日時 令和元年9月27日(金曜日)10時36分~10時57分 於:本省会見室
主な質疑事項
  • 豚コレラに対する今後の対応について
  • 日米貿易協定について
  • 諫早湾干拓地への大臣の出張について

記者

  豚コレラの関係ですけれども、農水省として予防的な豚へのワクチン接種を認める方針を打ち出してから今日で1週間経ちますけれども、午後に小委員会も予定されていますけれども、足下の検討状況をまずお伺いしたいと思います。

大臣

  小委員会の諸先生方におかれましては、本当に連日、精力的に御議論をいただき、まとめに向かって頑張っていただいて、本当に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。本日は35回目となるわけでありますけれども、これに向けてですね、詰めの議論が行われるのではないかということを期待しております。これについては、その結論を受けた上でですね、結論になるかどうかさえもまだわかりませんが、その御報告をいただいた上でですね、我々としても対策本部を開催したいと思います。そういう状況です。

記者

  その上でなかなか、答えにくいと思うんですけれども、周囲で感染が確認されている農家の方からすると、いつ自分のところでワクチンを打てるのかが最大の関心事かと思うんですけれども、パブコメの期間の短縮を目指す考えを大臣示されていましたけれども、接種開始の目処というのは、おおよそ見えてきているのでしょうか。

大臣

  この目処がいつであるかについては、正直申し上げられません。農林水産大臣命令で接種は開始されるわけでないということは、再三御説明させていただいてまいりました。パブコメはですね、御存知のとおり30日が基本ですけれども、私の希望としては、できるだけ、こういう状況であればですね、御理解がいただければ、短く出来ないかという、ここはですね、委員の先生方も受け止めていただいているんではないかと思います。自分としては3分の1の10日程度で留められれば、ありがたいという希望は持っておりますが、しかし私が委員の先生方にこうしなさいとかですね、お願いする立場でも権限もありませんので、今日の委員会の報告をまず待ちたいと思っております。

記者

  昨日もお答えいただいたんですけれども、改めて日米の貿易協定が署名に至ったことに対する受け止めをお願いします。

大臣

  新聞報道等の書きぶりは各社それぞれでですね、それぞれ的を得た論評をされていらっしゃると思います。いろんな角度があってしかるべきですから。今回はですね、ちょっと時間が経って自分が思うのは、ライトハイザー氏も茂木大臣も剣道でいうと、名人級の達人がですね、ジリジリと間合いを詰めてですね、お互い「ここぞ」というタイミングでつかまえて、剣と剣が交じり合った結果がこれであるということでありまして、私は、農水を所管しているわけでありますから、どちらかというと経産と比べてですね、切り込まれているんではないかという論評が多いようには思いますけれども、これまでのTPPという交渉、11の時代からずっと見てきて、マルチからバイの交渉に至ってですね、その間のいろんなことを思い返すとですね、私としては押し込まれて終わったという印象ではなくてですね、押し込まれそうになったけれども、土俵の中央に向かってかなり押し戻した結果だというふうに私自身は受け止めております。

記者

  具体的に土俵の中央まで押し戻した?

大臣

  中央かどうかはわかりませんが、例えばですね、牛肉については25万5千トンという、2018年度、輸出実績があるわけですから、皆さん方は普通に考えてもですね、これだけ伸びてきているんだから、例えば昨年からここ数年間の伸び率を係数として、25.5にかけて、それを最低のラインとしてよこせというふうに要求してくるだろうということはたぶん、皆さん方も想像はつくだろうと思います。トランプ氏もなかなかですね、来年は選挙ということでありますから。しかし実際は25.5という2018年の対日輸出実績を下回る数字で押さえ込むことができた。これは2020年にアメリカがいよいよ今の関税率でジャンプインする段階になったときにですね、TPP11とアメリカとの2018年実績、これがマックスだと思いますけれども、これを足しても6,000トンか7,000トン、まだSG(セーフガード)までの隙間が空くということでありますが、このところはですね、私もすごくこだわって、総理とも茂木大臣とも話をさせていただいた部分なので、よく頑張っていただけたと、この内容であればですね、私の地元でもSGに対する不安の声はあります。ですから今週末帰らせていただきますけれども、やはり説明が必要だと思います。どうして24.2なんだと、その意味と意義というものはどこにあるのか、どういう見通しをもっているんだということは、しっかりと説明する責任を負った上でですね、説明ができる結果であったと思います。

