日米貿易協定(自動車の関税撤廃)

【NHK 山本記者】今日,閣議決定された日米貿易協定の承認案について伺いますが,すでに予算委員会等で議論にはなっていますが,改めて国会論争にどう臨むのかということと,予算委員会等で野党側からは自動車の関税撤廃について,政府の説明とは違って,将来的な撤廃というのが約束されていないのではないかという指摘が出ていますけれども,大臣,ご答弁で答えられていると思いますが,改めて見解をお願いいたします。
 
【茂木外務大臣】今日,ご指摘の日米貿易協定と併せて日米デジタル貿易協定につきまして,国会に提出する前の閣議決定を行ったところでありまして,これから国会でご審議をいただいた上で,1日も早い発効を目指していきたいと,このように思っております。
 国会につきましては,今回の両協定,内容について丁寧に説明をしていきたいと思っております。協定の内容,日米双方にとってウィン・ウィンであり,更にはバランスの取れた内容になっている,こんなふうに考えておりまして,ご案内のとおり,農業分野につきましては,昨年9月26日の日米共同声明に沿って,過去の経済連携協定で譲許した内容が最大限である,この範囲内に全て収まっておりますし,更にはこういった通商交渉で常に問題となってきましたコメにつきましては,調整品も含めて全て完全除外という形であります。更には林産品,水産品,そしてTPPワイドの33品目,これにつきましてもまったく譲許しないという形をとっているところであります。
 一方,米国にとりましては,TPP11,そして日EU・EPA,これが発効する中で他国に劣後している,こういった状況が早期に改善される,こういう効果が期待できるわけであります。
 また工業品の分野におきましては,我が国として産業界の関心が高い,そして貿易量も多い,こういった品目を中心にしまして,早期の関税撤廃そして削減,こういうものが実現できているわけでありまして,自動車については,内容はこのあと説明いたしますが,まずは懸念をされておりました232,この追加関税,課されないということは,首脳会談において明確に確認いたしておりますし,またUSMCA,さらには新KORUS等によって盛り込まれました数量規制,こういった貿易を歪曲するような措置,これも取らないということをライトハイザー通商代表との間で明確に確認をしているところであります。
 そして今回,日米それぞれの自由化率といいますか,米国側が約92%,そして日本側が84%という形であります。この中で自動車・自動車部品につきましては,協定の5条の1項を見ていただきますと,いわゆる付属表の1および付属表の2にしたがって市場アクセスを改善する,こういったことが書いてあります。
 そして米国側のほうの付属表,これをご覧いただきますと,そこに更なる協議による関税撤廃,こういったことが書いてあるわけでありまして,つまり5条の1に書いてあります,具体的にではどうしていくのかという市場アクセスの改善,この内容というのが今度は付属表のほうに書かれている。そしてその付属表には,改善の仕方として関税撤廃について追加協議という形で書いてあるわけですから,これは関税撤廃を前提として,ではその時期がいつになるのかとか,それにともなう原産地規則はどうなるのか,こういった協議を行うということで,当然これは自由化される,こういう品目に入る,こういう理解であります。

【NHK 山本記者】大臣,確認なんですけれども,協定の5条の1とその付属表の更なる関税撤廃というのを併せ読むと,将来的な関税撤廃は前提となっているという理解でしょうか。
 
【茂木外務大臣】協定全体で正確に申し上げるとそういう理解で結構であります。そしてその読み方というか,英語で書いてあるわけですから,with respect toのあとにeliminationという言葉が出てくるわけでありまして,つまり撤廃についてwith respect to,撤廃についてさらにfurther negotiation,こういったことに,英語としてもそういうふうに読めるんだと思いますし,それから協定そのものの構造として,市場アクセスを改善するということが,協定の中,5条の1にある中で,付属表でそのやり方,具体的なやり方としてそのようなことが書いてあるということですから,これは関税撤廃を前提としたものである,このように解釈できると考えております。

