日韓関係(旧朝鮮半島出身労働者問題(経済基金案の検討))

【NHK 山本記者】日韓関係について2点お伺いいたします。1点目に日本企業に賠償を命じた韓国の大法院の判決から明日で1年となります。
 日韓関係,この1年で悪化の一途をたどってきたと思いますが,改めて現状認識をお願いしたいのと,一部報道で徴用をめぐる問題の合意案の検討に着手したと報じられています。経済協力名目の基金を創設して日本企業も参加すると言われています。事実関係の方もお願いいたします。

【茂木外務大臣】まず,後者の報道についてですけどもそういった事実はございません。
 その上でこの一年の動きについて,これまでも累次に亘って述べているとおりですね,
 日韓両政府間で,外務大臣同士をはじめ,外交当局間の意思の疎通を継続していく,こういった方針を確認してきておりまして,その考えには変わりはありません。
 未来志向の日韓関係を築いていくべき,とこれが両国間の共通認識であることを踏まえ,そのためにも韓国側に国際法違反の状態これもこれを一刻も早く是正するよう強く求めていくところであります。

北方四島における共同経済活動(観光パイロットツアーの実施)

【NHK 渡辺記者】日露関係でお伺いしたいのですけども,本日予定通り行けばですね,午後から北方領土への観光ツアーの試験的なツアーが根室から出発いたしますけども,それについての大臣の受け止め,それから今回は試験的なツアーと言うことで従来のビザなし交流の枠組みを使って行いますが,今後本格的に共同経済活動を進めて行くに当たってはですね,両国が受け入れられるそういった新たな枠組みを作るということになりますけども,枠組みを作るに当たっての大臣の意気込みですね。今後,どのような交渉を進めて行きたいのかその辺をお願いいたします。

【茂木外務大臣】実際のパイロットプロジェクトは明日からということになるわけですけども,今回はパイロットプロジェクト,これは日露首脳間で合意をしました共同経済活動のプロジェクトの広報の一つである島特性に応じたツアーの開発について試験的にプロジェクトをスタートさせるものであります。共同経済活動の実現に向けた取組を通じてですね,北方領土問題の解決,そして平和条約の締結につなげていくとの考えのもと,ロシアとの間で共同経済活動に関する協議を進めるとともにですね,共同経済活動のパイロットプロジェクト,これを実習してきておりまして,今回のツアーこれはその一つであります。今回のツアーが終わったあとですね,参加者の皆さんからも忌憚のないご意見等をいただいて,またこのパイロットプロジェクトがどう実施されたかそういったこともレビューしながら課題を洗い出してですね,今後の本格的な事業の実施につなげていきたいと思っております。引き続き2016年12月のですね,首脳間の合意を着実に進展させ,領土問題を解決して平和条約を締結すべく,プロジェクトの更なる具体化に向けた取組を前に進めていきたい,そのように思っております。

日韓関係(旧朝鮮半島出身労働者問題(経済基金案の検討))

【日経新聞 加藤記者】先ほど,日韓の関係で,経済協力名目の基金,そういった事実はないとおっしゃいましたけれども,今後,いろんな協議が進められると思いますけれども,日本企業が経済協力という名目にしても,追加的な負担がされることはないというふうに理解してよろしいでしょうか。

【茂木外務大臣】仮定の問題にですね,確として答えるのは難しい部分がありますが,いずれにしても,今ですね,韓国側が国際法違反の状態を一刻も早く是正することが必要だと思っておりまして,そのために,どういった対応を採るのか,今後の韓国側の姿勢と,こういったものも注視をしたいと思っております。

日韓関係(今後の対話の可能性)

【朝日新聞 太田記者】繰り返しになってしまうんですけれども,日韓関係について,今,大臣も国際法違反の是正を求めるという発言を繰り返し,おっしゃっているんですけれども,先日の安倍首相と李洛淵(イ・ナギョン)首相との会談でも総理の方から国際法違反の是正というのを繰り返し求めていらっしゃいますが,改めて,お聞きしますが,現状はボールは韓国にあるという,ご認識でよろしいでしょうか。

