2019年9月30日

特許庁は、ユーザーの声を品質管理施策に反映させるため、毎年度、審査の質についてのユーザーの評価を調査し、その分析結果を公表しています。
令和元年度調査の結果、特許審査の質全般に対する「普通」以上の評価は93.7%(前年比0.7ポイント減)、国際特許(PCT)出願の国際調査等の質全般に対する「普通」以上の評価は97.4%(前年度比1.2ポイント増)でした。
意匠審査の質全般に対する「普通」以上の評価は95.1%(前年度比1.4ポイント減)、ハーグ協定ジュネーブ改正協定に基づく国際意匠登録出願に対する審査の質全般に対する「普通」以上の評価は96.8%(前年度比7.9ポイント増)でした。
商標審査の質全般に対する「普通」以上の評価は90.2%(前年度比2.8ポイント減)でした。
実施庁目標である、「コミュニケーションに関するユーザーの評価」については、特許・意匠・商標ともに目標を達成しました。

1.本調査の背景

国際的に信頼される質の高い審査は、企業の円滑な事業展開を支援し、イノベーションの促進や健全な取引維持を図る上で重要です。特許庁は、審査の質の現状や、審査に対するユーザーの声を把握し、今後の品質管理施策に反映させるため、特許・意匠・商標の審査の質についてのユーザーの評価を調査し、分析しています。

2.調査手法

平成30年度の審査の質全般と、特定の出願の審査の質(特許・商標は対象者の出願からランダム抽出、意匠は回答者が自己の出願から任意選択)における複数の項目について、それぞれ5段階で回答をいただきました。調査は令和元年5月~6月に実施し、回答率は約9割でした。回答数は下記のとおりです。

(特許)650者のユーザー、2,465件の出願
(意匠)313者のユーザー、204件の出願
(商標)379者のユーザー、374件の出願

3.調査結果の概要と今後の対応

(1) 特許

  • 国内出願の審査の質全般に対する「普通」以上の評価(5段階評価の3以上)は93.7%(前年度比0.7ポイント減)。(図1参照)
  • 国際特許(PCT)出願の国際調査等の質全般に対する「普通」以上の評価は97.4%(前年度比1.2ポイント増)。
  • 国内出願の審査の質全般に関する個別項目の「面接、電話等における審査官とのコミュニケーション」の肯定的な評価は、実施庁目標(※)の60%を達成。
  • 重点的に取り組んできた「判断の均質性」については「普通」以上の評価が85.7%(前年度比6.3ポイント増)。
  • 今年度の結果を受け、国内出願の審査では「判断の均質性」と「第29条第2項(進歩性)の運用」、国際調査等では「国際調査等における判断の均質性」と「新規性・進歩性に関する判断」を重点的に取り組むべき項目と設定した。今後は、審査官間の協議や、管理職による審査結果の確認(決裁)の充実化を通じて、審査官間の判断の均質性の向上と、審査に関する知識の共有に努める。
    • 図1.国内特許出願の特許審査の質全般の評価

(2) 意匠

  • 意匠審査の質全般に対する「普通」以上の評価は95.1%(前年度比1.4ポイント減)。(図2参照)
  • ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際意匠登録出願に対する審査の質全般に対する「普通」以上の評価は96.8%(前年比7.9ポイント増)。
  • 意匠審査の質全般に関する個別項目の「面接、電話等における審査官とのコミュニケーション」の肯定的な評価は、実施庁目標(※)の65%を達成。
  • 重点的に取り組んできた「判断の均質性」では「満足」という回答が11.3%(昨年度比2.3ポイント増)。
  • 今年度の結果を受け、「判断の均質性」、「拒絶理由通知等の記載」、「専門知識レベル」を重点的に取り組むべき項目と設定した。今後も引き続き、改訂意匠審査基準の遵守、分かりやすい拒絶理由通知の記載及び出願人との意見交換や技術研修等を通じた専門知識レベルの向上に努める。
  • 図2.意匠審査の質全般の評価

(3) 商標

  • 商標審査の質全般に対する「普通」以上の評価は90.2%(前年度比2.8ポイント減)。(図3参照)
  • 重点項目として取り組んできた「審査官とのコミュニケーション(電話・面接対応)」の肯定的な評価は61.7%(前年度比5.7ポイント増)。実施庁目標(※)の60%を達成。
  • 今年度の結果を受け、「識別性の判断」、「審査官間の均質性」を重点的に取り組むべき項目と設定した。今後は「識別性の判断」、「審査官間の均質性」の向上のため、昨年度に識別性に関する改訂が行われた商標審査基準の理解の徹底、業界や企業との意見交換、審査官間の協議等を引き続き実施する。
  • 図3.商標審査の質全般の評価

(※)平成30年度に特許庁が達成すべき目標の1つとして「コミュニケーションに関するユーザーの評価」の上位評価割合を、特許・商標では60%以上とすること、意匠では65%以上とすることが設定されています。

参考:「平成30年度において特許庁が達成すべき目標に対する実績評価について外部リンク

4. 詳細な調査結果

報告書全体は、下記URLから参照できます。
特許について
意匠について
商標について

関連リンク

担当

特許庁審査第一部調整課品質管理室長 石原
担当者:南川

電話:03-3581-1101(内線 3121)
03-6810-7459 (直通)
03-3595-4553(FAX)