令和元年9月27日
水産庁


我が国と国際捕鯨委員会(IWC)が共同で北太平洋海域において実施していた今年度の鯨類目視調査が9月28日(土曜日)に終了します。

1.背景

(1)商業捕鯨再開後も、捕獲可能量を更新していくために、最新の資源量などの科学的データを把握することが必要です。そのために、非致死的調査を継続的に実施していきます。

(2)この一環として、平成22年(2010年)から我が国と国際捕鯨委員会(IWC(注1))が共同で実施している「北太平洋鯨類目視調査」を継続しています。

(3)本共同調査は、IWCの「太平洋鯨類生態系調査プログラム(POWER)(注2))」に基づき実施しているものです。北太平洋の鯨類資源状況に関するデータを幅広く収集してきた実績があり、国際的な鯨類資源の管理に重要な役割を果たしています。

(4)本年5月に開催されたIWC科学委員会でも、本共同調査の継続を含めた我が国の協力姿勢が歓迎されました。我が国は、引き続き国際協力の場に積極的に参画し、国際的な鯨類資源管理に貢献していきます。

(注1)IWC:International Whaling Commission
(注2)POWER:Pacific Ocean Whale and Ecosystem Research 

2.調査の目的

北太平洋海域における鯨類の資源状況等の解明

3.調査委託機関

(一般財団法人)日本鯨類研究所
調査団長 松岡耕二((一般財団法人)日本鯨類研究所)
その他、日本人1名・アメリカ人2名の鯨類研究者が乗船

4.調査期間

令和元年(2019年)7月6日(土曜日)から9月28日(土曜日)まで

5.調査海域

アラスカ湾海域(下図の黄色く着色された海域。全て米国の排他的経済水域内)

6.調査船

第二勇新丸(747トン)

7.調査内容

目視調査、バイオプシー(皮膚標本)採取(注3)、自然標識撮影(注4)を実施し、以下の情報を収集。
・イワシクジラ、ザトウクジラならびにコククジラの詳細資源評価に関する情報
・希少種である東太平洋のセミクジラ資源に関する情報
・ナガスクジラ等の北限に関する情報
・現在の資源状況の知見が不足している鯨類資源(シロナガスクジラ等)に関する情報

(注3)DNA等を解析するため、鯨の表皮の一部を採取するもの
(注4)外見上の特徴(色、ひれの形状、傷跡等)により、鯨の個体識別ができるようにするため、発見された鯨を撮影するもの

8.結果概要

・イワシクジラについては26群43頭を発見し、4頭からバイオプシーを採取しました。
・ザトウクジラについては173群402頭を発見し、12頭からバイオプシーを採取、30頭分の自然標識を撮影しました。
・コククジラについては6群15頭を発見し、2頭からバイオプシーを採取、6頭分の自然標識を撮影しました。
・ナガスクジラについては266群458頭を発見し、45頭からバイオプシーを採取、51頭分の自然標識を撮影しました。
・シロナガスクジラについては19群21頭を発見し、12頭からバイオプシーを採取、16頭分の自然標識を撮影しました。
・マッコウクジラについては50群61頭を発見しました。
・今回の調査で得られたデータはIWC事務局と共有され、今後、詳細な分析を行った上でIWC委員会における資源量の推定などに役立てられます。

9.参考

令和元年7月5日付けプレスリリース「令和元年(2019年)IWC/日本共同「北太平洋鯨類目視調査」の実施について」
https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/190705.html

お問合せ先

資源管理部国際課捕鯨室

担当者:髙屋、鈴木
代表:03-3502-8111(内線6762)
ダイヤルイン:03-3502-2443
FAX番号:03-3504-2649