記者

  今後必要な国内対策等についてお考えは、今時点でいかがでしょうか。

大臣

  これは私がですね、逆に心配しているのはですね、消費税は10月いよいよ上がりますが、社会保障と借金、利返しを入れればですね、国のお金の半分以上が今、出ていってしまうという、厳しい国の財政状況にあってですね、そんなにいい合意内容なら、追加対策はいらないんじゃないという御意見が財務から出てくることを警戒しています。しかし、今の合意内容をですね、時間をかけて、少しずつ、競争環境も変わってくるわけでありますから、今は20%台の関税であってもですね、牛肉ばっかりいうわけじゃないんですけども、いずれ9まで下がるとですね、ほかのものについてはいずれ関税撤廃になる品目もあるわけですから、やはりその将来を見据えた対策をする。
  農業というのは今やったからすぐに効果が出るものではありませんので、今やっても効果が出るまで3年かかったり、5年かかったりするものが多いんでですね、やれることはたくさんあります。そして各種の予算をみるとですね、もっと予算があればできたのに、例えばいろんな事業、水産業においてはですね、例えばリース事業なんかにしてもですね、もっと手がたくさん挙がっているんだけれども、実際には、対応できたのは申請件数の半分しかないと。いろいろありますから、やはりこれについてはぜひ見直させていただいてですね、将来に繋がるような、対策を示す。それによってですね、農家の方々も説明と大綱の見直しを併せて、更に御理解が深まるのではないかと思います。

記者

  豚コレラの関係で、長野県でも経口ワクチンの県内で縦断する形で、ワクチンベルトが今月末ぐらいから始まる見通しなんですけれども、今、検討中の豚へのワクチン接種を含めて、今後費用が嵩む可能性があって、国家レベルの防疫対策が必要であると、基本的に国が負担すべきだというふうに知事は主張されていますけれども、こうした声に対する受け止めと費用負担に対するお考えをお聞かせください。

大臣

  過剰な当該都道府県に対するですね、御負担は適切ではないというふうに私は思っております。実際にですね、アフリカ豚コレラの侵入も含めて養豚農家を、家畜疾病から守るためにはですね、柵を作ることが極めて重要だと思います。それしか逆にいうとない。イノシシのアクセスを防ぐにはですね。しかし、当初の財政であると非常に都道府県の負担が重いということで、交付税措置でですね、しっかりみさせていただいて、総務省ともしっかり話をしておりますので、できる限りですね、農家負担を含めて、現場に御迷惑がかからないように、というのもですね、豚コレラが入ってくるというのは、天災ですから、ウイルスですから、誰かの過失によって生じたものではないので、それは国だけが責任を負うということではもちろんありませんが、人的な支援とか、いろんな部分では都道府県にお頼りしなければならない部分も多いですけれども、知事ともこの数日前にもお会いさせていただいてですね、何日かしたらまた来るとおっしゃっていましたので、しっかりと意見交換をさせていただいて、そのいただいた御意見は基本的には尊重する形で取り入れていきたいと思います。

記者

  多くなってすいません、3点ほど。1つ目は今、大臣の、費用負担の話なんですけれども、緊急ワクチンではなく、半分は国が払って、半分は地方負担という時に、今の大臣のお話は、地方負担は地方交付税で措置するということですか。

