2019年10月25日(金曜日)
18時11分~18時29分
於:記者会見室
 

冒頭発言

就任の抱負

皆様こんばんは。

本日、経済産業大臣を拝命を致しました梶山弘志でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

冒頭、私から1点申し上げます。
先般の台風15号、19号でお亡くなりになられた皆様に哀悼の意を表しますとともに、被災をされて不自由な生活を強いられている被災者の皆様にも、心よりお見舞いを申し上げる次第であります。
今朝方、安倍総理から、経済産業大臣、産業競争力担当大臣、国際博覧会担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、内閣府特命担当大臣、この特命は原子力損害賠償・廃炉等支援機構、を拝命を致しました。
国会での委員会審議が本格化する中、国会審議に支障を来してはならない。また、経済産業行政も課題が山積している状況にあり、一刻の遅滞も停滞も許されない。経済産業大臣を拝命をし、身の引き締まる思いでございます。
総理からは、東京電力福島原発の事故対応や福島の再生、日本経済を成長に導く経済政策の実施、RCEPの妥結など戦略的な通商政策の実施、災害の経験も踏まえた責任あるエネルギー政策の実行などについての指示がございました。
足元では、台風19号の被害を受けた被災地や中小企業へのきめ細かな支援を着実に実施することが求められております。
経済産業大臣として、総理からの指示に基づいて、足元の緊急の課題への対応を始めとして、職責を果たしてまいりたいと考えております。

私からは以上です。

質疑応答

就任の抱負

Q: これからよろしくお願いします。
梶山大臣は、今回、突然の経産大臣御起用、御就任となりましたが、経産省というのは非常に幅広い分野を所管しています。大臣として、まず優先的に取り組むべき政策課題は何とお考えでしょうか。

A: どの分野も大切だと思っております。通商、そして産業、エネルギー、そして現在の災害対応等、大変幅広くて、それぞれの分野において多くの課題に直面をしているし、関連もしていると考えております。冒頭申し上げましたとおり、こうした状況にあっては、一刻の停滞も許されません。それぞれの課題について全力で取り組んでまいりたいと思っております。

まずは、一連の台風で、私のところも被災地でありますけれども、被害を受けた被災地の生活支援や中小企業の早期の事業再開は、待ったなしの課題であります。被災地域の復旧・復興に向けて、できることは全てやるという方針の下に、今パッケージを組んでいるところであります。

そのほかの政策課題についても、時宜を逸することなく、しっかりと全てに取り組んでまいりたいと思っております。

関西電力幹部の金品受領

Q: よろしくお願いします。
関西電力の幹部の金品受領問題についてお伺いします。経産省は9月27日、関電に対して電気事業法に基づく報告徴収を求めておりまして、前大臣は関電の第三者委員会の報告後に厳正に処するということを述べられております。この問題に対する梶山新大臣のお考え、今後の対処の方針を伺えますでしょうか。 A: この問題については、前大臣の同様の考えであります。

電気事業という公益事業を担い、そして社会からの信頼関係の上に事業を行うべき電力会社の役職員が、長年にわたって不透明な形で金品を受領していたということは、大変大きな問題でありまして、公益事業をする者にとって、やはり信頼というものが崩れてきていると考えております。

このため、経済産業省としましては、本件について報道があった9月27日のうちに、電気事業法上の報告徴収命令を発出したところであります。これは、虚偽の報告には罰則が掛かる厳しいものでもあります。

まずは第三者委員会において、徹底的な事実関係の調査と原因究明を進めることが不可欠であり、関西電力からの報告を踏まえて厳正に対処をしてまいりたいと思っております。

これまでの、冒頭申しましたように、方針に変わりはないということでありますが、第三者委員会につきましては、日弁連の企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインで保障される第三者委員会の独立性と強い権限、権能を持っておりまして、そうしたしっかりした第三者委員会の下に調査を進めていただき、その上で、こちらがまたしっかりと検討していくということになろうかと思います。

政治と金の問題

Q: 前の大臣が、いわゆる政治と金の問題で大臣を辞任することになりました。そのことについての大臣の御所感と、同じような事務所をめぐる金の問題というのが新大臣の下であるかどうかについてもお願いいたします。

A: これは政治家自らが襟を正していかなければならない課題だと思っております。日々、政治活動をする中で、公職選挙法を始めとする関係法令、しっかりと理解、遵守をした上で私は活動しておるつもりであります。

