2019年9月24日(火曜日)
9時51分~10時05分
於:記者会見室

冒頭発言

台風15号及び8月の集中豪雨による被災企業への支援

まず、私の方から千葉県の停電の状況についてお話を申し上げます。

9月9日の台風15号により発生いたしました停電復旧につきましては、現在、山間部における、いまだ大規模な倒木や道路の陥没といったことによって、復旧困難箇所への対応を図っております。また、住宅への引込線の損傷等が激しく、こうした停電による、いわゆる低圧停電が続いている状況にございます。

経産省といたしまして、この全面復旧、東京電力を始め電力会社、自衛隊、自治体、経産省から派遣をしている職員ほかボランティア等々、関係各位と力を合わせて、一刻も早い全面復旧に向けて取組を進めているところでございます。

あわせまして、中小企業に関しまして、今回の台風15号によって被災をした中小企業・小規模事業者向けに、今月12日に災害救助法が41の市町村に適用された直後から支援策を執り行っております。

具体的には、中小企業団体等における特別経営相談窓口の設置、2つ目として、日本政策金融公庫による災害復旧貸付け、3番目として、保証協会による一般保証とは別枠で借入債務の100%を保証するセーフティネット保証第4号の実施、こうしたことを通じて、中小企業・小規模事業者を一刻も早く救済をしていきたいと思っております。

さらに、今後、千葉県の鋸南町に対する局激指定が正式に決定された場合には、鋸南町にとどまらず、災害救助法が適用され、停電が長期間にわたった41市町村に対して支援策を拡充をしてまいります。

具体的には、災害復旧貸付けの対象に在庫被害によって必要となる融資を追加し、さらに金利を現在の1.11%から0.21%に引下げ(注1)をいたします。設備や備品などの修繕費、営業再開後の広告宣伝費など、活用可能な小規模事業者補助金を追加で公募をいたします。

なお、局激を受けた鋸南町につきましては、小規模事業者持続化補助金の補助上限を引き上げて、現在の50万円から100万円にすることといたしました。

こうしたことを今のところ実施の予定となってございます。

最後になりますが、8月の集中豪雨で被災をいたしました佐賀県の被災中小企業支援についてでございます。

8月の集中豪雨の被害に遭った佐賀県武雄市及び大町町の被災中小企業・小規模事業者向けについても、局激指定が正式に決定された場合には、災害復旧貸付けの金利引下げなど支援策を拡充してまいります。

私からは以上でございます。

質疑応答

台風15号による被害

Q: 冒頭にも御発言がありましたけれども、停電の関連で質問です。
今日で2週間ということになりますが、先ほど引込線の課題も御指摘がありましたけれども、その間でいろいろ見えてきたことがあると思います。改めて課題を今どのように整理しているのか、経産省の対応について伺いたいと思います。

A: 当初、93万軒(注2)を超える停電が発生して、一刻も早く停電復旧、解消に向けて取組を進めてまいりました。
ここに来て、最終的な局面に今、なっていると思いますけれども、例えば高圧線部分で通電をしても、低圧線の部分に変電器で転用するわけですけれども、そこのシステムのところがなかなかうまくいかなかったり、こういったことが発生して、今、最終的な部分、一刻も早く加速をしていきたいと思っていますが、こうしたことを一つ、経験を今しているわけであります。
災害の復旧に関しては、何といっても、この被害状況の正確な把握、復旧見通しの提示、こうした面でよく検証し、また点検をして、次の台風にしっかり備えていくということを、改めて私たちは再確認をしたところであります。
いわゆる検証プロセスといったものを立ち上げまして、これは今後、経産省として、今現在の停電被害対策本部は既に立ち上がって、今日で10日目を迎えましたが、この対策本部とは別に、検証プロセスをしっかりスキームとして立ち上げて、今御指摘あったようなことを踏まえて、今後、災害、台風が来ても最小限にその被害の食い止め、また復旧に向けての道筋をつけていく、こういうふうに考えております。
以上でございます。

Q: その検証プロセス、スケジュールは、もう見えているんでしょうか。

A: 今申し上げたとおり、まずは被害状況の把握、そして復旧見通しの提示といったものをしつつ、この検証プロセスについては、近くオフィシャルに、経産省としてもそのスキームを作って、各方面からの情報を集約して、そして今回の、例えば初動の在り方、あるいは初動の公表の仕方、これを一義的には電力会社であるわけですが、しっかり経産省としてもそこは協働しながら、正確な情報把握と正確な公表ができる体制を執るということに尽きると思います。

