の観点を十分に踏まえることなく作成された,そういう部分もあるため,核兵器国のみならず,核の脅威にさらされている非核兵器国からも,なかなか支持を得られていない。これが現実の姿だと,そのように思っておりまして,現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら,地道に現実的に,核軍縮を前進させる道筋を追求をしていく必要があると考えております。いずれにしても今回のローマ法王の訪日,これは非常に意義深いものだと思っております。

日韓・韓日議連総会

【テレビ朝日 大石記者】日韓関係についてお伺いします。きょう,都内で日韓・韓日議連総会が開催されていますが,日韓関係になかなか改善の兆しが見えない中で,議員外交に期待される役割などありましたら教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】きのう額賀会長から,日韓議連の会長から,きょう開催されるというお話を聞きました。率直な意見交換が行われるということは非常に良いことだと思っております。日本として主張すべきことはきちんと主張してほしい,このようにお話をしてあります。

中国での邦人の拘束事案

【NHK 高島記者】中国での邦人の拘束事案についてお伺いしますが,9月の事案について,現状,何か進展などございましたら教えていただけないでしょうか。それと日本政府の今後の対応について,改めてですが教えてください。

【茂木外務大臣】海外での邦人の安全の確保であったりとか,邦人が自由に渡航し,また自由に帰国できる,こういった環境を整備するというのは極めて重要な仕事であると考えております。中国での拘束事案につきましては,強い懸念を持ち,中国政府にも働きかけを行い,また,この問題,ご家族の皆さんも非常に心配をされているということであり,様々な形でご家族との間をつなぐ,こういった努力も含めて,現在,取り組んでいるところであります。

菅原経産大臣,河井法務大臣の辞任

【朝日新聞 楢崎記者】河井法務大臣が辞任されましたけれども,1週間で経産大臣とともに二人の大臣が辞任する結果となったことについての受け止めと,安倍政権に与える影響についてはどのようにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】更に緊張感を持って国会に臨んでいきたい,そのように考えております。それぞれの大臣,ご自身の出処進退,これは何度も申し上げているように,政治家本人が決めることでありますし,また,疑惑について説明することについても,本人がしっかりと説明する必要があると,こんなふうに考えております。