RCEP交渉

Q: 今、冒頭発言もありましたが、RCEPについて、実際、間もなく閣僚会合が開かれる予定で、実際に出席できるのかどうかは、また国会日程等あるかもしれませんけれども、この通商交渉に対して大臣として、どういうふうに臨んでいきたいか、お考えをお聞かせください。

A: 今日、総理からお話しいただいたときにも、RCEPは大詰めの段階に来ていると、しっかりやってほしいというお話がありました。
RCEPにつきましては、昨年11月の首脳会談で、2019年内に、今年中にということですけれども、妥結する決意が示されたところでもありまして、現在16カ国が精力的に交渉に取り組んでいるところでもあります。
12日に行われました閣僚会合では、交渉に相当の進展があったことを確認をし、残された論点は絞られてきていると、交渉は最終局面に来ているという考えでおります。
RCEPの妥結は、交渉参加16カ国で、世界人口の5割、貿易額の3割、国内総生産の3割を占める広域経済圏を創設するだけでなくて、自由で開かれたインド太平洋の実現のためにも大きな意味があるものと考えております。
年内妥結を目指して大詰めの交渉をリードできるよう、残された論点の各国との調整など積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
会議への参加につきましては、また国会の日程との兼ね合いということで、今のところまだ未定であります。

韓国向け輸出管理措置

Q: 韓国の半導体材料をめぐる輸出管理の件なんですけれども、既にWTOの協議に進展していますが、これに対して安全保障貿易管理を所管する大臣として、どのように臨まれるお考えなのかお聞かせください。

A: これも従来までの考え方と同じでありますけれども、日本を含めた各国は、輸出した貨物や関連技術が軍事利用されるといった安全保障上の問題が生じないように、国際合意に基づいて輸出管理を適切に行う必要があります。今回の運用見直しもその一環ということであります。そして実施したものであり、引き続き粛々と実施をしていくということでありますが、一方、今おっしゃったように、WTOの協定違反との提訴をしているわけでありますけれども、この指摘は全く当たりませんでして、WTO協定とも整合的であると日本の立場をしっかり主張していくということでありまして、WTOに関しましては、このWTOの席上で、テーブルにおいて、しっかり事務方、事務局がやりとりをしていくということになろうかと思います。

原子力政策

Q: 原発政策についてなんですが、関電幹部の金品受領問題が発覚して、原発政策には国民の厳しい目が現在向けられていると思います。大臣の地元の茨城県にも東海第二原発がございますけれども、地元である茨城4区の首長でも再稼働に反対されておられる方がいらっしゃるようですが、今後、原発政策についてどのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか。

A: まず関電の問題ですけれども、電気事業という公益事業を担って、社会から信頼関係の上に事業を行うべき電力会社の役員が、先ほど申しましたように、長年にわたって不透明な形で金品の受領をしていたことは、大変大きな問題であると思いますし、しっかりと第三者委員会で調査をしていただきたいと思っております。
そして、第三者委員会において徹底的な事実関係の調査と原因究明を進めることが不可欠でありまして、関西電力からの報告を踏まえて、先ほど、報告徴収を出しているわけですけれども、それを踏まえて厳正に対処をしてまいりたいと思っております。
一方で、省エネ、再エネの導入を最大限進めて、原発依存率はできるだけ減らしていくという政府の方針に変わりはありません。それぞれ再エネでも、やはり障害になるものがある、それをどう克服していくか、また技術的な開発も必要になるものもある、そういったものもやれることは全てやっていくという中で、どうこのベストミックスを作っていくかということは、真剣に考えていかなければならないと思っております。
今の原発の再稼働につきましては、個別のことではなくて一般論で申し上げますと、高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的・技術的に審査をして、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めたもののみ、その判断を尊重した上で、地元の理解を得ながら進めていくものであると思っております。

東海第二原発の再稼働及び日本原電への資金支援

Q: 改めて、すみません、大臣の地元の東海第二原発の再稼働について、大臣御自身はどう考えていらっしゃるのかと、もう一点、国費投入されている東京電力さんが、日本原子力発電への資金支援の意向を示していますけれども、それについてどうお考えになっていらっしゃるでしょうか。

A: これは2011年の3.11以降、やはり考え方に大きな変化が皆さん現れていると思います。私自身も、やはり以前とは原子力発電に対する考え方も、また災害に対する考え方も変わってきております。
そういった中で、原子力規制委員会ができたわけでありますけれども、そこの規制を、その判断を尊重しながら、そして、また地元の理解を頂いてくというか、地元の理解をもらっていくということも大変大きな作業であると思っております。その2つを重ねた上で判断をしていくということになると思います。
私自身の考え方は、今日はコメントは差し控えさせていただきます。

