令和元年10月4日(金)

 今朝の閣議において,法務省の案件はございませんでした。
 閣議前に「豚コレラ関係閣僚会議」に出席をいたしました。
 続いて,私から3件報告がございます。
 まず,1件目ですけれども,10月7日(月),更生保護制度70周年記念全国大会が,東京国際フォーラムにおいて開催されます。法務省,東京都,そして更生保護に関係する団体の共催です。天皇陛下に御臨席をいただく予定になっております。
 この大会には,全国から更生保護関係者等約5,000名が出席し,更生保護活動に功績のあった方々に対する顕彰や大会宣言を行うとともに,更生保護ボランティアや地方公共団体の首長をパネリストとした研究協議を行うこととしております。
 御存じのとおり,現行の更生保護制度は,明治以来の民間篤志家の善意を基礎としつつ,昭和24年の犯罪者予防更生法の施行に始まり,犯罪や非行をした人の改善更生と再犯の防止,地域の犯罪予防活動の推進などに大きな実績を上げてきております。
 多くの民間協力者の皆様と国とが共に手を携えて取り組む日本の更生保護は,国際的にも注目されておりまして,今,諸外国においても導入される例があるなど,世界に誇れる制度となっております。
 安全で安心な社会を実現する上で,更生保護への期待が高まる中,この70周年記念全国大会を挙行することは大変意義深いことであり,主催する法務省としましては,これを契機に,更生保護の活動を一層推進するよう取り組んでまいります。
 2件目は,「児童虐待とたたかう法務省プロジェクトチーム」の設置であります。子どもたちは,これからの日本,そして未来を担うかけがえのない宝物です。
 しかしながら,児童虐待により子どもたちが亡くなる大変痛ましい事案が後を絶たない状況があり,児童虐待の根絶,これは喫緊に取り組むべき,極めて重要な課題であります。
 既に政府全体として,児童虐待の予防や発見,被害に遭った児童の保護など,その対策に総合的に取り組んでいるところでありますけれども,法務省として,これまで以上に,より積極的に,より総合的にその役割を果たしていく覚悟を抱いております。私自身,大臣に就任した直後,この児童虐待の撲滅に向かって,省を挙げた検討会議を発足する,その準備を事務方に指示したところでございますけれども,今回のこのプロジェクトチームの発足,立ち上げは,その指示の具体化であります。
 法務省が有するあらゆる資源・能力を最大限活用すべく,今日,省内全部局の担当課長等を構成員とする「児童虐待とたたかう法務省プロジェクトチーム」を立ち上げました。
 このプロジェクトチームは,週1回程度,会合を開催し,有効な施策について関係部局を横断して検討することとしております。さらに,有識者,専門家の皆様,更には関係省庁等からの聞き取りを行うほか,現場の視察なども考えております。
 これまでの取組にとらわれず,政府全体や関係する府省庁の施策にも資するよう,柔軟な発想で,自由闊達に,幅広く検討を進め,数か月を目途として,提言を取りまとめたいと考えております。できれば年明けには提言を取りまとめたいと考えております。
 構成員といたしましては,大臣官房秘書課に加えまして,司法法制部,民事局,刑事局,矯正局,保護局,人権擁護局,そして訟務局,座長は,政策立案総括審議官,事務局は大臣官房秘書課に設置をいたします。活動内容としては,関係する部局における,これまで実施してきた施策の検証,そして実施をしてきた上での課題の洗い出し,また,オール法務省における有効な児童虐待施策の検討,更には効果的な関係機関,他の府省庁との連携の在り方などについても検討してまいります。私は,守るべき最も大切なものは,子どもたちの命であると,そう確信をしております。その目的のために,今回のこの新しい法務省のプロジェクトチーム,「児童虐待とたたかう法務省プロジェクトチーム」が意味のある成果を生むことができるよう,しっかりとこれから取り組んでまいります。
 御報告の3件目,これは,明日,10月5日(土),法務省におきまして,第60回「法の日」週間の記念行事として,「法の日フェスタ in 赤れんが」と題する行事を開催いたします。
 具体的には,一般の皆様に裁判員役で参加していただく「模擬裁判」や検察官による模擬取調べ,少年院の教育プログラム体験,あるいは,2022年4月に成年年齢が引き下げられることを踏まえた,10代20代の若い世代の参加者による「若者会議」など,様々な企画を今予定をしております。
 その中で,模擬裁判では,宮﨑法務大臣政務官が検察官役として参加をいたします。
 ぜひ,多くの皆様,国民の皆様に御来場いただき,法の役割,重要性についてお考えいただく,また,法務行政を一層身近に感じていただく良い機会としてこれから取り組んでまいります。
 報道機関の皆様にもこの行事について取り上げていただきますよう,御協力をお願いいたします。

会社法改正案等に関する質疑について

【記者】
 本日から臨時国会が開会いたしますが,法務省としては会社法改正案を提出予定だと思います。本法案の意義についてお聞かせください。

【大臣】
 会社法改正案,その究極的な目的は,企業価値を一層高める,それにあると私は考えております。そのためには,株主総会の運営,取締役の職務執行の一層の適正化等をこの法案を通じて,実現をしていきたいと考えます。その意義としては,大きな点として3点ございます
 まず1点目,株主に対してできるだけ早く株主総会資料を提供し,議案などの検討期間を十分に確保するため,資料の電子提供制度を創設いたします。
 2点目,取締役の報酬等を決定するための手続の透明性を一層向上させる,同時に,業績等に連動した報酬をより適切かつ円滑に取締役に付与することができるようにするため,報酬等に関する規定の整備を行います。
 3点目,日本の資本市場が国の内外から,全体として一層信頼される,そういう環境を整備するために,上場会社等に社外取締役を設置をすることを義務付けます。
 以上が主な内容でございますが,現在,できる限り早期に国会に提出することができるよう,法案の立法,立案作業を進めております。国会での審議を経て,速やかに成立することを期待をしております。