靖国神社,秋季例大祭

【共同通信 高尾記者】今週17日から20日にかけて,靖国神社で,秋季例大祭というものが行われますが。
 
【茂木外務大臣】行きません。
 
【共同通信 高尾記者】行かないと。分かりました。

北朝鮮の漁船沈没で日本からの抗議,EEZの境界確定問題

【共同通信 斎藤記者】北朝鮮の漁船沈没についてお伺いします。菅官房長官が本日の記者会見で賠償を求めてきた北朝鮮に対して,北京の大使館ルートを通じて抗議したと,このように説明されました。北朝鮮への抗議なんですが,具体的にどういった理由で抗議をしたのか,この点について,大臣の見解をお聞かせください。
もう一点あります。北朝鮮と日本との間で,EEZの境界確定問題,これがあると思うんですが,この海洋権益をめぐる争いや不測の事態を避けるために,北朝鮮側と何らかの形で意思疎通を図る必要があるかどうか,あるいは対話を呼びかけるかどうか。この辺について,大臣のご見解をお伺いしたいと思います。
 
【茂木外務大臣】12日の北朝鮮側によります発表,これは我が国として受け入れられるものではありません。我が国は北京の大使館ルートを通じて,改めて北朝鮮に対して,速やかに厳重に抗議を行ったところであります。内容につきましては,本件が今後のいろいろなやり取りに与える影響,こういったことも考えられまして,答えは,コメントは控えたいと思います。

日韓局長級協議

【NHK 高島記者】明日から滝崎アジア大洋州局長が韓国に行って,局長協議を行いますが,悪化する日韓関係の中で,どのような成果を期待されますでしょうか。
 
【茂木外務大臣】先日,ニューヨークでの日韓の外相会談におきましても,4点について一致したといいますか,まずは未来志向の日韓関係を構築していくことが重要である。次に,直面する課題についてお互いの立場を述べたと,そして北朝鮮問題等につきまして,しっかりと日韓,そして日米韓で連携をしていく。更に4点目として外相レベル,これを含め,外交当局間で意思疎通を継続していく。こういったことを確認したところでありまして,この意思疎通を継続していく,この一環として局長級の協議が行われる,こういう形であります。

李洛淵(イ・ナギョン)首相と安倍総理の会談の見通し

【朝日新聞 太田記者】関連してお伺いしますが,即位の礼に合わせた,李洛淵(イ・ナギョン)首相の来日に合わせて,安倍総理との会談の見通しについて,お聞かせください。
 
【茂木外務大臣】韓国政府からですね,即位礼正殿の儀に韓国政府代表として,李洛淵国務総理を派遣する旨の連絡を受けているところであります。李洛淵国務総理の日本滞在中の日程につきましては,今後,韓国側の要望も聞いた上で調整していくことになる,そのように考えております。

日韓局長級協議

【NHK 渡辺記者】先ほどの,滝崎局長の韓国との協議にちょっと戻りますけれども,大臣としては意思疎通をしていくということなんですけれども,今回のタイミングでの協議について,どんなことを期待されてますでしょうか。現状,日韓関係,鑑みた場合に,どういったものにして欲しいという大臣のお考えをもう少し具体的にお願いします。
 
【茂木外務大臣】先日のニューヨークでの会談もほぼ,テタテで相当,長い時間をかけて率直な意見交換をさせてもらったつもりであります。また,滝崎アジア大洋州局長にも,率直な意見交換をする,当然,その考え方に違いというものはあるわけでありますが,それを埋めるような努力も含めて,率直な意見交換をしてきて欲しい,そんなふうに思っています。

紅海におけるイラン石油タンカーの爆発

【テレビ朝日 大石記者】イランのタンカー爆発についてお伺いさせていただきます。イラン側は国家の関与を主張していますが,現状として日本政府で把握されている状況を教えていただければと思います。また,明日から,今日,夜から審議官がイランに行かれるということですが,改めて日本政府として,中東情勢,緊迫化する中,どういった役割を果たしていきたいかということをお聞かせいただければと思います。
 
【茂木外務大臣】紅海におけるタンカーの話ですね。日本政府としても高い関心を持って関係国と連携しつつ,情報収集,努めているところでありまして,現段階で申し上げられる範囲,これはそこまででありますが,その上で,森審議官,これから,恐らく今日の夜になると思いますが,イランの方に行くという形でありまして,我が国,先般のサウジアラビアの石油施設への攻撃などによりまして,中東情勢,これが深刻の度を増していることを強く懸念をしておりまして,6月の安倍総理のイラン訪問に続きまして,先月の国連総会の際にも米国,イラン,それぞれの首脳会談,また外相会談,これを行うなど,粘り強い外交努力,続けているところでありまして,こういった外交努力の一環として,先月のイランとの首脳会談・外相会談のフォローアップ,これをするとともに,最新の情勢について情報収集を行う,このために森審議官,イランの方に派遣したいと思っております。