Q: 東電が資金支援することに関してはどうですか。

A: 東電が原電への資金支援ということですか。

Q: はい。

A: それはまた、今はっきりしているんでしたっけ、これは。

Q: 意向は示しております。

A: 意向は示していますね。それで、東京電力、東北電力、ほかの電力と合わせて3,000億以上のお金の資金、支援の要請をしているということですよね。これについては、また、それは決まったときにお話をさせていただきます。

就任の抱負

Q: 大臣、基本的な抱負の質問に関するんですけれども、総理から今朝就任の要請があったと思うんですけれども、そのときの率直な大臣の感想といいますか、思った気持ちについて。そして、実際、菅原前大臣の政治と金の問題で、国会が一種空転したような形になって、政策審議も少し遅れている形になっているんですけれども、ここからそれを挽回するために大臣のお力としてどのように臨んでいきたいか、そのあたりの抱負について教えてください。

A: まず、連絡を頂いたときには、驚きということでありました。急な話でありましたので、驚きであります。
そして、菅原前大臣がお辞めになって、その後任として経産大臣を引き受けてほしいというお話がありました。経済産業行政は、私もある程度知っているつもりでおりますけれども、非常に幅広い分野の行政であります。そして今、お話がありましたように、国会が始まっているということで、審議の停滞は許されない。これは、ものの例えとして妥当かどうか分かりませんけれども、もうスピードを出している急行列車に飛び乗ったような気持ちでありまして、しっかりそのスピードに慣れながら、今やっていくべきものをしっかりこなしてまいりたいと思っております。

Q: 来週から審議が本格化するわけですけれども、野党も菅原前大臣について、いろいろと批判の声も高まっています。その中で、どうやって審議を順調に進めていくか、そのあたりの自信のほどはいかがでしょうか。

A: いやいや、それはまずは国会対策の方でやっていただくということで、審議の日程は、それで決まるということですから、それに基づいて、私は役割を果たしていくということになろうかと思います。

福島第一原発のALPS処理水

Q: 東京電力の福島第一原発の事故対応の関係でお伺いします。福島第一原発の敷地内にタンクで溜め続けている処理水の扱いについてなんですが、大臣の御地元の茨城県の漁業関係者も含めて大変行方を注視していると思うんですが、今後どう取り組まれますか。

A: ALPSですね、ALPSで浄化処理しました水の扱いについては、地元の関係者の御意見もお聞きしながら、あらゆる選択肢について、国のALPS小委員会で総合的に議論をしているところであります。
スケジュールありきではなくて、まずは小委員会において必要な議論を尽くすことが重要と考えております。
先ほど申しましたように、3.11の東日本大震災、そして福島の事故ということで、私も隣県であります。そして、海はつながっております。風評被害というのは大変大きなものでありましたし、その関係者は大変悲痛な思いをしておりました。そういった思いも十分に承知をしているつもりであります。
そういった中で、今、全ての可能性を排除せずに、選択肢を排除せずに、国のALPS小委員会で総合的に議論をしている、そして、それらをしっかりと、また伝えていくということ、実行していくということになろうかと思います。

Q: 大臣御自身として、海洋放出に対して何かお考えになっていることというのはあるのですか。

A: いや、これは私自身の意見は今ございません。このALPSの小委員会で議論をされていることに耳を傾けるということと、それらが本当に納得できるものかどうかということも含めて、私自身もそこから考えてまいりたいと思っております。
今も風評被害というのは、いろいろあるわけですね。海外の例を引くまでもなく、海外ではなかなか、日本全体がそういう目で見られているところもある。また、国内においても、福島、そして茨城、隣県も含めて、いろんな意味で風評被害、そして産出物が買われないような状況、そして、そういうことで事業が縮小していくような状況というのも私も見ておりますから、それらも含めてどうしていくかということは、これから考えてまいりたいと思っております。

原発新増設

Q: 原発政策についてお伺いします。原発がかなり老朽化が進んできておりまして、新増設、あるいはリプレースに対する大臣のお考えをお聞かせください。

A: 新増設、リプレースに関しては、今の時点では考えていないということだと思います。国の方針と同じであります。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

以上

最終更新日:2019年10月25日