【記者】
 会社法改正に伴って,臨時国会で商業登記法も改正し,印鑑提出を任意とすることを法務省は今後目指すのでしょうか。

【大臣】
 会社法を改正する整備法案におきまして,商業登記法の改正を予定しております。そして,その中には,法人の登記申請手続において,あらかじめ印鑑の提出を義務付ける規定を削除する内容も含まれております。
 オンラインによって,登記申請の利便性を高める,ひいては起業環境の改善に資するよう,申請人の選択によって,印鑑の提出をしなくても登記の申請ができるようにする,印鑑提出の任意化を実現をするということであります。

「児童虐待とたたかう法務省プロジェクトチーム」に関する質疑について

【記者】
 先ほど大臣から御報告がありました,児童虐待のプロジェクトチームの中で,現場視察に関するお話があったと思うのですが,具体的にどういったところを見ていきたいというものがありましたらお聞かせください。

【大臣】
 今,考えている最中であります。今日この場で申し上げることは控えたいと思いますけれども,私は,就任以来一貫して,とにかく法務省にとって一番大事なのが現場感覚であるとずっと一貫して言い続けておりますので,様々な児童虐待の痛ましい,そして本当に悲しい,そういった事件が頻発をしていますね,できればそういった現場に関係するところも是非この目で見て,そして関係する皆様方と率直な意見交換もさせていただきたいと,そう考えております。

大村入国管理センター被収容者死亡事案等に関する質疑について

【記者】
 10月1日の記者会見で,大村入国管理センターで餓死したナイジェリア人男性についての調査報告書と,「送還忌避者の実態について」という文書を記者会見で公開したのと,その後で記者レクがあったと思います。それで,これはすぐに送還ができる場合はすぐに送還ということでしょうが,収容されている方のマイナス要素が前面に出ておりまして,在留特別許可や難民認定といったことについて,今ニーズがいっている訳ですが,そういったことについての検討は今後されるのかどうか。
 9月24日の記者会見では,専門部会を作るという御発言をされていますけれども,この取組というのは収容と送還に関することだけなのか,特別在留許可や難民認定制度についても議論されるのか,今,喫緊の課題について各部局に対していろいろと指示を出されていますけれども,そのことも含めてどのような全体像を考えていらっしゃるでしょうか。

【大臣】
 10月1日(火)の会見でも申し上げましたけれども,出入国在留管理行政の,まさに最後の砦となるのがこの退去強制業務なんですね。この退去強制業務が機能不全ということになってしまいますと,日本の出入国在留制度の根幹を脅かし,それはひいては,日本の社会秩序,そして治安にも大きな影響を与えることになりかねないという問題意識を持っております。その問題意識にのっとりまして,就任直後から出入国在留管理庁に対しましては,退去強制を行うための方策を指示いたしました。
 まず1つは,送還忌避及びこれに伴う収容の長期化,こういったことに対する方策としまして,例えば,仮放免の身元保証人となるべき者の適性審査をより厳格にしていく,あるいは,入管法第54条2項に規定されております,仮放免を認める際の保証金の金額の設定の在り方の見直しと,そういった現行の法律や制度,仕組みの運用の改善によって,強制送還を速やかに行うための速やかな検討,こういったものを指示したところであります。
 さらに,今,御指摘のありました,第7次出入国政策懇談会に設置をいたしました専門部会におきまして,そういった現行制度の運用改善にとどまらず,法の整備,そういったことについても十分に実りある議論,あるいは審議をしていただきたいと,そのように考えておりますので,今,おっしゃいました在留特別許可の拡大,あるいは在留特別許可の拡大といったものは想定をしておりません。

【記者】
 今,想定していないとおっしゃいましたけれども,なぜ想定していないのか,結局出口がなければ送還するか,あるいは在留を認めるかということで,在留特別許可というのは,あるいは難民認定を増やすというのは当然考える対象ではないかと思うのですが,なぜ考えようとしないのか。

【大臣】
 大変,この収容の長期化,あるいは送還忌避者が,1日の段階で申し上げましたけれども,送還を忌避する者が現在858人と,大変多数に上っているというこの事態,私自身深刻に受け止めております。今後,この専門部会におきまして,先ほど申し上げましたように,設置をされた専門部会におきまして,今,申し上げた送還忌避者の増加,あるいは収容長期化の現状や課題を踏まえつつ,法の整備を含む具体的な方策についてしっかりと御議論,御検討をしていただきたいと,そう考えております。
 なお,その専門部会につきましては,今,ちょうどどういった委員の方々にお入りいただくかということについて,準備をしている段階でございまして,私としては,是非,幅広い観点から御議論をしていただくことができるように,様々な分野の学識経験者,弁護士,NGOの関係者といった幅広い有識者の皆様に御就任をしていただくということで,今,準備を進めている段階であります。

(以上)