Q: 森田知事が、台風被害について、先週「想定が非常に難しかった。県では到底手に負えない。国に指導してもらいたい」というふうに述べておりましたけれども、千葉県に対する政府の関与は十分だったとお考えになりますでしょうか。また、防衛省によりますと、自衛隊と東京電力の本格的な連携までに、かなり時間が掛かっております。このように動きが遅れた東京電力や自治体への関与は十分だったでしょうか。今後に向けての改善点があればお聞かせください。

A: まず、この台風15号が発生して、9月6日に警戒会議を各省庁で行っております。その後、9日に東京電力に経産省からも職員を現場に派遣をいたしました。そして、リアルタイムに情報収集に努めてまいりました。翌10日に、千葉県庁並びに自治体に、第一弾として経産省から18名の職員を派遣をしたわけでございます。
東電と自衛隊の連携は、今お話しあったように10日に開始をしたわけでございますが、この自衛隊の派遣については、一義的に広域にわたった場合には県がという、これまでのやり方になっているわけでございますが、その一方で、政府といたしましても、防衛省、河野大臣に対しまして官房長官の方から指示を出して、よりその体制を拡充をした、こういう経緯も今回ございます。
いずれにしましても、大切なことは、現場で電力を取り扱う、停電になった場合の復旧をいかにしていくかということにおける電力会社が正確な情報を把握して、そしてまた被害の状況がどれくらいのものなのかということを正確に把握し、また、経産省、あるいはエネ庁に伝えていただくということによって、政府としても判断をしていくということなんだと思います。
この前も会見でお話ししたとおり、今後はカメラ付きのドローンを使って、即座に俯瞰的に倒木の状況や電柱の倒壊状況や被害の状況といったものが把握できるような体制を電力会社に指示をしていきたい、それについても国としてもバックアップをしていきたい、こう考えております。

Q: 停電の検証プロセスに関してなんですけれども、今の話でもありましたように、東電ですとか自治体や防衛省など、関係者は多岐にわたると思うんですけれども、復旧最優先ではありますけれども、どういう形で実施していくのか、これについてお願いします。

A: これは繰り返しになりますが、まず現場の状況把握を正確にすると同時に、スピード感を持った復旧活動ができる体制を執っていく。そして、一つ一つそのためにどのような体制が必要なのか、それは応急手当だけではなく、普段の日頃からの電力会社の停電、あるいは災害に遭った場合、台風やその他の災害に遭った場合、停電が発生した場合の状況を常日頃から徹底してシミュレーションを図ってやっていくということだと思うんです。
そのために、今回の台風15号が、風速40m、最大瞬間風速59m近いということで、関東地方を襲った台風においては最大規模であって、そうした中で、電線があって電柱があって、電柱が風圧で倒れたところも一部あるやに聞いていますが、倒木が激しくて電線が引き込まれて電柱が倒れたという数が極めて多いものですから、電柱の立て方、この前もお話ししたとおり、基準をどうするのか、そして立てた場合に支えをどうしていくのかというようなこと、あるいは、今後のことですが、いわゆる電柱の地下埋設等も考えていかなければなりませんが、まずはこの検証プロセスを経産省でしっかり立ち上げる。当然、その前提としては、政府としてのまずこの検証の対策というものが、この15号を機にしっかりやっていくことだと思います。

カーボンリサイクル

Q: 25日から秋のエネルギーの国際会議が始まります。この中で、初めてのカーボンリサイクル産学官国際会議が開催されますが、狙いや意義について大臣のお考えをお聞かせください。

A: 御案内のとおり、パリ協定の発効によりまして、温暖化対策へのモメンタムが一層強くなる一方で、途上国を中心に世界のエネルギー需要は、極めて大幅に増加をいたしております。
環境と成長の好循環の実現ということに向けて、エネルギー利用によって排出されるCO₂の有効利用を実現する、いわゆるカーボンリサイクルは、温暖化の対策の極めて重要かつ有望な手段であるというふうに捉えております。
明日、この産学官国際会議開催をするわけでございますが、CO₂を資源として捉えて、燃料や原料として再利用するカーボンリサイクルに関する議論をする世界で初めての会議を日本で行うということは、極めて意義があると思いますし、5カ国の閣僚を含む15の国から参加を予定しております。
今後の会議を通じて、世界が一丸となってカーボンリサイクルに取り組む、そのことによって環境対策にしっかりとつないでいきたい、こう思っております。

(注1)発言中の災害復旧貸付の金利については、実際に適用される利率によって変わります(基準利率(中小企業事業1.11%、国民生活事業1.36%)(貸付期間5年以内の基準利率(令和元年9月2日現在))。

(注2)実際の発言は「68万軒」でしたが、これは9月11日夜時点の軒数であり、台風15号の発災直後である同日朝時点の「93万軒」に修正しました。

                                                           以上

最終更新日:2019年9月25日