【茂木外務大臣】イエス。

【朝日新聞 太田記者】関連でもう一点,お伺いします。日本企業の資産が仮に現金化された場合なんですけれども,取り得る対抗措置について,現状,どのようにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】仮に現金化されるというのではなくて,現金化されることはあってはならないと考えております。そして,そのようなことが起きた場合は,日韓関係は更に深刻な状態になる。このことにつきましては康京和(カン・ギョンファ)長官にも明確に私(大臣)の方から伝えてあります。

密約問題に関する情報公開への外務省の対応

【朝日新聞 藤田記者】外務省の情報公開についてお伺いします。最近ですね,2017年に弊社とか,他のジャーナリストがした日米関係の文書開示請求に関してですね,外務省が2010年から公開をずっと続けているものと同じ内容の文書を不開示にしてしまったということが2件が確認されいて,弊社として報じたところです。大臣としてはこうした問題を背景も含めて,どういうふうに捉えて,今後,再発防止のために,どういう対応が必要とお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】2017年の情報公開請求については外務省としては慎重に検討を行い,当時,限られた時間と人員の下で開示決定を行ったところであります。情報公開法等の法制度上,個別の開示請求については,それぞれ開示請求が出る度にですね,個別に審査を行い,開示決定を行っておりますが,ご指摘のありました2件については同一内容の文書が,既に開示をされておりまして,そういった意味で一部,一貫性を欠ける対応が行われていたと,このような報告を受けているところであります。外務省としては今回の件も踏まえ,情報公開法等関連法令に則り,今後しっかりと対応していきたいと思っております。外務省として,今年の4月1日にですね,公文書管理及び情報公開等所掌する審議官級の公文書監理官を新設をし,また,それを補佐する公文書監理室を設置をいたしました。このような取組を踏まえてですね,実効性のあるチェック機能を確保していきたいと考えております。

【朝日新聞 藤田記者】この件は,茂木大臣がご就任の前の話ではあるんですが,不開示の決定は大臣の名前の文書でされています。大臣にお伺いしたいのは,今,外務省に対して開示請求をされた時にですね,大臣名でされる決定というのが,ちゃんと,外務省として過去に公開した情報を組織として共有した上で,不開示範囲を不当に広げるような内容になってないと,今,自信を持って言い切ることはできますでしょうか。

【茂木外務大臣】先ほど申し上げたようにですね,個別の開示請求については,それぞれ個別に審査をする,こういう形であります。もう決まっているものについてAIかなんかで処理をして完全にそうするというよりも,個別それぞれに出てくるものが違うわけでありますから,個別に審査をするということにならざるを得ないのだと思います。その上で,情報公開請求についての対応にあたっては外交記録公開や過去の開示決定を通じて,既に,開示している文書,これは開示することとしておりますので,それを徹底していきたいと思います。

緒方貞子元国連難民高等弁務官の訃報

【テレビ朝日 大石記者】話題変わりまして,国連難民高等弁務官としてご活躍された緒方貞子さんが亡くなったとの一部報道が出ていますが,外務省として把握されていましたらば教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】現時点で,事実確認をしておりません。

北朝鮮関連(北朝鮮によるミサイル発射)

【共同通信 高尾記者】北朝鮮によるミサイルへの対応と日米間の連携について,お伺いします。先週23日の衆議院外務委員会で,茂木大臣は「北朝鮮による短距離弾道ミサイルを問題視しないとしたアメリカのトランプ大統領の発言について,米朝首脳間の信頼関係に関わるやりとりの中で行われたと理解している」と述べられました。一方,北朝鮮のいかなる弾道ミサイルも国連安全保障理事会の決議に違反するという立場を日米の外交当局間で累次に亘って確認しています。トランプ大統領の発言と安保理決議は一見すると相反するようにも思われるんですが,大臣としてご見解をお伺いしたいのが一点あります。合わせて,北朝鮮の短距離弾道ミサイルは今も米朝間の交渉のテーブルに乗っているのか,大臣の認識も合わせて,お伺いしたいと思います。

【茂木外務大臣】前者については国会答弁をさせていただいたとおりであります。その上で,あらゆる射程の弾道ミサイルが安保理決議違反であることは明確でありまして,こうした立場につきましては先般のG7の際に行いました日米首脳会談や日米外相での電話会談など,累次の機会に確認をしてきております。引き続き,米国と緊密に連携し,安保理決議の完全な履行と,これを求めていきたいと思います。