大臣

  経口ワクチンの話ですね。さっきの話は経口ワクチンの話でインジェクションの方ではない。

記者

  インジェクションの方も、緊急ではないと国費10割というわけにはいかないと思いますが。

大臣

  この費用負担についてはですね、正直、まだ私ども本部のところで検討しています。大変大事な視点でですね、2分の1、予防的ワクチンの接種ということになりますとですね。しかし、農家の営農の一環であるということであればですね、それをすべて国の負担にすることが適切かどうかについてもですね、若干議論のあるところだと思うんですよ。このことについては、今日ははっきりお答え出来ませんが、そのことも議論の俎上には上っていると、いうところで今日はお許しをいただきたいと思います。

記者

  もう1つはですね、先ほど仰っておられた、実際にいつ頃打てるようになるか、なかなか言いづらいところだと思いますが、国ができることは打てるような体制を作るまでで、打つのは自治体の判断ということだと思います。パブコメが先ほど10日ぐらいで理解が得られないかと仰っておられたと思いますが、計算上は早ければ来月打つ判断が出来るような形になるという理解でよろしいでしょうか。

大臣

  それは各都道府県におかれましてもですね、我々がこういう作業をしているということは、しっかり承知をされているわけですから、国が一定の決定を下したらですね、私は危機感を持っていただけている都道府県はすぐに行動に移ってくださるものだというふうに思っています。ですからどうせやるのであれば、早いほうがいい。しかしですね、その間に踏むべき手順はですね、雑にしてはならない。やはり、国にはですね手続きとかですね、法律とか、地方自治の義務の範囲と、国の範囲とか、しっかり分かれてますから。それを逸脱するようなことはしない範囲でですね、早く農家の方々、地域の方々の御要請に応えられるように、なればいいなと。ですから、私としては、若干早く、早く早くという気持ちは、私自身にも焦りはありますけれども、それを役所にも当該都道府県にも押しつけることはできないので、申し訳ないですがいつ頃目安ということは申し上げられないというところでございます。

記者

  もう1点、TPPの対策のことについてお話伺えればと思います。確かに、まだまだ課題があって、どんどん、どんどん、時間をかけて関税を下げていくということで、牛肉にしても10年ぐらいかけて少しずつ、関税が下がっていく性質のものだと理解しておりますが、先のウルグアイラウンド対策でも6兆円、これは実際どうなんだという議論が国民の中にもまだ残っている。必要性があるにしてもいつまでやっていくんだという話も出てくる問題だと思います。大臣、そこらへん、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

大臣

  農林水産業という産業はですね、これは、たぶん1,000年経っても日本国という国があれば、ずっとこれは有るべき産業、農業は100年先でも500年先でも確実にある、というものでありますので、関連対策という縛りはですね、いずれはなくなるかもしれません。例えば牛肉だとトウモロコシを11トンぐらい食わせないと肉が出来ないと、いろいろあるじゃないですか。世界でいうと人口は爆発しつつある。新興国においては、経済はだんだん発展していっている。ということであると、川魚から海の魚へ。豚肉から牛肉へ。鶏肉から豚肉へ。食の傾向というのもやっぱり変わっていく。その中で、それぞれの国もですね、例えば私がオーストラリアを視察したときには、「うちの牧場はハラル対応しているので日本に輸出するよりもインドネシアとかに出した方がもうかるから、日本に売る気はございません。」という牧場主さんもおられました。将来どういう外国とのつきあい方になるかわかりませんけれども、これから食料・農業・農村基本計画の見直しもありますので、やはり生産基盤をきちんと保って、もう一度生産能力、自給力とか自給率とか、そういうところも考えていくことを考えればですね、名前が変わっても農業の足腰を強くする国内対策が続けられていくものだという認識を持っています。でも最終的にはですね、これは個人的な私見として申し上げますが、国から1円ももらわなくたって、我々の借り入れとか、そういったもので、やれるんだというくらいの強い農林水産業に将来的に、先々なると思うし、そういう世界がですね、生まれたらすてきだなという思いはありますけれども。助けを必要とする人にはしっかりと手当をする必要があると思います。

報道官

  ほかにございませんでしょうか。

記者

  来週、自治体の担当者を集めてアフリカ豚コレラの会議が開かれると思います。この間豚コレラについては、感染拡大を防げなかったという課題があると思うんですが、その課題がどういったもので、次のアフリカ豚コレラを見据えたときに、どう活かしていくか、その点についてお考えをお聞かせください。

大臣

  アフリカ豚コレラがですね、もし不幸にして日本に上陸して、発生農場が確認された場合は、総理を頭としてですね、対策本部、もちろん実務は我々の方でやることになると思いますが、速やかに殺処分、埋却と。それから罹患した家畜だけではなくてですね、その周辺の施設、その他についてもですね、処分をするという大きな方針は固まっています。まずは侵入を防ぐということが大事ですから、探知犬の導入等も進めておりますけれども、正直なところ世界中で今、取り合いになっておりまして、1頭当たりの値段が大変なお値段でございまして、ですから、年度末に53頭の目標、そして、1年後に140頭目標にですね、探知犬の頭数を増やしていきたいと思っています。
  税関の職員の方々、検疫官の方々の話も聞き取りをさせていただきましたが、最初は随分言われましたけれども、例えば中国の空港で、こういうものを持っていませんかという問い合わせであったり、ポスターであったり、機内での告知であったり、いろんなできる限りの努力をさせていただいた結果ですね、現場感覚としては、2、3割は持ち込み件数は減ったんではないかと感じるという報告もいただきました。
  さはさりながらですね、摘発された件数も多い。たくさんあります。無視できない数の数字の摘発、没収があります。逮捕が3件、警告書が513枚であります。ですから、しっかり見る体制も整ったから、これだけキャッチすることができているということでもありますけれども、数も多いしですね、宮崎空港だってゴルフ場いっぱいありますから、外国のお客さん多いんですけれども、常駐の探知犬はおりませんので、非常に危機感を感じております。
  月曜日の会議ではですね、私は口蹄疫の時に、どのような悲惨なことがあったのかということを皆さんの前でお話をさせていただいて、この1年防疫指針の徹底というものをですね、農水省としても、各自治体の長も一生懸命やりましたが、残念ながら今の段階でも徹底されていない農場が散見されるというのも事実ですので。来週の月曜はしっかり話をさせていただければと思っています。

記者

  諫早湾、訪問の件ですが。

大臣

  まだ決まっていないそうですけれども、私の中では決まったという感じです。

記者

  県関係の方にはもちろん会うと思うんですけれども、具体的にどういう方とお会いになられるかを教えていただけないでしょうか。

大臣

  私に会って何か言いたいという方はですね、基本的にお断りはしないような姿勢でまいりたいと思います。ただ、私が行ったからといってですね、はっきり「じゃあ、こういたしましょう。」という議論ができるかというと、御存知のようになかなか難しいではないですか。今回の判決については、私なりにしっかり読み込ませていただきました。なかなか難しいなと思いますが、しかし、所管している以上はですね、まずはお話を伺うという姿勢を示すことが基本だろうと思いますので。そういう感じで対応させてもらえればと思います。

記者

  逆に大臣の方からこれだけはお伝えになりたいということは。

大臣

  考えます。どっちの気持ちも分かるんでね。私は門川町というところで育ったんで、漁師が海にかける思いというのはねえ、今まで捕れていたものが捕れない、それはねえ、無念な気持ちは分かりますよ。しかし、干拓事業で入植されて新しい農業で頑張っている方々にとってしてみればですね、今さら塩害かという気持ちも分かるし、しかし、両方分かるというと、いい顔だけしに行くのかみたいな感じですけれどもねえ。しっかり考えます。

報道官

  ほかよろしいでしょうか。では以上で終了します。ありがとうございました。

大臣

  ありがとうございました。

以上